4月28日 Biz+Sunday
日本が世界をリードする人型ロボットの研究。
これまでは主に技術力の高さのPRなどが使われていたが
工場の生産ラインへの導入が始まっている。
これまで人にしかできなかった複雑な作業を器用にこなし
従来の産業用ロボットと違って1台で様々な作業が行うことができる。
一方 アメリカでは1台200万円という低価格の人型ロボットが登場。
このロボットの導入でコストを下げ中国で行っていた生産をアメリカに戻す会社も現れた。
紙幣を数える装置やスーパーのレジで釣銭を支払う機械などをつくる埼玉県の工場。
人型ロボットを2年前から使いはじめ現在13台が導入されている。
これによって従来の産業用ロボットではできなかった複雑な作業が自動化できるようになった。
たとえばゴムのベルトを取り付ける作業。
微妙な力加減でゴムを変形させ部品の隙間にぴったりはめ込む。
さらにテープをはがしたりねじをしめたり物を移動したりと
1台で複数の作業をこなすことができる。
このロボットの最大の特徴は高度な画像認識に技術である。
たとえば部品をつかんで運ぶ作業では
トレーの中に雑然と置かれていても正確につかみあげることができる。
ロボットのカメラ映像で
あらかじめ記憶させておいた部品の形と一致する物を選び出しその位置まで持っていく。
これまでロボットの弱点とされてきた曖昧な状況にも対応できるのである。
画像認識の力を使って部品を箱が空になったことを確認すると自分で箱を片付け補充を行う。
さらに流れ作業のラインでは
隣のロボットの仕事の進み具合を確認し自分が組み立てた部品を渡すタイミングを計る。
この人型ロボットは作業のスピードはまだ人よりも遅く約1,4倍の時間がかかる。
しかし休憩をとる必要がないため1日で見るとほぼ1人分の仕事をこなすという。
(グローリー埼玉工場)
「一番大きいのは1回教えると延々忘れないで
1か月に1回の仕事でもきちんと覚えていて正確に作業するのがすごく特徴的です。」
この会社が人型ロボットを導入したのは少量多品種生産のコストを下げるためである。
レジで釣銭を支払う機械は各スーパーの要望に応じて作り変えるなどするため
製品の数は800種類以上にのぼる。
これまでの産業用ロボットは大量生産は得意だが多品種を作り分けることはできなかった。
一方このロボットは作る製品に応じて様々な作業を行うことができる。
ロボットの価格は本体の価格だけで740万円だが
生産効率が高まることでコストの削減につながる。
(グローリー埼玉工場)
「単純作業を自動化し高付加価値のものを人へ移行することによって
人の技術力向上にもつながってくると思います。」
人型ロボットは新薬開発など最先端の研究にも使われ始めている。
食品メーカーの研究所では先月からロボットを導入し
新しいタンパク質を見つけ出す実験をさせている。
人と同じように器具を使い様々な実験を行なうことができる。
最大の特徴は作業にブレがないこと。
同じ作業を正確に何度も繰り返すことができるため
データのばらつきを大幅に減らすことができる。
導入には数千万円かかったが新薬の開発競争が激しさを増すなか
ロボットの導入は欠かせなくなっている。
(味の素 先端分析研究グループ)
「有用な最先端なものはタイムリーに導入していきたい。
今までは人でやっていたら絶対に見つからなかったようなものが
ロボットを入れることで見えてくると信じています。」
2年前から人型ロボットを販売している会社。
これまで製造業など約100台を出荷し
さらに幅広い業種から導入に向けた問い合わせが相次いでいる。
(川田工業 情報機械研究室)
「機械の組み立て工場だけでなくて
流通、物流、それから医療関係 コスメティック、化粧品関係
いろんな分野から声をかけていただいており
このロボットを進化させて
いろんなところに対応できるような研究開発を続けているところです。」