先日、本「日本語を味わう名詩入門16「茨木のり子」 萩原昌好編」を購入しました。
その中の詩の一つ。
「言いたくない言葉」
心の底に 強い圧力をかけて
蔵(しま)ってある言葉
声を出せば
文字に記せば
たちまちに色褪(あ)せるだろう
それによって
私が立つところのもの
それによって
私が生かしめられているところの思念
人に伝えようとすれば
あまりに平凡すぎて
けっして伝わってはゆかないだろう
その人の気圧のなかでしか
生きられぬ言葉もある
一本の蝋燭(ろうそく)のように
熾烈(しれつ)に燃えろ 燃えつきろ
自分勝手に
誰の目にもふれずに
詩人がいうところの「私が立つところのもの」「私が生かしめられているところの思念」となりうることばを、果たして今、あなたは持っているのでしょうか?複雑で入り組んだ人間関係や物事の中で、つい周囲に流されそうになった時に、本来の自分自身にぐいと引き戻してくれる、強い求心力のようなことばを。それは、本の中で偶然出会ったり、親しい人の何気ない一言など、今まで出会ったたくさんのことばの中から抽出された、自分にとって楔のような存在なのです。そのようなことばを、生きていく上で果たしていくつ、見つけられるか。そこに、人としての〈深みや尺度〉があらわれるのではないでしょうか。あなたには、自ら「強い圧力をかけて/蔵(しま)ってある」ことばがありますか? (萩原昌好氏による解説文より)
私にとっての、「強い圧力をかけて/蔵(しま)ってある」ことばとは…。
◎私は人生の旅路のさびしさを味わった。一度とにかく顔を合わせて、ある程度まで心を触れ合ったどうしが、いったん別れたが最後、同じこの地球の上に呼吸しながら、未来永劫またと邂逅わない⋯⋯それはなんという不思議な、さびしい、恐ろしい事だ。人とは言うまい、犬とでも、花とでも、塵とでもだ。孤独に親しみやすいくせにどこか殉情的で人なつっこい私の心は、どうかした拍子に、このやむを得ない人間の運命をしみじみと感じて深い悒鬱に襲われる。 (「生まれいずる悩み」有島武郎著 より)
◎「幸福は、抽象的。不幸は、具体的。」
◎…?(言いたくない?思い出せない?)
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