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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

SWAT

2008-05-04 23:17:19 | 映画(さ)
評価点:72点/2002年/アメリカ

監督:クラーク・ジョンソン

アメリカの特殊部隊、スワットを題材にした凡庸なアクション映画。

ストリート(コリン・ファレル)は、優秀なロス警察のSWATの一人だったが、相棒のギャンブル(ジェレミー・レナー)の命令違反でチームからおろされてしまった。
しかし、彼は警察を辞めずに、半年間、保管庫で靴を磨きつつ機会をうかがっていた。
そしてロス市警のイメージアップのため、仕官としてホンドー(サミュエル・L・ジャクソン)を招き、SWATの候補生を育てることになった。
そこでストリートが呼ばれ、訓練を積み、SWATのテストを受ける。

▼以下はネタバレあり▼

「マトリックス」や「チャーリーズ~」などの“にわかアクション”が流行るなかで、久々のアクション映画らしい、王道のアクション映画といった趣の映画。
タイトルもそのままずばり、米国特殊部隊の「SWAT」。
実在するこの部隊をタイトルにしたことは、成功しているといえるだろう。
なぜなら、良くあるアクション映画のように、現実離れしたストーリーではなく、より現実に近い感覚で観られるようになっているからである。

主人公のストリートは、いったんスワットを首になってしまい、再び試験のために訓練し、合格をめざすことが、映画の前半で描かれる。
並みの映画なら、スワットの主人公をバリバリ働かせて、事件の捜査や解決まで一手に引き受けてしまう。
しかしこの映画のタイトルはあくまで「SWAT」。
実際のスワットがどんな訓練をし、どんな試験を受けて、どんな任務に当たるのか、ということをきちんと映画の中で見せている。
そのために、主人公をいったん首にしてしまい、再度合格させるというまどろっこしい構成をとっている。

そして相棒との確執や、国際指名手配犯の様子を挿入することによって次なる「事件」へとストーリーを展開させる。
この「事件」がまた上手い。
予備知識が全くなかった僕にしてみれば、敵が中盤になって捕まってしまうという展開は驚きだった。
並みのアクション映画なら、敵は人質でも取って立てこもるだろう。
犯人護衛としてスワットを出動させるという展開は、スワットとしての現実での任務に通じているものだし、スワットを描くための映画としては、最適な「事件」だといえるだろう。

スワットは、日本で言うところの「機動隊」のようなものだから、犯人を特定したり、捜査したりはしない。
凶悪事件や、危険な状態にある事態を武器と戦術によって解決するのが任務だ。
その点をきちんと描こうとしたこの映画は、タイトル通り「SWAT」なのである。

このリアルに描こうとする態度が、ただの訓練でも「おもしろい」と感じさせ、観客をひきつけることを可能にしている。

しかし、この構成は一種の賭けであることも確かだ。
僕みたいな、特殊部隊に言いようもない憧れを感じる者にとっては、
本格的なスワット部隊を主人公にした物語は、ツボを突かれ、興味がそそられる。
しかし、どんな客にも楽しませる、という意味においては、少し、無理があるかもしれない。
スワットに全く興味がなく、純粋にアクション映画を楽しみたいだけであれば、見せ場は極端に減ってしまう。

上司との確執や、伏線の見せ方(トイレに行っている裏切り者など)など、王道であり、またありきたりな面も確かにある。
評価が分かれる要因は数多くあるだろう。
しかし、個人的には非常に気に入ってしまった。

このノリでいけば、続編もありえるかもしれない。
僕としてはぜひ、作ってほしいところだが、アメリカでの人気が爆発的だということは聞かないので、難しいかもしれない。

(2003/10/11執筆)

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