医学でのインフォームドコンセントの必要性は、およそ20年以上前から言われ始め、病院での実践がなされてきています。
医療関係者が、治療方針を患者に十分な説明をして、患者の意向を聴きとったうえで合意形成をしながら治療にあたるもので、情報開示と説明責任が病院側に求められます。
そして、今では一歩進んで、治療の合意だけでなく、方針を決めるプロセス自体にも関わってもらおうという「共同意思決定」の実践が一部の医療機関で行われています。
関東地方のある病院では、患者を入れたカンファレンスに約30人が集まり、主治医、看護師、管理栄養士がそれぞれ経過を説明します。
糖尿病患者への質問を交えながら、検査で気になった数値や、警戒すべき合併症への対応について意見が述べられます。
その上で退院後の食生活の管理やインスリンの自己注射について、男性の仕事を考慮し無理なくできるようにする方針を確認しました。
その患者は、「カンファレンスを聞いて、先生たちがどういう考えで薬を処方したり、治療法を提案したりしているかが理解できた」と語ります。
生活改善が柱となる糖尿病治療は、患者の意欲が重要になります。
一方で、糖尿柄には「自分の不十分な健康管理による自己責任」という偏見が付きまとい、患者や家族らが病気と正面から向き合う妨げにもなっているのです。
それだけに言葉の一つ一つに気を使わねばならず、患者を傷つける不用意な表現をしないように注意しなければなりません。
このような「共同意思決定」を通して、医療における言葉の大事さを、医師や看護師らがより自覚するようになるという効果も現れてきています。
言葉一つで人を元気づけ、励ますこともできますが、人を傷つけることもあります。
SNSの利用で、言葉が軽視される傾向にありますが、言葉の大切さを再認識したいところです。