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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

プロジェクト:運輸 2009年 香港・マカオ旅行記 その4

2009-08-28 22:44:39 | 旅行記
(← その3からの続き)

【第4話 時計仕掛けのネクタイ】

六時間の睡眠をきっちりとって一行はホテルの近所にあるお粥店へ。
メニューは日本語訳が載っているもので、注文はしやすかった。
どうやら雑誌にも載っているような、有名店だったらしい。
僕は調子に乗ってアワビのお粥を注文してびっくりした。
他は30香港ドル程度なのに、アワビは128香港ドル。
1500円も朝食に使ってしまった……。
ビバ、浪費家。

有名なスーパーマーケットのウェルカムスーパーストアも近所で発見し、一行は中環へ向かう。
中環の街並みを楽しむことが三日目の目的だったからだ。
二階建ての路面電車のトラムにのって、香港コンベンションセンターへ。
このセンター内にある店はまったく把握していなかったが、ここはあの「香港国際警察」のクライマックスの舞台になった場所。
この施設を見学するために、この旅行がある、といってもいいくらいの、目玉スポットだった。
もしかしたらジャッキーに会えるかも、と思っていたのは僕くらいかもしれないが、とにかく一行はかもめをモティーフにした屋根を目指した。

ホテルから大回りして、ようやく目的の屋根が見えてきた。
中に入って、超興奮しながら写真をとりまくっているところへ、警備員が近寄ってくる。
「NONO!」

なんと、イベントの準備のために、一般客は入れない日だったのだ。
ああ、あそこに登って写真が撮りたいだけなのに!
と未練がましくシャッターを押して、周辺で写真撮影をして帰った。

さて、中環付近にもどった僕たちは再びトラムを乗り継いで昼食をどこで食べようかと物色していた。
このあたりで、香港の街並みについて言及しておこう。
蒸し暑い季節だった香港では、どこでもクーラーががんがんにかかっていた。
温度差はすさまじく、それで体調を崩す観光客も多いらしい。
この日の夜中に行ったバーでは、オープンカフェのような作りなのに、クーラーが外に向いて冷風を送っていた。
そういう地球に極めて優しくない構造の建物がならんでいる訳だ。
建て方は、ピークから眺めたように、高層マンションや高層ビルを所狭しと建てている感じで、密集率は大阪の道頓堀よりもひどい。
地震が起こると間違いなく倒壊するだろうという、日本ではあり得ない形状のビルも多い。
下が小さく、高層になるほど広がっていく、というビルは全然珍しくない。

デザインも斬新で、近代的なビルに紛れて廃墟のようなビルが混在している。
この辺りは上海に似ているのかも知れない。
だが、上海よりも、より国際的な都市だと実感するのは、この中環のあたりだ。
急勾配になっている地形に、ならんでいるのはヨーロッパを彷彿とさせるようなビルディング。
歩いている人も、多種多様で一目でアジア人とわかる人は、半分ほどではいだろうか。
イメージはニュージーランドのオークランドに似ている。
(確かオークランドは中国に似た雰囲気の街になっていると説明を受けた記憶がある)
路面までせり出した看板で有名なのは、北のチムサァチョイだけで、こちらは夜景を楽しむためか、巨大な看板をもった大きなビルが目立つ。

また、異様に多いのがセブンイレブンとサークルKだった。
こちらのコンビニは、小さいサイズが多く、どちらかというとキヨスクに似ている。
おにぎりなどは売っていないので、狭いところでも売れるのか。
セブンイレブン特製の傘にはちょっと引いたが、貴重な水分補給の場所として役立った。
犯罪率の高さからなのか、自動販売機は極端に少ない。
タオルを首に巻いて一時間もすると、もう汗でびっしょりになるような気候なので、水分補給は欠かせないのだ。

人々は、様々な肌の人間が集まってくる。
だからなのか、どの店に入っても英語は通用する。
もちろん、商売に必要な程度の英語だけれど、日本じゃ、こうはいかないな、とちょっとへこむ。
気づいたのは、女性がみな薄着だと言うこと。
そして、みなファッショナブルな服装が多い。
おばちゃんでも、胸の谷間が見えるような服を着ている。
もちろん、若い女性はショートパンツにタンクトップというのは、珍しい服装ではない。
どうしてもお肌に目がいってしまうのは許してほしい。
アメリカなどではショートパンツは娼婦くらいしかはかないと聞いたことがある。
さすが、南国である。

