低い賃金で待遇が安定しない非正規雇用で働いてきた多くの人たちが、これから本格的に高齢期を迎えます。
現役で働いていたときの蓄えが乏しく、受け取る年金も少ない人たちが増加するのです。
その人たちは、もちろん結婚するかどうかは個人の選択ですが、経済的な不安から結婚したくても見送ってきたケースが多いと言われています。
日本の1人暮らしの高齢者は、現在でさえ日常生活で友人や近所の人に頼る比率が欧米より低いと言われています。
その年齢層に、今後未婚者が加わると、日本社会では孤立がいっそう深まる恐れがあります。
このままいけば、2050年に日本の総人口が1億人以下にまで減少するなか、1人暮らしの高齢者と日本で生活する外国人が大幅に増えます。
その数は両方とも1000万を超える可能性があります。
そのとき懸念されるのは、さらに貧困と孤立が広がり、日本は新たな格差社会になってしまうことです。
1人暮らしといっても、特筆すべきは配偶者との死別した1人暮らしの人たちは減り、前述したように失われた30年間に非正規雇用ではたらいてきた未婚の1人暮らしの人たちが増えるのです。
ところが、いまの日本の年金制度はいまだにサラリーマンと専業主婦の家族単位を基本として生徒設計されています。
非正規雇用者と未婚の人、離婚した人も安定した生活が送れるよう、制度を家族単位から個人単位に切り替えなければなりません。
そして貧困と孤立を防ぐために、非正規労働者も年金に加入し、年金を受給できるように制度を変えなければならないのです。
また、日本で暮らす外国人の生活保障のため、日本人だけの均質的な社会の維持継続にこだわるのではありません。
人口減少期こそ多様な人びとが活動する多文化共生社会を推進する法の整備が急務です。
そのため、学校教育においても、いまの児童生徒が社会保障制度のあり方を学習する機会をもち、同時に多文化共生教育が推進されなければなりません。