11月8日 おはよう日本
日本を代表する世界でもトップレベルの登山家 平出和也さん。
今年9月に
“登山界のアカデミー賞”とも呼ばれ
世界的に優れた登山家に贈られるピオレドール賞を受賞した。
誰も登ったことのない山やルートにこだわった挑戦が評価された。
エベレストをはじめヒマラヤの8,000m級の山など
世界の名だたる山の頂に立ってきた平出和也さん。
こだわっているのが未踏峰や誰も登ったことがない新ルートを登ることである。
今回 ピオレドール賞の受賞のきっかけとなったのが
パキスタンにあるシスパーレ(7,611m)の登頂である。
これまで登られたことのない標高差2,700mの北東壁を制覇した。
(平出和也さん)
「人が歩いていない
自分が初めて歩いて
自分の足跡が道になるような活動をしたいと思っていた。
課題を見つける嗅覚は僕の中では大切だと思っていて
インターネットで簡単に答えが見つかってしまう時代だとは思うけど
正直そんなもの全くない。
すべて自分で探す。
すべて自分で決断して。
だからこそやりがいがある。」
実は平出さんはシスパーレにこれまで3回挑んでいる。
今回4回目にして初めて登頂に成功した。
失敗を重ねてきたからこそ数多くのことを学んだという。
(平出和夫さん)
「登れなかったときほど自分に何が足りないのか。
登山家としてもそうだが
大きく言えば
人間として何が足りないのか。
そんなことを教えてくれる場所が僕にとっては山。
昨日の自分よりちょっと頑張ってみようかなという
その積み重ねをしているような感じがある。」
そして平出さんはいま次の目標に動き出している。
目指すのは世界で2番目に高山 K2。
遭難者が多く
その厳しさから「魔の山」と呼ばれている。
平出さんは誰も足を踏み入れたことがない新ルートに挑むべく
この夏 偵察登山に向かった。
ほとんど情報の無い 道なき道。
ロープでつながっていたパートナーが氷河の継ぎ目クレバスに落ちてしまった。
平出さんは
「年を重ねるごとに山の怖さが増しその分冷静に考えるようになっている」という。
(平出和夫さん)
「困難を目前にした時
それが危険なのか
困難なのか
そのどちらなのか考える。
危険であればもちろん命がかかっているので帰る。
でも困難であれば
自分が努力すれば自分が頑張れば克服できる。
困難であれば果敢に挑戦する。
そんな判断で登山をしている。」
偵察登山では
標高差3,000mに及ぶまだ誰も登ったことがない岸壁を自分の目で確認することができた。
壁を前にして平出さんは
課題を1つ1つ克服していけば
人類未踏のルートからK2にのぼることも夢ではないと感じたという。
(平出和夫さん)
「雲の上の自分になれないと挑戦できないような挑戦に魅力を感じていて
それは自分が成長すればできるようになる。
僕たちは限られた時間の中で生きているので
だからこそまだ知らない自分に出会ってみたいという
そんな好奇心がそうさせているのではないか。」