5月31日 国際報道2018
かつてソビエトの一部だった中央アジアのトルクメニスタン。
トルクメニスタンでは5月
中国が推し進める「一帯一路」のルートに新たなターミナルを完成させた。
トルクメニスタンが中国との関係を強化する動きに対しロシアは警戒している。
旧ソビエトが崩壊した1991年。
トルクメニスタンをはじめ中央アジアの国々は次々と独立した。
トルクメニスタンはロシアの影響力を弱めようと永世中立を宣言。
その後2007年に就任したべルドイムハメドフ大統領は
中国との経済的な結びつきを強める。
経済のカギは世界4位の埋蔵量を誇る天然ガス。
2009年には中国とトルクメニスタンを結ぶパイプラインが開通。
中国への輸出は急激に伸び
今では輸出の85%を中国が占めている。
一方となりのカザフスタンでは最近 公用語の表記をキリル文字からローマ字に変えようとするなど
ロシア離れともいえる動きが見られ始めている。
ロシアにとっては中央アジアは旧ソビエト時代からの影響力を残したい地域で
こうした動きに神経をとがらせている。
広大な砂漠の中にあるトルクメニスタンの首都アシガバード。
日本の面積の約1,3倍の国土に約570万人が住んでいて
多くはイスラム教徒である。
まっすぐに伸びた道路に
点在する巨大な建物。
豊富な資源をもとにインフラが整備されている。
市民が街のあちこちで目にするのが大統領の肖像画である。
(トルクメニスタン べルドイムハメドフ大統領)
「中央アジアは今後 世界の中で重要な役割を担っていく。」
べルドイムハメドフ大統領は独裁色の強い政治体制をしいていて
言論は厳しく統制されている。
世界各国の報道の自由度に関するランキング(2018)では
180カ国中 下から3番目。
報道にはスーツ姿の政府関係者が常に立ち会い
案内する場所も決められている。
こうした政治体制をどう感じているのか。
市民に尋ねると肯定的な答えばかりが返ってくる。
(市民)
「私たちは大統領を信頼していて
これからもいい暮らしができるでしょう。」
「政治家は道路や住宅などの整備をしてくれます。
でも何よりも大統領が1番です。」
天然ガスの輸出による豊かな財政で
国民の住宅・学費・公共料金の一部が無料になっていることも背景にあると見られている。
今年3月トルクメニスタンでは5年に1度の議会選挙が行われた。
政府は海外メディアを招待し投票の様子を公開した。
ただ議会には実質的に野党が存在せず
選挙結果が大統領の政権基盤に影響を与えることはない。
こうした中べルドイムハメドフ大統領は中国への接近を図っている。
5月カスピ海に面した港に貨物ターミナルが完成。
盛大な式典が開かれた。
港に向かう沿道には何キロにも渡って動員されたとみられる住民が列を作っていた。
出席するべルドイムハメドフ大統領を歓迎するためである。
ターミナルは
カスピ海の対岸アゼルバイジャンなどに向けて荷物を輸送する新たなルートの拠点を目指している。
中国政府が目指す「一帯一路」の中継点の役割を担うことで
さらなる発展につながると考えている。
政府はこの港や鉄道を活用したルートの場合
ヨーロッパには15日で貨物を輸送でき
海路に比べて30日も短縮できると考えている。
(トルクメニスタン べルドイムハメドフ大統領)
「この港によって
経済・貿易・投資においても多国間の相互のつながりが大幅に拡大される可能性が開かれるのです。」
式典に招かれた中国の代表団も大きな期待を寄せている。
(中国の元外交官)
「トルクメニスタンは一帯一路の発展において大変重要な役割を担っている国です。」
こうした動きに警戒感を抱くのがロシアである。
ロシアのネットニュースにはこんな見出しが・・・
“トルクメニスタンはガス大国か
それとも中国の保護領か?”
さらにロシアの有力紙
“中国はどうやってロシアから中央アジアを奪おうとしているのか”
豊富な天然資源を頼りに発展を遂げてきたトルクメニスタン。
いまロシアからさらに距離を置いて
中国に接近する動きを強めている。