「どうせもう旅行なんていけないんだからどうしても海外がいい!」
「お金かかるやん。同じだけかけるなら、九州一周旅行とかでもいいやん。」
「いや! 絶対海外。フランス語話せるんやろ? だったらフランス!」
「そら、私も行きたいけど……。」
「とりあえず旅行代理店行こう!」
ということで、新婚旅行は御仏蘭西に決まった。
かなり早い段階で申し込みに行ったが、かなり埋まっていて望む日程で望む場所にはキャンセル待ちが多かった。
なんとか一つ、望む日程での直行便が見つかったので、予約を済ませて、ガイド・ブックを買った。
日程は二人が共通して休めるお盆休み、プランはほぼフリー・プランに、オプションをプラスした。
上海に行ったときはいかに安く行くかが一つのテーマだったが、さすがに良い年齢と身分になり、「安全に行く」ことが一つのテーマになった。
だが、フランスと言えば「96時間」のフランスである。
いつ、どこで、へんな兄ちゃんが声をかけてきて誘拐されてしまうかもわからない。
フランス語はもちろんできない。
英語もままならない。
そんな中で、いきなり銃を突きつけられたら、「ヤマカシ」の動きで対応することもできないだろう。
「何かあったら俺だけ逃げるからな」
と宣言しつつ、新婚旅行イン・パリのプロジェクトがスタートしたのであった。
出発の数日前まで私は出張だったので、ほとんど予定が事前に組めなかった。
どこに行くべきかというリサーチどころか、何時にどこに集合かといった基本的なこともわかっていなかった。
フランスへの思い入れもそれほど強いわけではない。
知っている場所は限られているし、どの美術館に何が所蔵されているかもよくわかっていなかった。
出発まで、不安だけが募るばかりだった。
そして、いよいよ関空から出発し、約12時間のフライトへ。
昼出発で時差のため夕方到着だった。
最初の不安は、まさに時差ボケだった。
これまでの海外旅行では大きな時差を経験してこなかった。
せっかくのパリが時差ボケで体調不良……なんていうことのないように、テンションを維持しようと、早速映画鑑賞にとりかかった。
エールフランスだったこともあり、フランス語、英語の映画は多かったが、日本語吹き替えになっているものはかなり少なかった。
結局見たのは「イノセント・ガーデン」「アイアンマン3」「プラチナデータ」の三本。
もっと寝ようとも思っていたが意外と見てしまった。
「イノセント・ガーデン」はあまり集中していなかったので、批評にはできそうにない。
あまり機内でみるような映画ではないかな、というの寸評。
機内では、白ワイン、ビールなどを飲み意気揚々としてフランスへ向かった。
降り立つと税関という関門が私たちを待っていた。
ちょうど他の機も着陸したようで、税関を通る搭乗客でごった返していた。
数百人もいるのに、窓口は四人ほど。
あっという間に長蛇の列ができあがり、通るときにはおっさんが隣のスタッフと談笑するといういい加減さ。
「テロ対策とか大丈夫?」と思いながらホテルからの送迎タクシーの場所へ向かった。
私たちの名前を持ったパリのムッシュが迎えてくれて、プリウスに乗せられた。
しかし、そのムッシュはなぜかいらだっていて、何度か電話していた。
どうやらバスがつまっていて、タクシーが出せない状態のようだ。
「折角着いたのにパリに行けないなんて」……といういらだちよりも私の脳裏に浮かぶのは「上海でのバス見当たらない事件」だった。
このままずっと立ち往生なんてことにはならんよなぁ……と不安に駆られる私。
何を話しているのか聞き取ることもできないので、不安しかない。
30分ほど待っていると、バスが動き出し、ようやく空港を出ることができた。
税関と出発待ちで1時間以上のロスだった。
まあ、仕方がない。
しかし、そこからは早かった。
いや、速すぎた。
ムッシュはどんどん高速を飛ばして、プリウスの速度計には160キロ超の文字が。
パリ市内についても、アクセルとブレーキがレーサーのように繰り返されて、無事到着。
