箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

批判的にものごとをみる~Critical Thinking~のすすめ

2021年10月26日 08時07分00秒 | 教育・子育てあれこれ

新型コロナウイルスが去年のはじめに世界に広がりだしたとき、トランプ大統領は中国武漢から広がったと断定し、新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と呼びました。

また、遠く1923年に関東大震災の混乱の中、「在日朝鮮人が井戸に毒を入れた』というデマが広がり、朝鮮人への攻撃が起こりました。

つまりおよそ100年たっても、この類のデマや今でいう「フェイクニュース」はなくならないのです。

そして、ネット社会がこれだけ浸透した今では、人びとはニュースの扱い方に関する基礎的な知識がなく、まわりへの伝え方への意識が低い場合、すぐに「拡散」してしまいがちです。

新聞社が記事を出す場合には、原稿がまわるとデスクから「この『事実』はどのように確認したか」というチェックが厳しく入ります。

その確認が済んだものだけが実際に私たちが読む新聞の記事になります。

新聞記者の取材には労力と時間がかかります。そして書れた原稿にのる事実を複数の角度から確認し、妥当性のあるもだけが新聞記事になります。

それだけ、客観性、ある意味での信頼性があるのが新聞記事です。

そのため時間と労力がかかるのですが、新聞やテレビがその時間をとられているうちに、いまはすぐに誰かがツイッターなどで「拡散希望」と銘打ってネットに流すのです。

なかには、「テレビ、新聞が伝えていない真実」という冠をつけて流す人もいます。

YouTubeなどの場合は、たくさんの人が閲覧してくれればそれだけで本人の収入になります。「事実」の真偽よりも、儲ければいいという無責任な人もいます。

新聞記者は、自分が担当する分野の毎日のできごとや記録という「事実」を残していくのが基本です。その積み重ねが後には「歴史」となります。

その意味では新聞記者は歴史の初稿を書いているという自負と責任をもってほしいと思います。

そして、無責任なネット拡散者にニュースの載せ方をアピールしてほしい。それが今必要な既存メディアの役割とも言えるのではないでしょうか。

また、新聞の読者の私たちも、いま読んでいる事実が、のちに歴史に記されていくかもしれないという視点をもつべきです。

さらに、「批判的思考」(CRITICAL THINKING)で、ものごとをみて、判断する力は、学校教育で、授業で、メディア・リテラシーとして子どもの頃から身につけていかないと、将来のフェイクニュースの生産者、拡散者になりかねません。

(カバー写真と本文の内容は関係ありません。)


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