2014年頃、これからの日本は観光立国でやっていくという言説が鼓舞されていました。
国の内外から観光客を呼び込み、人びとが落とすお金が日本経済を支えることになるという考えでした。
しかし、新型コロナウイルスは観光立国の概念を根底から覆しました。
インバウンドはピタッと止まり、国内の人びとは自由な移動ができなくなりました。
しかし、今になって考えてみると、感染症ウイルスだけでなく、そもそも観光は気候条件や自然災害などの外的な要因にも影響を受ける、きわめて脆弱な産業です。
この点を軽視してきた結果を、今回見せつけられていると言えるでしょう。
そこで、観光業界には危機に備えたリスク管理が求められることになります。
また、観光の外国人がゴミを捨てたり、裕福な外国人が爆買いをしている一方で、国内には貧困にあえぐ人がいるという問題があります。
観光とは本来、人と人をつなぐ大切な機会です。
日本文化に興味関心をもった外国人が料理店や民家を訪ね、野菜作りや椎茸栽培、日本酒造り、温泉、お好み焼きなど学ぶのを支援するテレビ番組があります。
そこには、外国人と日本人の心のあたたかいふれあいがあります。
誰かを犠牲にして、踏みつけて展開する観光ではなく、地域を訪問したり、地域に住み、働いたり、活動し、そこの自然にも十分配慮するような観光が望ましいと思います。
人びとの暮らしに焦点を当て、暮らしの豊かさを認識する方向に観光業をもっていくべきだと思います。