昨日のブログで、わたしは「笑顔は大切」といいました。
今日は、それには矛盾することを述べます。
被災した人たちのことを思うと、この令和6年はほんとうにたいへんな年だっただろうと思います。
大きな地震で被災したうえに、豪雨にも見舞われ、たくさんのものを失ってしまった人たちです。
本来、人の不幸・不運、悲しみや悩み、不安は自分の責任ではないところから襲ってくる
からこそ苦しいのです。
どんな逆境にあっても、笑顔を忘れずに立ち上がり、前を向いて進んでいける人もいるでしょう。
でも、思い詰めて、心が折れそうになったしまう人もいます。
そのような人に、「いつも笑顔でいましょう」「笑っていよう」とは言えないものです。
笑顔はともかくとして、いまの日本は笑いすぎです。
TVでは出演している人が大笑いして騒いでいます。
とくに、最近はグルメの番組が多く、出演者が笑顔で食べて、ウケのいいコメントをどう発するかに必死です。
笑顔や笑いが充満している時代です。
研究者によれば、もともと日本民族はよく泣く性質をもっていました。
泣くのは、嬉しいにつけ、悲しいにつけ、よく泣いたのでした。
ところが、最近では、人前で泣くと怪訝な顔をされることが多くなりました。
泣くことによって、心が解放されて、気持ちが新たになるという効用があるのです。
テレビで出演者が大笑いしているのを見て、悲しみや苦しみを一瞬は忘れることができるかもしれません。
しかし、それは本当の意味で気持ちを明るくしてくれる笑いではありません。
表面上の笑いで、悲しみから目をそらそうとしても、直面している問題はまったく変わらないのです。
むしろ、泣いて、悲しみをとことん味あわなければ、本当の喜びは生まれてこないのではないかと思います。
そして、よく人は「悲しみを乗り越えて」と言いますが、わたしは悲しみは乗り越えられないと思うのです。
絶望、悲しみを感じながらも、一生その悲しみとつきあって、それでも前を向いていく。
それが生きるということではないでしょうか。
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