評価点:76点/2014年/アメリカ/108分
監督:ロジャー・ドナルドソン
なかなか見所の多いスパイ・アクション映画。
CIAエージェントだったピーター(ピアース・ブロスナン)は、ノーベンバー・マンというコードネームを持つ伝説的なエージェントだった。
彼はベルリンでの暗殺計画の護衛で、若手のエージェント・デヴィッド(ルーク・ブレイシー)をつれてミッションを遂行していた。
しかし、デヴィッドは判断を誤り、一般の少年を巻き添えにしてしまう。
それから引退したピーターの元へ、かつての戦友であるハンリーが訪れる。
彼によると、ピーターが愛したエージェント・ナタリアが潜入捜査によって重要な証拠を掴んだが、命の危険にさらされている、救出にピーターの名前を出した、というのだ。
ピーターはナタリアを救出するべく、ロシアに向かうが、ナタリアは何者かに殺されてしまう。
その際に鉢合わせしてしまったのは、教え子だったデヴィッドだった。
アマゾン・プライムで、見つけたので見た。
近々「ミッション・インポッシブル」を見に行く予定だったのもあって、お手軽なアクション映画を求めていたのもある。
主人公はピアース・ブロスナン。
「007」シリーズで名を馳せた、彼だ。
彼の映画は殆ど見たことがないが、よい役者ではあるようだ。
あまり期待せずに見たが、面白いシナリオだ。
アマゾン・プライムにちょうど良い、そういう作品なのかもしれない。
▼以下はネタバレあり▼
主人公に肩入れしている私たち観客は、どうしても自分が「悪」の片棒を担がされているかもしれないという可能性を排除して見てしまう。
そのことを利用した錯覚によるサスペンスだ。
だが、多少の矛盾もある。
劇中に気になるかどうかは、その人によるかもしれないが。
映画の結構としては、二人の師弟関係が良く描けているので、私は大きくは気にならなかった。
かつての同僚ハンリーは、ロシアの新しい大統領と目されるデニソフを大統領として据え置き、なおかつアメリカの良いなりに振る舞わせようと考えていた。
チェチェンの紛争をCIAが引き起こし、それによってロシアが軍事介入する。
そういう構図を仕組み、そのことを「人質」にすることでCIAがロシアを上手く操ろうとした。
そのためには、デニソフの悪事を知っている者を次々抹消しておく必要がある。
そうでなければ切り札にならないから。
その秘密を知っていたエージェントのナタリアは証拠となる写真を掴み、それを第三者に伝える前に息絶える。
表のCIAはその情報によってデニソフを失脚させたいと考えているし、ハンリーの裏のCIAは表のCIAに情報が行く前につぶしておく必要がある。
だから、表のCIAの作戦とは別に、ハンリーはピーターを差し向ける。
そうとは知らなかったハンリーは、表のCIAと鉢合わせしてしまった。
それは、教え子であるデヴィッドだったのだ。
二人の対決を軸に描きながら、ハンリーに操られたピーターがデニソフの殺し屋と、表のCIAと対立しながら物語は進行していく。
師弟対決に重きを置いた映画だと思いきや、周りの人間は大嘘つきで、ピーターを巧みにだましている。
その一人がハンリーであり、もう一人がアリスだ。
アリスは、自分がハンリーとデニソフのキーマンであることを知り、ひっそりと生きる覚悟を決める。
がんで亡くなったアリスという職員になりすまし(このあたりにかなり無理がある)、身分を隠していたのだ。
逃げることをやめる決意をしたアリスは、ピーターとともに、自分の運命にけりをつける覚悟をする。
表の人間関係は、直情的な弟子デヴィッドとピーターとの対決だ。
だが、ピーターは実は彼との対決を楽しんでいるように見えて、避けている。
それが端的なのは、隣人との情事を楽しんだデヴィッドに対して、わざわざ顔を出して、その女の大腿部を傷つけたシークエンスだ。
ピーターは、弟子のデヴィッドが自分に力が無いことを思い知らせて、失脚させようとする。
デビッドの立場を危うくすれば、畢竟対決する必要がなくなる。
出方が分かるピーターにとって、デヴィッドはわかりやすい相手だった。
そして、デヴィッドには「優しすぎる」という欠点がある。
ラストのデヴィッドの寝返るシーンは、非常におもしろい。
それまで敵対していた二人が実は強いつながりをもって戦っていたことをうかがわせる友情を見つけることになるからだ。
表のプロットと裏のプロットが見事に一致するとき、私たちは大きなカタルシスを得る。
しかもそれが、事件解決という結末にあるのだから、上手いシナリオだ。
突っ込みどころは満載だ。
ロシアの凄腕殺し屋を、素人の一撃で伸してしまったり、ハンリーがあれほど仲が良かったのに娘の存在を最後まで気づかなかったり(しかもデヴィッドがあっさり見つけてしまう)。
けれども、師弟関係、友情関係によって、物語の昇華は上手く遂げられている。
まあ、ちょっとしたら忘れ去られてしまうのが、ブロスナンの運命なのかもしれないが。
監督:ロジャー・ドナルドソン
