「涙とともにパンを食べた者でなければ、人生の味はわからない」とはゲ
ーテの言葉です。原語では「人生の味」というのは ihr himmlische
Maechte(you,heavenly Power)「天なる御力」ですが、パンを食べるに
ひっかけた、なかなかの妙訳です。生きていくことの辛さをとことん味
わった人でないと、真の人生の意味は分からないということでしょうね。
そのゲーテも、フランクフルトにいた子ども時代には、まだ何の苦労
も知らず、おいしい『ゲーテのおばあちゃん風ハンバーグ(Frikadellen
nach Art von Goethes Grossmutter) 』を食べていたことでしょう。
以前にも紹介した『フランクフルト料理本』にあったレシピで、フリカ
デレ(ドイツ風ハンバーグ)を作ってみました。ゲーテのおばあちゃ
んが1724年に残したレシピそのままだそうです。牛挽き肉とベ
ーコン、卵それに香辛料をたっぷり使った、タマネギの入らない、
とてもリッチなハンバーグです。
付け合わせに、同じ本の中の『ザクセンハウゼン風パン屋さんのじゃが
いもグラタン』を作りました。ザクセンハウゼンというのはフランクフル
トの一地区で、リンゴ酒の居酒屋が多くある所だそうです。これもじゃ
がいもをキロ単位で使い、生クリームをたっぷり入れたこってりした
グラタンです。こんなのを毎日食べてたんじゃね。若いときはとてもス
レンダーなドイツの女性が、中年になると貫祿十分のplumpなおばさん
になるのは、当たり前だと思えてきます。うちでは生クリームの代わり
に豆乳を使いましたが、それでもなかなかいいお味でした。