クリント・イーストウッドが“人生”を賭けた作品
遠くの家族より、近くの他人。昔の人はいいこと言いました。まさにこのことわざどおりだ。
クリント・イーストウッドが、この作品以降、俳優業から、監督業中心とする活動を意向したそうです。残念ですね。でも素晴らしい作品をこれからも届けてくれるでしょう。
4月27日、MOVX京都にて鑑賞。
エンディング。グランド・トリノが走り去る光景を観ながらあのメロディーとともに。ただただ涙しました。結末に対しての驚きや悲しみより、クリント・イーストウッドが伝えたかったことへの涙でした。「スラムドッグ$ミリオネア」も、「ミルク」も素晴らしい作品でしたが。この作品もほんまに感動作でした。
私は、クリント・イーストウッドに感謝したいです。忘れていた心を取り戻してくれたように思います。昨今、人間関係の歪みや稀薄な状況の中で一番忘れてはいけない、大事にしなければいけない心を教えてくれたことにお礼を言いたいです。
連日報道される殺人や暴力など・・・・。もうどうなっているの?と目を背けたくなる毎日だけど。目を背けてはいけない。自分がどのようなかたちでもいいから、人を救うことが出来る人間になれればなんて思いましたね。
“グラン・トリノ”って??車だったのですね。知りませんでした(汗)
アメリカのフォード社の車だそうで、1972年から76年に生産されたものフォード・トリノという車種のひとつ。
映画で使われたグラン・トリノはスタッフがユタ州バーナルで見つけた実物。
色々勉強になります。この映画を観なかったら、この車の存在も知らなかったかも。
物語。
偏屈な老人の日常
ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)には自分だけの正義があった。それに外れるものは、何もかも許されない頑固で偏狭な男だった。妻の葬儀では孫娘の露出過剰なファッションに怒り、大勢の参列者を「会食に出すハムを食いに来ただけだ」と一刀両断!
神父は亡妻からウォルトのことを頼まれていた。懺悔するようにと・・・・。
説教が気に入らない新米のヤノビッチ神父には「頭でっかちのDOUTEI」と毒づく。
二人の息子たちは、式が済むと逃げるように帰って行った。
もっと許せないことがある。近隣に住むアジア系の移民たちだ。大人たちは家屋の手入れをせず、若者たちはギャングを気取って異人種間の小競り合いを繰り返している。彼らに罵声を浴びせる以外のウォルトの日常はいたって退屈だった。自宅の修繕、芝刈り、愛犬デイジーに語りかけながらビールを飲み、月に一度は床屋へ。
唯一の楽しみは愛車「グラン・トリノ」を眺めること。定年までフォードの自動車工を勤めあげたウォルトが、1972年に自らステアリング・コラムを取り付けた自慢のヴィンテージ・カーなのだ。
突然の侵入者
その大事な車を盗もうとする、命知らずの少年が現れる。隣に住むモン族のタオ・ロー。学校にも行かず仕事もないタオは従兄のスパイダーに不良グループへ引き込まれ、車を盗むように命令されたからだ。夜中にガレージに忍び込んだタオは、ウォルトにM1-ライフルを向けられて逃げ出す。いきり立ったウォルトは、タオにヤキを入れたスパイダーたちにもライフルを突き付ける。自宅の庭に侵入されて激怒したのだが、タオを不良から救う結果となる。
交流
翌日、タオの母と姉のスー、そして親戚までもが、花に植木、料理にお菓子と、お礼を持って続々押しかけるが、ウォルトには迷惑なだけだった。
また別の日、ウォルトはスーが黒人のふたり組みに絡まれているところを助けることに・・・・朗らかで機転の利くスーとの会話に、ウォルト自身意外なことにじつに楽しいものだった。
そしてそんなある日、ウォルトはスーから自宅に招待される。
ビールに釣られて訪ね、最初は気まずい空気に慣れないウォルトだったが、交流するうちに思わず、「どうにもならない身内より、ここの連中のほうが身近に思える」と独り言を呟いていた。
交流
ウォルトを訪ねてきたスーと母親は、自動車盗難未遂のお詫びにタオを働かせてほしいと強引に頼み込む。渋々引き受けたウォルトとタオの間に不思議な交流が始まった。近隣の家の修繕を命じられたタオは労働の喜びに目覚めていく。手本となる父親がいないタオにとって、ウォルトは人生の師だ。
ウォルトもまた生き生きと働くタオを見直し始める。約束の日が過ぎても、タオは何かとウォルトを手伝うのだった。
タオに建設現場の仕事を世話
タオに挨拶や礼儀も教えた。ウォルト独特な荒削りな言葉が印象的。
タオのため、仕事に必要な物を購入したり。
自慢の工具を貸し与える。
年の離れた不思議な友情が微笑ましい。
今やウォルトはタオを一人前の男にするということに、生きる喜びを感じていた。
何もかもが順調に見えた時、スパイダーたちの嫌がらせが再燃する。ウォルトが受けて立ったばかりに、争いはさらに加速。ウォルトはタオと家族の命の危険さえ感じ始める。
タオとスーの未来を守るために、ウォルトがつけた決着とは・・・・・?
ウォルトは彼らに出会ったことで、固く閉ざしていた心を開いた。そして本気で彼らの将来のことを真剣に考えた。彼らの人生を脅かす連中の存在がある限り、潰されるのは目に見えている。
タオたちを命を賭けて守ろうとした。そんなウォルトは一体どんな行動に出たのか?
俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。
ネタばれは致しません。ぜひ観てください。そして感じてください。
タオ・ロー(ビー・ヴァン)
本作でプロデビューを果たした新人さん。
スー・ロー(アーニー・ハー)
彼女も本作で映画界デビュー
ヤノビッチ神父(クリストファー・カーリー)
監督・製作・出演 クリント・イーストウッド
「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、自ら主演して世の中に怒れるガンコ老人を演じた感動の人間ドラマ。急速に様変わりしていく世間を嘆き、孤独に生きる人種差別主義者の偏屈老人が、ひょんなことから隣人のアジア系移民家族と思いがけず交流を深めていくさまをユーモアを織り交ぜつつ綴る。
クリント・イーストウッド俳優引退、監督専念へこちらをご覧下さい→詳細
メディア | 映画 |
上映時間 | 117分 |
製作国 | アメリカ |
公開情報 | 劇場公開(ワーナー) |
初公開年月 | 2009/04/25 |
ジャンル | ドラマ |
今年79歳。パワフルなクリント・イーストウッド。次回作は2010年公開予定。
その他のキャスト
コリー・ハードリクト | デューク | |
ブライアン・ヘイリー | ミッチ・コワルスキー | |
ブライアン・ホウ | スティーブ・コワルスキー | |
ジェラルディン・ヒューズ | カレン・コワルスキー | |
ドリーマ・ウォーカー | アシュリー・コワルスキー | |
ジョン・キャロル・リンチ | ||
スコット・リーヴス | ||
ブルック・チア・タオ |
音楽:
カイル・イーストウッド クリント・イーストウッドの実子 | ||
ウォルトは朝鮮戦争の生き残りという設定だが、イーストウッド自身もこの戦争に兵役で就いているらしい。戦闘には参加していないそうだ。 |