3びきのかわいいオオカミ | |
ヘレン オクセンバリー,Eugene Trivizas,Helen Oxenbury,こだま ともこ | |
冨山房 |
あるところに3びきのオオカミの兄弟がいました。「さあ、世の中へ出てお行
き、でもね、悪い大ブタには気をつけるのよ」お母さんオオカミが言いました。
そこで3匹は出かけていって、レンガの家を建てました。するとそこへ悪い
大ブタがやってきて、ハンマーで家を壊してしまいました。こんどはコンク
リートの家を建てました。悪い大ブタは電気ドリルで家を壊してしまいました。
今度は鉄骨の家を建てました。すると大ブタは、その家をダイナマイトで吹
き飛ばしてしまいした。さあどうしましょう?もう考え方を転換するしかあ
りません。最後に色とりどりのお花の家を建てました。風が吹いただけで、
ふわふわ揺れる家。でもね、おおブタは花の良い香りでいい気持ちになっ
て、トゲトゲした心が優しくなって、踊りだしました。その後、オオカミの兄
弟と大ブタは何時までも仲良く暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
オオカミはいつも悪者、コブタはいつもかわいい。キツネはずるい、アリは働き者な
んてレッテルを貼りがちですが、世の中、そうでもないこともあるっていうお話です。
まあ、働きアリにだって怠け者がいることがわかってきた昨今ですが、お話の世界
で、ここまで立場が入れ替わった動物たちは他にいないでしょう。電気ドリルやダ
イナマイトを使う大ブタなんて、現代的な風刺がきいています。最後に建てた、色と
りどりの花のファジーな感覚のおうち、まさに今風な発想の転換が愉快なお話です。