5月31日 国際報道2018
アメリカ本土内に約1,100万人いると言われる不法移民。
トランプ政権は移民に厳しい姿勢で臨んでいるが
その一方で移民に寛容な政策をとる自治体もあって
対立している。
移民政策をめぐってトランプ政権と真っ向から対立しているのが西部カリフォルニア州である。
カリフォルニア州には全米の4分の1にあたる不法移民が住んでいるとされている。
もともと民主党の地盤でリベラル色が強く
不法移民の強制送還に協力しない「聖域都市」と呼ばれる自治体も数多く存在する。
そのカリフォルニア州では今年1月
不法移民に関する情報を共有しないなど
不法移民を取り締まる“連邦政府の移民当局には協力しない”とする州の法律が施行された。
これにトランプ政権は猛反発。
“州の権限を越えた憲法違反だ”としてカリフォルニア州を提訴するなど
対立は深まる一方である。
こうしたなか今カリフォルニア州では
移民に寛容な州の方針に歩調を合わせる自治体以外に
反発する自治体も出ていて
対立が激しくなっている。
カリフォルニア州北部のオークランド市。
今年2月市長がツイッターに投稿したあるメッセージが大きな波紋を呼んだ。
連邦政府の移民当局がオークランドを狙っている
24時間以内に摘発が始まる
市長が自ら連邦政府に取締り情報を流し
市内に住む移民たちに摘発から逃れるよう促したのである。
連邦政府の移民当局は当初1,000人以上の拘束を目指していたが
事前にに情報が漏れたことで
実際に拘束したのは200人余となった。
一躍渦中の人となった市長。
あくまでも正当性を主張している。
(オークランド市 リビー・シャーフ市長)
「地域住民の意向を尊重して起ち上がったことを後悔していません。
正しいことをしただけです。」
不法移民に寛容なカリフォルニア州。
しかしその政策に反発する声も上がっている。
インターネットに投稿された映像。
今年の元日に州境の高速道路沿いに設置されたニセの標識にはこう書かれていた。
「聖域」の州
銃犯罪者・不法移民・犯罪組織のみなさん
ようこそ
移民に寛容な州の政策が犯罪者や不法移民を呼び寄せていると皮肉る内容である。
標識はすぐ撤去されたが映像はまたたく間に拡散した。
(ニセの標識を設置した男性)
「犯罪が増えているのに聖域だなんて
カリフォルニア州知事はばかげている。
そのことを多くの人に伝えたかった。」
しかしカリフォルニア州では州の移民政策に反旗を翻す自治体も現れた。
南部ロスアラミトス市。
高級住宅が立ち並び
世帯収入は全米の平均より3割ほど高い都市である。
ロスアラミトス市の議会では5月
“連邦政府の移民当局には協力しない”とする州の法律の適用を
受けられなくするかどうかを問う投票が行われた。
住民約100人が6時間にわたって意見を述べたが
“安全な町を守るため連邦政府の取締りに協力すべき”という意見が相次いだ。
「可決です。」
カリフォルニア州で初めて連邦政府の移民当局に協力する市となった。
(ロスアラミトス市 トロイ・エドガー市長)
「我々は移民当局に“ここに悪い奴がいるぞ”と教えたい。
州の対応は明らかにやりすぎだ。」
州の政策を真っ向から否定したこの小さな市の提案は
周辺地域に波及し
10以上の自治体が
不法移民の取締りを強化するトランプ政権に同調する意向を表明。
こうした動きにトランプ大統領はツイッターにこう書き込んだ。
カリフォルニア州の革命だ
移民は地域に貢献する貴重な労働力か。
それとも犯罪を誘発する危険因子か。
トランプ政権と自治体の争いは終わりが見えない。