少子化の問題を考えるとき、夫婦になっているカップルが、欲しい子どもの人数よりも、子育てにかける労力や金銭的な困難から、「ほしいけど、とても無理」とあきらめてしまっている現状に目を向ける必要があると思います。
あきらめてしまう理由としては、現状の働き方の問題があります。
就業に関しては、近年、育児休業や時短勤務などの制度が整ってきました。
このように、女性は出産した後で、継続して仕事に就く道がかなり開かれてきました。
ところが、そのぶん働くことができる時間が限られることになります。
その結果、仕事のペースが落ちることで賃金が減る、また自分への評価が下がることへの懸念が生まれます。
また、職場での活躍度という点で、能力が発揮できにくくなるというような支障があります。
また、男性の育児休業も拡充する方向にありますが、長時間労働の慣行は現存しているため、転勤を断ることも難しという事情に直面します。
だから依然として「男が仕事、女性は仕事と家庭」といった性別役割分業も残存しているのです。
その結果、次の子をもつのは「とても無理」となるのです。
そもそも出産するかどうかは個人の選択ですが、望んだ場合には実現できるような社会や企業であるべきです。