ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ブライアン・ブロンバーグ (Brian Bromberg)

2006年04月24日 | ミュージシャン
♪お気に入りアーティスト48(海外篇その35)


 ベースを弾いていると、時々「好きなベーシストは?」なんていう質問を受けます。
 実は、以前は「好きなベーシスト」ってなかなかいなかったので、この質問の返事には、わりと困っていたのです。
 とくにジャズをやっていると、ロック系ベーシストの名(ジャック・ブルースやピート・セテラ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ポール・マッカートニー、ティム・ボガートなんかは好きです)を挙げると意外そうな顔をされたり、「ポール・チェンバースとかレイ・ブラウンなんかは好きじゃないんですか?」なんて重ねて訊かれることも多かったのです。チェンバースにしろ、ブラウンにしろ、偉大なベーシストには違いありません。でも、お手本になるベーシストと、好きなベーシストは、微妙に違っていたりするんですね。
 今では、好きなベーシストというと、ジャコ・パストリアス、ゲイリー・ピーコック、ロン・カーター、ミロスラフ・ヴィトウス、金澤英明、北川潔、そして、ブライアン・ブロンバーグなどの名前を挙げることができます。

 
 ベース弾きのはしくれとしては、見聞を広めるために、バックで鳴っているベースの音に集中してCDを聴いたり、時々はベーシストのリーダー・アルバムを聴いたりしています。
 そういう時に一番興味を抱くのは、そのベーシストの作り出す音楽ぼくの好みかどうか、というところです。
 対象がどの楽器でも言えることだと思いますが、例えば、演奏者がいくらうまくても、その音楽が心に響かないことがあるし、逆にとつとつとした語り口だけれども、とても味のある良い演奏になっている場合があります。
 ブライアン・ブロンバーグは、テクニックも凄いし、作り出す音楽もカッコいい。つまり、「うまくて、良い」のです。


 ブライアンは、ウッド・ベース、ピッコロ・ベース(ウッド・ベースのチューニングを高く設定したもの)、エレクトリック・ベース、エレクトリック・フレットレス・ベースなど、あらゆるベースを流暢に弾きこなします。
 アコースティック・ジャズ、エレクトリック・ベースを使った8ビート・16ビート系音楽、ウッド・ベースを使った8ビート・16ビート系音楽と、さまざまな音楽に取り組んでいます。


      『ウッド』 (2000年)   

      『ポートレイト・オブ・ジャコ』 (2002年)


 ブライアンの弾くウッド・ベ-ス、凄いです。凄すぎます。
 ブライアンのリーダー作の帯にこんなコピーが書かれています。「私はこのアルバムを聴いて三日間、ひざを抱えてしまいました(某ベーシスト)」
 このコピー通りでした。
 スピード感充分に弾きまくるブライアンのウッド・ベースは、カミソリのような切れ味、とでも言ったらいいのでしょうか。音がグイグイとうねりながら押し寄せてくるようです。そのうえそのフレーズの歌いまくること。強引な速弾きだけで押し通しているわけではないんです。


 エレクトリック・ベースを弾かせると、これまた超人的。まるで右手の指だけで10本あるんじゃないか、左手は人の倍速く動くよう生まれついているんじゃないか、と思えるほどです。スラップ、タッピングなど、特殊奏法も自由自在。
 ベースだけを多重録音して曲に仕上げる、なんてこともやっています。「ポートレイト・オブ・ジャコ」の中に収められている「スラング」という曲がそれです。強烈なグルーヴに乗って、華麗かつ驚異的なテクニックで音を積み重ねています。でも、決して無機質ではないのです。とにかく凄くてカッコいい。


     
     『ダウンライト・アップライト』(2006年)


 ブライアン・ブロンバーグは、テクニックと音楽性のバランスが見事に取れているスーパー・ベーシストなのです。
 ベースを好きな人には、ブライアンの世界もぜひお薦めしたいです。
 そういえば、5月に大阪ブルー・ノート(10~11日)と名古屋ブルー・ノート(12~13日)、6月にはブルー・ノート東京(11~14日)でライブがあるんですね。メンバーは、ジェフ・ローバー(Keyb)、デイヴ・ウェックル(Drs)、ゲイリー・ミーク(sax)です。
 うーむ、これは食指の動くイベントだなぁ~


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コメント (6)
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