歩き回っても、適当なお食事ができる場所が見つからない。
そこで、入った店は、「人生で食べきれなかった2店」のうちの1店である、香港ラーメンのお店へ突入した。
前回の香港訪問の際に立ち寄った承太郎が、本当にまずい、と宣言していたラーメン屋である。
現地人には人気があり、香港では旅行者にも紹介されているような、有名店らしい。
こわごわ入っていくと、やはり人気店、店は活気づいていた。
少し待って座ると、伝説の「魚のつみれ」がのったラーメンが。
もちろんそれはさけて、ワンタンのラーメンをチョイスして、サイドメニューの「ゆで野菜」を頼んだ。。
スープは日本とは違って魚介類ベースで、若干薄い感じだった。
食べられないほどではなかったが、周りを見てみると、なにやら唐辛子のような薬味を突っ込んでいる。
ほら、あの人も、向こうのおっちゃんも、家族連れも。
ということで、僕らも挑戦してみると、これが魔法の薬味だった。
これを入れることで数倍も美味くなり、辛みとうまみの絶妙なバランスに驚いた。
「ああ、これってこういうふうに食べるんだ」と納得した承太郎は、他の三人以上に感動していたようだった。

さらに歩き回って、火鍋の店へ。
だが、目的の火鍋は夜の時間しかやっていなくて、点心を食べることになった。
まあ、点心でもいいか、と開き直って注文しようとしていると、そこにお茶をもって来てくれた。
だが、妙だ。
白い急須は二つあって、一つにはジャスミンティー。
もう一方には、お湯。
え?! お湯?

一つはジャスミンティー用で、もう一つはお湯を飲む人用?
それとも、容器を温めるためのもの?
いやいや、違うだろう。
あれ、ちょっとジャスミンが出過ぎて、味が濃くなってきた。
なるほど、この急須に、お湯を足せ、という意味かな?
え~、でも同じサイズの急須に、お湯を注ぐのは変では?
う~ん……。
あ、そうか、この湯は濃くなったジャスミンを入れた湯飲みを薄くするためのものだ!

という結論に至ったわけだが、正しいのかどうかは不明だった。

そこではいくつかの点心を食べて、青島ビールを飲んで、オーダーストップの時間に。
点心の時間と夕食の時間の境目だったようだ。

さて、中環とはそろそろお別れで、チムサァチョイに戻った。
香港映画好きにとってはもう一つの観光スポット、アベニュー・オブ・スターへ。
ここは、ブルース・リーの銅像をはじめとする香港映画のスターが展示されている海岸沿いの通りだ。
地面にも、香港スターの手形とサインが刻まれていて、観光客で賑わっていた。
僕の目当てはもちろん、チャン・ツィイー。
もちろん、マギー・チャンも、ジャッキーも、ジェット・リーも、サモ・ハンも、トニー・レオンも大好きだけれど、やっぱり、必死に探したのはチャン・ツィイーだった。

だが、彼女の手形は発見できず。
見落としかも知れないが、もしかしたら、彼女はここに手形を押さなかったのかも知れない。
う~ん、残念。
通りにならぶキオスクでは、ブルース・リーのポストカードを購入しておいた。

西から東へ一通り歩いて、そのままニッコーホテルがあるところまで行った。
時間は21時になっていた。
目当ては、オープントップバス。
ここから出発し、あの香港の街並みを滑走するというオプショナルツアーに申し込んでおいたのだ。

残念だったのは、これは日本人向けのツアーだったということ。
二時間で、街を回り、女人街で買い物、ホテルまで送迎してくれるというものだった。
安全を重んじる日本人向けだったので、対応は良かったものの、もっとディープなところを回ってほしかったというのと、聞こえてくる日本語がやたらと気分をそいでくれる。
しかも、なぜか大阪弁が妙に聞こえてくる。
「あれ、俺たち間違えて日本に戻ったかな」と錯覚するほどだ。

それはともかく、スリリングなツアーだった。
オープントップなので風が強く、看板も間近で、日本では体験できないおもしろい試みだった。
これは、本当に、行かないと伝わらないだろう。
これが一つの観光になっているということ自体が、そのすばらしさを如実に表している。
香港行くなら、これはおすすめです。

続いて女人街。
ここは杭州で体験した夜店よりも白熱していた。
日本人観光客がなれているのか、日本語で応対してくれるし、みんな日本人ならお金を落としてくれると知っている。
必死に接客してくる。
もちろん、偽物商品のオンパレードだが、ふつうに雑貨屋で売っているようなお土産も売っている。
他で買うくらいならここで買う方が断然安いというものだ。

ということで、ネクタイを買おうとジョセフと値切り交渉に挑んだ。
最初は100香港ドル。
「ええ! 高いよ! もっと値段下げて!」(英語で)
「じゃあ、この電卓で値段を示してみなさいよ」
「二本買うので、100香港ドル!」
「ははは! そんなのムリムリ。160香港ドルなら」(顔でやりとり)
「ええ! 高い。じゃあ、120!」
……というやりとりをして、「二本で140香港ドル」で落ち着いた。
そのときも、「もうもってけ泥棒」というような様子で売ってくれた。

