オルセー美術館開館20周年記念作品
作品を観るまで知らなかった(汗)あのオルセー美術館開館記念で製作されたとは・・・。それにしても凄いですよね。贅沢な企画に驚き!!
残念ながら、フランスにも行ったことがありません。だからオルセー美術館もですが、ルーヴル美術館にも行ったことがない。そういえば、ただ今京都でルーヴル美術館展が開催されています。多分連日満員なんだろうし・・・・。まともに絵を鑑賞するような状況ではないだろう。そうなると、直接行くのがいいでしょうが・・・・。う~ん旅費がいるし・・・・。
一番感動したのは、素晴らしいローケション。何でもロケの舞台になったお洒落なアトリエと広大な庭の所在地は、パリ郊外のイル・ド・フランス地方、ヴァルモンドワ。センザンヌやモネなどの印象派の画家たちが愛してやまなかった場所だそうです。
まるで絵のような風景・・・・。
映画の中にさまざまな美術品が登場。バルビゾン派の代表的画家カミュー・コローの2枚の風景画。そして「独創的な幻視者」と言われたオディロン・ルドンの晩年の装飾画。
「ドメシー家の装飾画」1900-01 ルドン作 オルセー美術館蔵
※傷みが激しいため、貸出が困難となった為、急遽レプリカが使用された。
物語&レビュー
誰にでも
思い出が輝く
場所がある。
夏の緑豊かな庭に、75歳の母エレーヌ(エディット・スコブ)の誕生日を祝い家族一同が集う。歓声をあげて走り回るこどもたちの身軽さとは対照的に、おとなたちは、エレーヌを中心に、長女、長男、次男、二人の嫁がテーブルを囲んで、あまり快活とは云えない雰囲気を醸し出している。「世界の他の全てはおおかた陽気なのに、何故、人間と犬だけは陰気なのか?」と云ったジル・ドゥルーズの言葉の真意を測りかねるわけではないが、人間にはそれなりに陰気になるべき要因が幾らでも思い浮かぶもので、この美しい庭に集うおとなたちの憂鬱にもそれ相応の理由があることが次第に明かされていく。
グローバル化の現代、長女アドリエンヌ(ジュリエット・ビノシュ)はニューヨーク在住のデザイナー、長男フレデリック(シャルル・ベルリング)は経済学者、次男ジェレミー(ジェレミー・レニエ)は、中国で企業に勤める。彼らがこどもの頃から過ごして来た瀟酒な邸宅も、それぞれの想い出が詰まったインテリアや美術品も全て処分してお金に替えなければ、新たな地で生活の基盤を築くことができない。母エレーヌはこうした事情を察し、長男を密かに呼び寄せ、母の死後、この家と財産を処分するよう諭す。コローやルドンの絵画、ブラックモンの花瓶、マジョレルがデザインした机やドガの「右足の踵を見る踊り子」といった美術品は全て(ルドンのレプリカを除く)オルセー美術館から借り出されたものだが、観客はそこに一級の美術品の威光を見るというよりは、邸宅の生活空間で一家と共に歳月を重ねた家族の記憶そのものを見る思いがするだろう。単なる美術品ではなく、精神が宿っている物を手放さざるを得ないというところが忍びない。そして、何よりも“家族”自体が離散していく。そのプロセスを情感豊かに描く、アサイヤス監督の演出は、感傷過多に陥らず澄みきった透明感を漂わせ、秀逸この上ない。
あの夏の時間に家族一同が集った邸宅では、長男フレデリックの娘が学校の友達を大勢呼んでパーティーを開いている。そこには、もはや、祖母エレーヌはもちろん、長男、次男、長女の姿はない。エレーヌの孫の世代の若者たちがプレイするヒップホップが、新春の緑生い茂る廃墟と化したかつての邸宅に鳴り響く。印象派の画家たちが愛した時代の田園風景的な緑よりも更にワイルドに繁茂した森のような緑の中で、グローバリゼーションを経たフランスの若者たちが春のひとときを過ごしている。現代社会におけるひとつの“家族”の物語を洗練された方法で描写し得た類い稀なる傑作映画のエンディングにふさわしく、フランスの映画作家としての原点回帰、ジャン・ルノワールの名を想起させながら、スクリーンいっぱいに映し出された官能的で壮観な眺めが漠とした希望の光を未来に向けて放っている。
(OUTSIDE IN TOKYOオリヴィエ・アサイヤス夏時間の庭レビューより)
カミュー・コローの作品が劇中登場します。
1作は「セーヴル街道」 1855年
2作目は、「木陰の門」 1845年
実は「セーヴル街道」もレプリカだそうです。1998年にルーヴル美術館から盗まれたまま未だ行方がわからないらしいです。
その昔、私も油絵をやってました。印象派が大好きというわけではありませんが、フランスという国で活躍した印象派の画家たちの原点がこんな素晴らしい地だったことに凄く感激しました。
こんな素晴らしいロケーションで製作することは芸術活動するには最高ですね。
ところで私事になりますが、今まで通っていた銅版画のアトリエもリニューアルされ、まさしく自然の中に溶け込んだ場所で製作出来るようになりました。
「夏時間の庭」を鑑賞して、今の自分と何処か重なるような気分になりました。
(自己満足かも・・・・・。)
オリヴィエ・アサイヤス監督(左)
そしてアドリエンヌの恋人役ジェームスにはクリント・イーストウッドの息子さん、
カイル・イーストウッド(右)が出演していたんですね。
実はもうひとつ、私がこの映画を観た目的は、ジェレミー・レニエでした。密かにファンなのでありました
メディア | 映画 |
上映時間 | 102分 |
製作国 | フランス |
公開情報 | 劇場公開(クレストインターナショナル) |
初公開年月 | 2009/05/16 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 |
PG-12 |
オフィシャル・サイト
http://natsujikan.net/