ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

CDとCDの袋とCDショップ

2006年04月27日 | 随想録

 
 最近のCDは紙ジャケットのものが増えてきた。
 LPレコード時代を知っているぼくとしては懐かしさがないこともないが、とくに「紙ジャケ」であることにこだわりがあるわけでもない。でも、紙の手触りがもたらしてくれるどこか自然でアナログな感覚は、わりと気に入っている。


 この「紙ジャケ」のタイプに、三つ折の見開き(と言っていいのかな)タイプのものが結構ある。
 見開きの部分はミュージシャンの写真になっていたりして、そのデザインを見るのが楽しいものも多いのだが、ひとつ困ることがあった。
 それは、見開きタイプのジャケットのCDを持つと、何かの拍子にジャケットに畳み込まれているライナー・ノートが滑り落ちることだ。
 まあ、「困る」というのは大げさかな。実はそれほどのことでもなく、「気になるなあ」と感じる程度のことなのだけれどね。


     


 この間からちょいちょい行っているCDショップがある。その近所にある「新星堂」などの大手に比べると、店舗面積も商品数も少ない、ごく小さなお店なのだが、気に入っている点がいくつかある。
 まず、流行のJ-POPなどは置いていないかわり、60~80年代のロック、それも売れ筋のばかりではなくて、いわゆる隠れた名盤などもよく見かけること。
 次に、そのお店は新品と中古品の両方を置いているのだが、陳列棚のCD部分はジャズとロックに大別され、その中でABC順に分かれているだけ。つまり、例えば「ビートルズ」の部分は新品も中古品も同じ棚に並んでいるわけだ。これは探しやすいし見やすい。
 そして、かつてのLPレコードがレコードと同じサイズの袋に入っていたように、CDにはビニールの保護袋をつけてくれること。この袋がありがたい。そうなのだ、これさえあれば、もうライナー・ノートが滑り落ちるかもしれないという小さな心配をしなくてもよいのだ。


 不思議とほかのお店ではこのような袋はつけてくれない。
 もちろん、売り場に置かれている時に商品が入れられているビニール袋ごと包装してくれるのだけれど、たいていこれは袋の口にのりが付いていて、閉じたりはがしたりしなければならないタイプなのだ。そういうのって、取り出す時に少し面倒に感じる。


     


 先日そこへ行った時、CDを買うついでに思い切って「そのビニールの袋、実費で譲ってもらえませんか」と頼んでみた。
 するとHIP-HOP調のファッションに身を包んだ若い店員さんは、「いいですよ~、あ、袋代もけっこうです」と快く笑顔で応対してくれた。
 10枚ほどもらえたので、とりあえずライナーが滑り落ちそうなものから順に袋に入れていった。これだけのことでちょっとした満足感を味わえるなんて、ぼくも単純といえば単純だなあ。(;^ω^)


 このささやかな一件で、この小さなCDショップは、これからぼくの行きつけの店のひとつになることが決まった。
 あるお店の常連さんになるって、えてしてこのような、ふとしたことがきっかけなんじゃないかな。
 
 

コメント (6)
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