「う~ん、飛行機よりもあの40分くらいの車のほうがしんどかったかな」
ホテルに到着後、ホテルの周りを散策し、サンドウィッチと飲み物を購入し部屋に戻った。
パリ(フランス)の気候についてここで軽く説明しておこう。
私たちがパリに行ったのは八月の半ばで、バケーションの真っ最中だった。
緯度が高いパリではサマータイムが導入されているにも関わらず、日の入りがかなり遅い。
21時くらいになってもまだまだ明るく、時差ボケは心配していたほどではなかったのに、明るすぎることで感覚が狂ってしまった。
22時くらいになってやっと暗くなり、場所によっては危険な雰囲気になってくる。
17時に夕食を食べようものなら、もうそれはカフェなのか夕食なのかわからなくなる。
最高気温25度程度という気温はものすごく過ごしやすかった。
日差しは厳しいが、日陰に入ると一気に寒くなる。
日向はサングラスなしでは歩けない。
もちろんUVケアも欠かせない。
事前に調べておいたが、思った以上に冷える印象だった。
周りの観光客の多くはそれでもタンクトップやホットパンツ、Tシャツなどが多く、肌の感覚もアジア人とは違うようだ。
数多くいたアジアの観光客は一つ羽織ものを羽織っている人がほとんどだった。
それだけ日差しが強いのに、そして日差しに弱い人種のはずなのに、欧米人は薄着なのが奇妙に思える。
かなりお肌の状況が悪そうなパリジェンヌ(どこの国の、何人かはわからんけど)がいたことが不思議だった。
また、日本とは違って、かなり乾燥していて過ごしやすい。
夏の長野県などの高地を思い出す。
過ごしやすい日々を一週間も過ごしてしまうと、大阪のうだるような暑さは耐えられなくなる。
逆にこれだけ涼しいと、きっと冬は極寒なのだろうと想像していた。
夏にこれだけ人が集まるのもうなずける、そんな天候だった。
そして、パリの夜は明けていく……。
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「お金かかるやん。同じだけかけるなら、九州一周旅行とかでもいいやん。」
「いや! 絶対海外。フランス語話せるんやろ? だったらフランス!」
「そら、私も行きたいけど……。」
「とりあえず旅行代理店行こう!」
ということで、新婚旅行は御仏蘭西に決まった。
かなり早い段階で申し込みに行ったが、かなり埋まっていて望む日程で望む場所にはキャンセル待ちが多かった。
なんとか一つ、望む日程での直行便が見つかったので、予約を済ませて、ガイド・ブックを買った。
日程は二人が共通して休めるお盆休み、プランはほぼフリー・プランに、オプションをプラスした。
上海に行ったときはいかに安く行くかが一つのテーマだったが、さすがに良い年齢と身分になり、「安全に行く」ことが一つのテーマになった。
だが、フランスと言えば「96時間」のフランスである。
いつ、どこで、へんな兄ちゃんが声をかけてきて誘拐されてしまうかもわからない。
フランス語はもちろんできない。
英語もままならない。
そんな中で、いきなり銃を突きつけられたら、「ヤマカシ」の動きで対応することもできないだろう。
「何かあったら俺だけ逃げるからな」
と宣言しつつ、新婚旅行イン・パリのプロジェクトがスタートしたのであった。
出発の数日前まで私は出張だったので、ほとんど予定が事前に組めなかった。
どこに行くべきかというリサーチどころか、何時にどこに集合かといった基本的なこともわかっていなかった。
フランスへの思い入れもそれほど強いわけではない。
知っている場所は限られているし、どの美術館に何が所蔵されているかもよくわかっていなかった。
出発まで、不安だけが募るばかりだった。
そして、いよいよ関空から出発し、約12時間のフライトへ。
昼出発で時差のため夕方到着だった。
最初の不安は、まさに時差ボケだった。
これまでの海外旅行では大きな時差を経験してこなかった。