女人街では、様々な商品を扱っている。
しかも格安で、さらに値段交渉によって割り引いてくれる。
もちろん、大半が偽物だ。
○ィーゼルのカバンとか、サッカーのユニフォームとか、雑貨、時計、Tシャツなどだ。
中には正規の工場から「産地直送」されているものもあるらしいので、ある意味本物との区別はないものまである。
観光スポットになっているくらいなので、日本も中国も、偽物だと騒ぎ立てることはなく、暗黙の了解になっているのが痛い。
といいながら、僕もいろいろ買ってしまったので、文句を言う資格はないのだろう。

そもそも、この香港の街にいくと、ブランドという概念自体が、もはや必要かどうかさえ疑わしい。
飯はものすごく安いのに、うまいし、ブランドものを身につけたってすぐに雨でやられてしまう。
地面が汚れているのは当たり前だし、別にそれに気をとがめることもない。
アディダスの直営店で100香港ドルのものが、ここでは10香港ドルだったりする。
果たして、アディダスの直営店で同じものを買う価値がどれだけあるのだろう。
ここでは、価値観自体が違うのだ。
資本主義経済が発展した中で、ブランドという商品そのものの価値以上の付加価値を求め始めた。
しかし、それも多くの人が行き詰まりを感じている。
香港の街並みや価値観は、どこか資本主義に囲まれながらも、資本主義をあざ笑うかのようなところがある。
それは出版やテレビ業界が、どんどんネットに追い出されて圧迫されているのに似ているのかもしれない。
株にしても、広告にしても、情報にしても、そして貨幣にしても、資本主義は実際のものやサービスの価値よりも、より過剰に評価された「価値性」によって発展してきた。
ボーダレスのこの時代に、果たしてそれはどこまで通用するものなのか。

と、同時に、もう一つの考えがわいてくる。
ここではデ○ーゼルのカバンはあっても、デニムはない。
なぜなら、すべて本国のイタリアで制作しているからだ。
それはブランドとしての技術を流出させないためであるとともに、違法な商品を出回らせないためでもあるのだろう。
ブランドを守ることも、僕は否定できない。
中には粗悪な商品をつかまされることもあるからだ。
意外だったのは、極端に日本のアニメ関連の商品が少なかったことだ。
ここでは売っていないだけなのかもしれないし、たまたま見つけられなかっただけかもしれない。
いずれにせよ、アニメやゲームといった日本の独自性は、まねできない魅力を持っているのも確かだ。
では、それをどうやって守るのか。
どこかのヘタレ政党が「国営漫画喫茶」と批判されているが、それもまた、議論の余地があるとは思う。

いったんホテルまで戻った僕たちは、地下鉄チムサァチョイから香港の「御堂筋線」に乗って北上し、今度は男人街へ。
男人街は、名前の通り男性向けの女人街ということだったが、実際にはほとんど女人街と同じ感じだ。
雨が降ってきたからか、それとも時間が遅くなったからか、店じまいする店が多く、じっくり買い物は楽しめなかった。
だが、一つ目に飛び込んできた数字がある。

歩いていると、ネクタイを売る店を発見し、そこで見た驚愕の値段は、なんと「1本20香港ドル」!
おいおい、さっきあれだけ値段交渉の末70香港ドルで買ったのに、その3分の1以下の値段で、普通に売っている!
もう腰から砕けそうな脱力感のもと、さらに2本を購入して去っていった。
もちろん、もう値段交渉してさらに値段を下げる元気などなかった……。
恐るべし、女人街。
いや、女が恐ろしいのかもしれない……。

もう一つ、小ネタを。
男人街では少し小腹が空いてきたので、3軒の屋台で食事をした。
その1軒での出来事だ。
男人街のマーケットの合間、合間でオープンカフェのようにテーブルが通りまでせり出しているような店が並んでいた。
オープンカフェを想像すると全く事実と異なるのだが、日本の夜店みたいなものだろうか。
小籠包を食べようと店をのぞくと、(日本の駅売店のようにカウンターで売っているので店内で食事はできない)若い兄ちゃんが上半身裸で小籠包を売っていた。
それだけでも笑えるのだが、よく見ると、彼がはいているのは海パン。
さらに接客しながら喫煙行為に至る始末。
もう僕たちは爆笑しまくりで観察していた。
出された小籠包の味が気になるところだが、これが抜群にうまい。
なんだか、だまされたような感じだが、さらに別れ際にネタを披露してくれた。
じろじろ見ていたからか、兄ちゃんが声をかけてくれた。
「アー ユー ○ニス?」
あまりの突飛な質問に、聞かれたジョセフは仰天して、聞き返した。
「アー ユー ペ○ス?」
明らかに○ん○んを意味する単語を発している。
と、ひらめいたジョセフが「ああ、ジャパニーズってことね。イエス、イエス!」と答えた。
あまりにも「なまり」がひどく、「ジャ」が聞き取れなかったのだった。

それにしても、いきなり「ち○ち○」と聞かれたら、びっくりするね。
男四人で、それまでしょうもないことを言いまくっていた罰(バチ)が当たったのかもしれない。

そんなこんなで、充実して歩き疲れ、笑い疲れた一日は終わっていった。

(→ その5へ続く)

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