なかなか見所の多いスパイ・アクション映画。
CIAエージェントだったピーター(ピアース・ブロスナン)は、ノーベンバー・マンというコードネームを持つ伝説的なエージェントだった。
彼はベルリンでの暗殺計画の護衛で、若手のエージェント・デヴィッド(ルーク・ブレイシー)をつれてミッションを遂行していた。
しかし、デヴィッドは判断を誤り、一般の少年を巻き添えにしてしまう。
それから引退したピーターの元へ、かつての戦友であるハンリーが訪れる。
彼によると、ピーターが愛したエージェント・ナタリアが潜入捜査によって重要な証拠を掴んだが、命の危険にさらされている、救出にピーターの名前を出した、というのだ。
ピーターはナタリアを救出するべく、ロシアに向かうが、ナタリアは何者かに殺されてしまう。
その際に鉢合わせしてしまったのは、教え子だったデヴィッドだった。
アマゾン・プライムで、見つけたので見た。
近々「ミッション・インポッシブル」を見に行く予定だったのもあって、お手軽なアクション映画を求めていたのもある。
主人公はピアース・ブロスナン。
「007」シリーズで名を馳せた、彼だ。
彼の映画は殆ど見たことがないが、よい役者ではあるようだ。
あまり期待せずに見たが、面白いシナリオだ。
アマゾン・プライムにちょうど良い、そういう作品なのかもしれない。
▼以下はネタバレあり▼
主人公に肩入れしている私たち観客は、どうしても自分が「悪」の片棒を担がされているかもしれないという可能性を排除して見てしまう。
そのことを利用した錯覚によるサスペンスだ。
だが、多少の矛盾もある。
劇中に気になるかどうかは、その人によるかもしれないが。
映画の結構としては、二人の師弟関係が良く描けているので、私は大きくは気にならなかった。
かつての同僚ハンリーは、ロシアの新しい大統領と目されるデニソフを大統領として据え置き、なおかつアメリカの良いなりに振る舞わせようと考えていた。
チェチェンの紛争をCIAが引き起こし、それによってロシアが軍事介入する。
そういう構図を仕組み、そのことを「人質」にすることでCIAがロシアを上手く操ろうとした。
そのためには、デニソフの悪事を知っている者を次々抹消しておく必要がある。
そうでなければ切り札にならないから。
その秘密を知っていたエージェントのナタリアは証拠となる写真を掴み、それを第三者に伝える前に息絶える。
表のCIAはその情報によってデニソフを失脚させたいと考えているし、ハンリーの裏のCIAは表のCIAに情報が行く前につぶしておく必要がある。
だから、表のCIAの作戦とは別に、ハンリーはピーターを差し向ける。
そうとは知らなかったハンリーは、表のCIAと鉢合わせしてしまった。
それは、教え子であるデヴィッドだったのだ。
二人の対決を軸に描きながら、ハンリーに操られたピーターがデニソフの殺し屋と、表のCIAと対立しながら物語は進行していく。
師弟対決に重きを置いた映画だと思いきや、周りの人間は大嘘つきで、ピーターを巧みにだましている。
その一人がハンリーであり、もう一人がアリスだ。
アリスは、自分がハンリーとデニソフのキーマンであることを知り、ひっそりと生きる覚悟を決める。
がんで亡くなったアリスという職員になりすまし(このあたりにかなり無理がある)、身分を隠していたのだ。
逃げることをやめる決意をしたアリスは、ピーターとともに、自分の運命にけりをつける覚悟をする。
表の人間関係は、直情的な弟子デヴィッドとピーターとの対決だ。
だが、ピーターは実は彼との対決を楽しんでいるように見えて、避けている。
それが端的なのは、隣人との情事を楽しんだデヴィッドに対して、わざわざ顔を出して、その女の大腿部を傷つけたシークエンスだ。
ピーターは、弟子のデヴィッドが自分に力が無いことを思い知らせて、失脚させようとする。
デビッドの立場を危うくすれば、畢竟対決する必要がなくなる。
出方が分かるピーターにとって、デヴィッドはわかりやすい相手だった。
そして、デヴィッドには「優しすぎる」という欠点がある。
ラストのデヴィッドの寝返るシーンは、非常におもしろい。
それまで敵対していた二人が実は強いつながりをもって戦っていたことをうかがわせる友情を見つけることになるからだ。
表のプロットと裏のプロットが見事に一致するとき、私たちは大きなカタルシスを得る。
しかもそれが、事件解決という結末にあるのだから、上手いシナリオだ。
突っ込みどころは満載だ。
ロシアの凄腕殺し屋を、素人の一撃で伸してしまったり、ハンリーがあれほど仲が良かったのに娘の存在を最後まで気づかなかったり(しかもデヴィッドがあっさり見つけてしまう)。
けれども、師弟関係、友情関係によって、物語の昇華は上手く遂げられている。
まあ、ちょっとしたら忘れ去られてしまうのが、ブロスナンの運命なのかもしれないが。
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