5月24日 おはよう日本
サントリーが
“白州12年”と“響17年”の販売を休止すると発表した。
ウイスキーの愛好家は
「日本産ウイスキーが飲みたいんですけど
ないんです。
なんやねんってのはありますね。」
「年数が上がると色も違う。
それがなくなるのは飲んでるものにとってはつらい。」
仕入れ価格が2倍以上に高騰したことを受けて
ある店では
白州12年を1杯1,800円から3,000円に値上げした。
店側も仕入れ価格のこれほどの高騰は異常だと感じている。
「仕入れ価格はこの先下がることはない。
上がっていくので
日本のウイスキーを飲んでいる人には
スコッチとかアイリッシュとか似てる味で
まっとうな値段で出せるものに切り替えてもらっている。」
たとえば白州12年であれば原酒の樽で12年以上熟成させたものを使っているが
その原酒が足りない。
ウイスキーの販売量は
2006年はウイスキーの人気がなく需要の低迷が続いていた最中だった。
そのため将来の需要は大きくは期待できないだろうと
各メーカーとも原酒の生産量を減らしていた。
ところが2008年に大手メーカーがハイボールの販売に力を入れたことをきっかけに
需要が回復。
2014年には連続テレビ小説「マッサン」が始まった。
さらに国産の銘柄が世界的な賞を受賞したことも追い風となって
ウイスキーブームが拡大していく。
需要が大きく伸びたいま
熟成期間が10年以上の原酒が足りないことが表面化した。
この状況を受けて
熟成年数の長い国産ウイスキーの争奪戦が始まっている。
インターネットの通販サイトではいま
白州12年と響17年の価格が軒並み高騰している。
希望小売価格8,500円の白州12年は97,200円に。
12,000円の響17年も85,000円の値がついている。
価格高騰に目をつけて国産のウイスキーを買い込む動きが広がっている。
国産ウイスキーの買取に特に力を入れている金券ショップ。
販売休止というニュースを受けて
買い取り価格は
白州12年は12,500円から15,000円に。
響17年も19,000円が25,000円に引き上げた。
(金券ショップ 部長)
「年代物で希少性が高いもの
終売になるものは低下を超える買い取りになっている。
“金”とか“骨董”であるとか
付加価値の高いものに移りつつある。
“飲むもの”ではなく“取り引きされるもの”に変わりつつあるのかなと。」
こうした高値で集められた国産ウイスキー。
では誰が購入するのか。
香港で3年前に開かれたオークション。
「軽井沢」という銘柄の52年もの。
落札価格は約1,100万円。
日本の希少なウイスキーがさらに値上がりすると見込んで
中国本土や東南アジアから投資マネーが集まっているのである。
大阪市内にある年代物の酒を扱う専門店。
客は7割が中国人である。
高値に化ける日本産ウイスキーをかき集めようと
この数年バイヤーも次々来るようになっている。
この日も中国人バイヤーが商談に来ていた。
(中国人バイヤー)
「いま在庫多いですか?
響17年。」
(店員)
「出ているぶんですべて 在庫が。」
(中国人バイヤー)
「いま私が全部注文したら困りますか?」
買い取った日本産ウイスキーを中国に送って転売するというこのバイヤー。
これまではジュエリーを中心に扱ってきたが
大きな利益が出ると聞いて
去年から日本産牛スキーの買い付けに乗り出したという。
(中国人バイヤー)
「ものがないからねだんがまた上がると思って
今ある限り買います。
値段も価値も上がってくるので。」
(古酒専門店“蔵王”)
「日本の方で何十本も1回に買って行く人はいない。
希少性の高いボトルとか
数本で110万円程度買い求めるお客様が多い。」
今年1月に香港で行われたオークションで“山崎”がとんでもない値段が付いた。
限定品でもともと1本100万円
それがなんと3,250万円。
サントリーによると
こうした需要の回復を受けて
その後原酒の生産量を増やしているということだが
現時点で販売再開の見通しは立っていないということである。