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アメリカで広がる“小さな図書館”

2013-03-29 08:05:52 | 海外ネットワーク


  3月16日 NHK海外ネットワーク


  アメリカでは小さな図書館が人気を集めている。

  道路わきに置かれた郵便箱の中にはぎっしりと本が入っている。
  学校帰りの子どもたちが集まってきては好きな本を読みふける。
  実はこれは「Little Free Library 小さな無料の図書館」。
  ここに並んでいる本は誰でも自由に持ち帰ることが出来る。
  「この図書館のこと大好き。
   遠くまで行かなくていいから。」
  本は近所の人が寄付した古本が中心で
  自分が気に入っている本をみんなにも楽しんでほしいという気持ちが詰まっている。
  管理しているのは目の前の家の住民。
  小さな図書館にはひとつ決まりごとがある。
  (小さな図書館の持ち主)
  「1冊借りて返す時はできたら1冊寄付してと呼びかけている。」 
  子どもだけではなく大人も本を借りに来る。
  地元の人たちの交流の場にもなっている。
  小さな図書館の発案者はトッド・ボルさん。
  新しく図書館を始める人のために自ら本箱をつくって届けることもある。
  (ボルさん)
  「これが私が設置した最初の“小さな図書館”。」
  始めたのは今は亡き母親への思いからだった。
  母親のジューンさんは学校の英語教師でいつも本の読み聞かせをしてくれた。
  (ボルさん)
  「母は読書の楽しさを教えてくれました。
   これは母への敬意の表れです。」
  本を愛した母への思いを込めて作った“小さな図書館”。
  メディアで取り上げられたことで共感を呼び
  わずか4年で全米に5,000か所以上に広がった。
  ボルさんのもとには自分も始めたいという問い合わせが連日寄せられている。
  (ボルさん)
  「新たに始めた人は『数日でこれまでの20年間より多くの人と知り合えた。』
   と言います。
   いうなれば“文学の井戸端会議”。」
  
  ミシガン州デトロイト郊外にあるフリント。
  自動車産業の低迷で人口が減り続け治安も悪化している。
  この町で暮らすペパーダインさん夫妻は
  小さな図書館を広げることで地域を再生させたいと考えている。
  設置場所に選んだのは町中のカフェ。
  取り組みに賛同し店の一角を提供してくれた。
  仲間と主に小さな図書館をデザインした貸し出し用のバッグも販売。
  その利益でさらに設置場所を増やそうとしている。
  カフェには図書館を始めたいという人が相談に訪れるようになった。
  (ペパーダインさん)
  「私が始めた時に心配した。
   箱を壊されないかと。
   でもそんなこと起きたことないし心配ない。
  私たちの町を良くしていきたいの。
   みんなで作る小さな図書館がこの町をつないでくれる。」

  小さな図書館は新たな生きがいも与えてくれる。
  ミネソタ州セントポール。
  本を選んだ子供たちが入っていったのは図書館の持ち主の家。
  セージ・ホーベンさん(67)は自宅を読書スペースとして開放している。
  夫と離婚した後 子供も独立し20年近く1人暮らしをしている。
  5千冊の本が生活の友だった。
  2年前に小さな図書館のことを知って大好きな本を別の形で生かしたいと参加した。
  多いときには1日に20人以上がここに本を読みに集まる。
  一心に本を読む子どもたちと過ごす時間が何よりの楽しみになった。
  (ホーベンさん)
  「10代の子が小さな図書館から詩の本を借りて持っていくのを見ると
   とてもうれしくなります。
   図書館に来た人にどんな本が好きですかと聞くと
   みんな心を開き自分たちの人生について語り始める。」

  小さな図書館から始まる人々のつながり。
  本が詰まったわずかな空間からたくさんのぬくもりがあふれる。
  


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