箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

知ってほしい 農業の現状を

2021年10月25日 07時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ


新型コロナウイルスは、外国人の受け入れを制限したため、日本国内の様々な業種に影響を与えています。今回は、それらの中でも農業への影響を考えます。

グローバル化が進行するとともに、日本国内での労働力不足が深刻化していた5年ほど前の頃には、地方自治体は技能実習生として外国人を積極的に受け入れる方向に舵を切ったところがけっこうありました。

国の2019年の入管法の改正は、技能実習生の来日を加速させました。

それ以前には、国内では人口減少で農業従事者の平均年齢が上がっていました。2040年には農業に従事する平均年齢は67歳になるという見込みがありました。

そこで、都市部ではわかりにくいですが、地方では確実に農業従事者として技能実習生を受け入れ拡大してきたのです。

農家の中には働いてくれる実習生を増やし、宿舎を整え、作物の収穫に大人数を雇用していたところもあります。

そもそも、野菜などの収穫は、商品として都市圏へ出す農家は大規模に農園を耕し、多くの植え付けを行います。

すると収穫期には一度にたくさんの作物が収穫を迎えますので、たくさんの人出がいるのです。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、国は入国を制限していた技能実習生を2021年1月には原則入国禁止としました。

その際、コロナ災禍以前から働いていた技能実習生の在留資格を延長し働ける人を確保できるケースは少なく、農家では労働力がたりません。

収穫期に日本人のパートを頼むと、集まるのは高齢者がほとんどで後期高齢者しか応募がなく、若い人はほとんど応募してきません。

収穫が間に合わないと、大きくなりすぎた野菜は商品にならず、廃棄することもあります。

また、兼業農家で、作物を売りに出さない農家は、外国人労働者に頼ることもなく、家族で従事しますが、後継者がおらず、高齢化が進行し、農地は荒れてきています。

農地は1年間何もしないだけでも、草が生えそのまま放置するとなかには、木のように成長する者もあります。農地が荒れると、当然、人里にはシカやイノシシ、クマが現れ、作物や農地に被害を与えます。

たとえばイノシシが出れば、田んぼや畑の土手などを掘り起こします。これは土中のミミズなどを食べるためです。土手は一晩で原形がなくなるほど崩れる場合もあります。大雨が降ると土砂崩れの心配になります。

また、収穫前の野菜も食い荒らします。イノシシの食料は動物性のものもあれば植物性のものもあります。つまり雑食生なのです。

まさしく、人が減り、活気がなくなる「限界集落」に向かっていく地方の農村の実情が垣間見えます。

これが今の日本の農業・農家の現実です。

都市圏で野菜をスーパーで購入して、「おいしい、とれたては新鮮ね!」と食する人たちや「農家さん直送の野菜」を売りにするレストランにも知っておいてほしい日本の農業の実情です。

SDGsで定める15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」、11番目「住み続けられるまちづくりを」、12番目「つくる責任つかう責任」などが、農業に関連すると思いますが、まずは多くの市民が農業の現状に関心をもってもらうことが大切です。

そして、最後は教育に関連して、いまの日本の農業とこれからの将来展望に向け、何をしていくのかを子どもたちが考え、自分たちの行動につなげていく教育が求められます。

20年ほど前までは、「環境教育」と読んで、学校で教育実践がされていましたが、いまはそれでは範疇が狭すぎます。

世界的規模・グローバル視点で、「持続可能な開発目標」に則り、SDGs教育を進めていかなければなりません。


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