箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

 強いつながりは苦手

2021年10月04日 16時30分00秒 | 教育・子育てあれこれ


わたしは高校3年の夏、友だちと徳島県の海部町(いまは海陽町)という町に泊まりに行きました。友だちのお父さんのふるさとでした。

徳島市内からJRに乗り、その後かなりの山あいに入っていきました。

家の前には海部川という、水が澄みきったきれいな深い川が流れていました。

水深は深いところで3メートルはゆうに超えていました。川底に大きな鮎が泳いでいました。

この町は江戸時代は材木の集積地で、移り住む人が昔から多くいました。

という点で、海部町は日本古来の農村型の地縁結合型のコミュニティではないという点で他の地域とは異なって発展してきました。

わたしは、子どもの頃は地域にまだ「村落共同体」的な特徴が残っていました。相互扶助がありがたい反面、プライベートにも入り込むので煩わしくもありました。

ところが、海部町の近所づきあいは、常日頃から生活を支え合うような関係ではなく、もっとゆるやかなつながりです。

その海部町が突出して「自殺率の低い町」として、注目されています。

ひょっとすれば、「絆」に代表されるような人間関係の縛りがゆるいコミュニティほど、自殺に向かう人は少ないのかもしれません。

いまの中学校の生徒の状況を見れば納得がいきます。

○年○組という学級は、1年間同じメンバーで、人間関係が濃くなると同調圧力がはたらきやすいのが今の集団の特徴です。

みんなとちがった言動がとれないというしばりがつよく、自分だけちがったことをすると仲間はずれにされ、孤立することもあります。

もちろん、そのような集団を適正で教育効果の高い集団に成長させていくのが、学級担任の役割です。

ただ、今の時代は人を孤立させない「ゆるやかな人間関係」でつながり合うのがいいのです。

東北地震以降よくいわれるようになった「絆」は響きのいい言葉ですが、つながりを生み出す反面、メンバーをしばる側面があるのです。

いつも「同じ」行動・活動に従事するのではなく、この活動ではこの人とつながり助け合うが、別の活動ではまた別の人とつながっているような人間関係の方が望ましいのです。

お互いを拘束する強いつながりは生きづらさを生み出し、つながりが強くなるほど他から入ってくる人をはじき出すことになり、絆の中に入れない人は孤立するとういう傾向があります。



いま始めるのはSDGsの教育

2021年10月04日 07時10分00秒 | 教育・子育てあれこれ


今の気候変動は、けっこう急激に進行しているように感じます。

地球が温暖化して、線状降水帯が発生しやすく、豪雨がしばしば降るようになっています。

事実、私の地域でも温暖化は肌で感じています。大阪府でも北部なので,わたしの子どもの頃ははひと冬に4~5回は雪が積もりましたが、今では1回積もるか積もらないかです。

また、20年前までは冬期に道路が凍結するのでスタッドレスタイヤが必需品でしたが、いまはほとんど必要ありません。

また、庭に生える雑草も種類が変わってきました。植物は環境に対して正直です。

こういう温暖化現象は、人間がこれまでに排出してきた温室効果ガスがたまってきて起きていることなので、かりに今すぐに排出をゼロにしたとしても、温暖化による被害はすぐには止められません。

つまり、ここで排出ペースを下げても、またゼロにしたとしても、温室ガスはすこしずつ上昇していくと考えられます。

となると、温暖化の問題は、遠い先の話ではなく、いまの子どもたちがダイレクトに影響を受ける問題であるということです。

いまよりも夏の気温は暑く、大雨が降る頻度は高くなるのです。

よって、いまSDGs(国連の「持続可能な開発目標」)に取り組むのは、喫緊の課題です。

学校教育のなかでもICT教育やSociety5.0への対応も大切ですが、もっとSDGs教育に取り組まないと被害を受けるのは、学習の主体者である若い世代です。

「そのうちに・・・」では、地球温暖化による被害はますます増大します。

大量生産・大量消費・大量廃棄を続けてきたことにより、気候が危機的な状況にあるだけでなく、生物の多様性が失われてきています。

ものをつくる側、消費する側相互の関わり合いで、「つくる責任、つかう責任」(SDGsの目標の12番)に貢献する人びとや企業の取り組みを進めていかなければなりません。