せっかくのパリが時差ボケで体調不良……なんていうことのないように、テンションを維持しようと、早速映画鑑賞にとりかかった。
エールフランスだったこともあり、フランス語、英語の映画は多かったが、日本語吹き替えになっているものはかなり少なかった。
結局見たのは「イノセント・ガーデン」「アイアンマン3」「プラチナデータ」の三本。
もっと寝ようとも思っていたが意外と見てしまった。
「イノセント・ガーデン」はあまり集中していなかったので、批評にはできそうにない。
あまり機内でみるような映画ではないかな、というの寸評。
機内では、白ワイン、ビールなどを飲み意気揚々としてフランスへ向かった。
降り立つと税関という関門が私たちを待っていた。
ちょうど他の機も着陸したようで、税関を通る搭乗客でごった返していた。
数百人もいるのに、窓口は四人ほど。
あっという間に長蛇の列ができあがり、通るときにはおっさんが隣のスタッフと談笑するといういい加減さ。
「テロ対策とか大丈夫?」と思いながらホテルからの送迎タクシーの場所へ向かった。
私たちの名前を持ったパリのムッシュが迎えてくれて、プリウスに乗せられた。
しかし、そのムッシュはなぜかいらだっていて、何度か電話していた。
どうやらバスがつまっていて、タクシーが出せない状態のようだ。
「折角着いたのにパリに行けないなんて」……といういらだちよりも私の脳裏に浮かぶのは「上海でのバス見当たらない事件」だった。
このままずっと立ち往生なんてことにはならんよなぁ……と不安に駆られる私。
何を話しているのか聞き取ることもできないので、不安しかない。
30分ほど待っていると、バスが動き出し、ようやく空港を出ることができた。
税関と出発待ちで1時間以上のロスだった。
まあ、仕方がない。
しかし、そこからは早かった。
いや、速すぎた。
ムッシュはどんどん高速を飛ばして、プリウスの速度計には160キロ超の文字が。
パリ市内についても、アクセルとブレーキがレーサーのように繰り返されて、無事到着。
「う~ん、飛行機よりもあの40分くらいの車のほうがしんどかったかな」
ホテルに到着後、ホテルの周りを散策し、サンドウィッチと飲み物を購入し部屋に戻った。
パリ(フランス)の気候についてここで軽く説明しておこう。
私たちがパリに行ったのは八月の半ばで、バケーションの真っ最中だった。
緯度が高いパリではサマータイムが導入されているにも関わらず、日の入りがかなり遅い。
21時くらいになってもまだまだ明るく、時差ボケは心配していたほどではなかったのに、明るすぎることで感覚が狂ってしまった。
22時くらいになってやっと暗くなり、場所によっては危険な雰囲気になってくる。
17時に夕食を食べようものなら、もうそれはカフェなのか夕食なのかわからなくなる。
最高気温25度程度という気温はものすごく過ごしやすかった。
日差しは厳しいが、日陰に入ると一気に寒くなる。
日向はサングラスなしでは歩けない。
もちろんUVケアも欠かせない。
事前に調べておいたが、思った以上に冷える印象だった。
周りの観光客の多くはそれでもタンクトップやホットパンツ、Tシャツなどが多く、肌の感覚もアジア人とは違うようだ。
数多くいたアジアの観光客は一つ羽織ものを羽織っている人がほとんどだった。
それだけ日差しが強いのに、そして日差しに弱い人種のはずなのに、欧米人は薄着なのが奇妙に思える。
かなりお肌の状況が悪そうなパリジェンヌ(どこの国の、何人かはわからんけど)がいたことが不思議だった。
また、日本とは違って、かなり乾燥していて過ごしやすい。
夏の長野県などの高地を思い出す。
過ごしやすい日々を一週間も過ごしてしまうと、大阪のうだるような暑さは耐えられなくなる。
逆にこれだけ涼しいと、きっと冬は極寒なのだろうと想像していた。
夏にこれだけ人が集まるのもうなずける、そんな天候だった。
そして、パリの夜は明けていく……。
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