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「ミドリムシビジネスで世界を救え」東大発ベンチャー企業

2013-11-28 07:00:00 | ビズ プラス
11月17日 BIZ+SUNDAY


ミドリムシ 学名はユーグレナ。
豊富な栄養素を含む健康食品としての可能性が知られていたが
最近 大手企業が相次いでミドリムシを使った商品の販売を始めて注目が高まっている。
全国に約380店舗を展開する大手ファミリーレストランチェーン デニーズ。
10月 ヘルシーメニューのひとつとしてミドリムシを使った料理の提供を始めた。
全国に約30の店舗を持つ甘味処ではミドリムシを練り込んだ寒天。
大手コンビニチェーンでは腸内環境を整える健康食品としてミドリムシの入ったヨーグルトを発売した。
地球上に5億年以上前からいると言われるミドリムシ。
体長約0,05ミリ。
光合成を行ないなおかつ自力で動き回ることのできる藻の一種である。
注目されているのは豊富な栄養素。
ビタミン アミノ酸 脂肪酸など59種類もの栄養素を含む夢の食材なのである。

このミドリムシを生産販売している企業の研究室が東京大学の構内にある。
出雲充さん(33)は社員46人のベンチャー企業ユーグレナを率いる。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「ミドリムシのことを常に感じられるようにミドリムシ色のネクタイにしています。」
「ミドリムシはわかめ ひじき 昆布こういった生き物の親戚ですから
 味も皆さん わかめとか昆布と言います。」
特殊な培養液を開発し世界で初めてミドリムシの大量生産に成功したユーグレナ。
ミドリムシを使った様々な健康食品を販売してきた。
昨年度の売り上げは20億円。
この6年間 右肩上がりの成長を続けている。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「ミドリムシを採用していただくまでは時間がかかった。
 ムシなんじゃないか
 イモムシ アオムシみたいなそういうものを食べ物にする心配をされたり
 ミドリムシ“ムシ”っていう語感 音がついている。
 大手の会社に採用してもらうのはすごい大変だった。」
東京大学在学中に留学したバングラデシュで出雲社長は現地の危機的な食糧問題を目の当たりにする。
この問題を解決しようと帰国後 農学部に進学。
研究中に見つけたのが栄養豊富なミドリムシだった。
2005年 仲間とともにユーグレナ設立。
目標は“ミドリムシビジネスで地球を救う”ことだった。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「独自 オンリーワンというのがビジネスをする上でベンチャーをする上で大切だと思っている。
 ミドリムシはすごく分かりやすいオンリーワンがある。
 植物なのに動く。
 動物なのに光合成ができる。
 植物と動物の両方の力を持っている生き物はオンリーワン。
 こういうオンリーワンのものはお客様に1回知ってもらって上手く伝わると浮気されない。
 もうミドリムシがいいとなる。」
しかしその後の会社経営は順風満帆なものではなかった。
2006年のライブドア事件。
受注を受けていたユーグレナも関連する企業と見られてしまい取引先が一斉に手を引き倒産の危機に瀕した。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「毎日ぐらぐら 
 あきらめようかな でももう1日やってみよう やっぱり無理かな
 もう1回だけやってみようというのをずっと繰り返していたと思う。
 1人だったらあきらめていた。
 やっぱり自分は1人じゃない。
 ミドリムシとミドリムシで地球を救う信念
 夢をかなえようとする仲間がいた。
 仲間とミドリムシに支えてもらってなんとか投げ出さないで済んだ。」
必死に営業活動を続けた結果 2008年に大手商社の出資が決定する。
石垣島にある工場の生産を年間最大60トンまで引き上げることが可能になり
ようやくビジネスが軌道に乗り始めたのである。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「“この世にくだらないものなんてない”。
 私以外 最初はみんなミドリムシなんて大したことないよ
 そんなくだらないことに時間を使っていたらもったいないよって言ってた。
 でも私はミドリムシが好きで
 ミドリムシには地球を救う力があるのだと思って
 研究をしてビジネスをしたら今 たくさんの仲間が出来た。
 ミドリムシはくだらなくなんかない。
 私が見つけたものを私は裏切らない。
 そういう気持ちで研究してビジネスしていれば全部うまくいく。」
いま出雲社長はミドリムシの新たな可能性に挑戦している。
2009年から大手石油会社と共同でミドリムシからジェット燃料を作る研究を進めている。
超音波を使って効率よく質の高い油を抽出する方法を開発中で
2020年の実用化を目指している。
(ユーグレナ 出雲充社長)
「2020年に東京オリンピックがある。
 東京オリンピックということは世界中からお客様が日本に来る。
 そのときお客様は皆さん飛行機に乗る。
 外国から日本に来るお客様をのせる飛行機が石油じゃなくてミドリムシで飛んでいたら 外国の人はびっくりする。
 2020年までにミドリムシジェット燃料をいうものを完成させようと思っている。」
出雲社長は10月には自らの活動の原点となったバングラデシュにも事務所を設けた。
栄養失調をなくすために地元の小学校の給食にミドリムシを入れて食べてもらおうと準備を進めている。 



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