今日は、映画の感想を♪
昨日の日記にも書きましたが(^^)b
先週の水曜日に映画館でも見て、そして、その週末にはBlu-rayも買っちゃった、映画『言の葉の庭』。
実は、私、この監督の前作が、世間では高評価だったにも関わらず、わたし的にはイマヒトツで。
それで、この映画も、見ようかどうしようか迷ってた挙句に、公開が終わった・・・と思ったら、1週間くらいして、また、上映再開してて~~というご縁で劇場で鑑賞したわけです。
本当に映画館で見て良かったです。
もう、物凄くハマっちゃったのです(≧▽≦)!!!
いやはや、もし、映画館で再上映してなかったら、きっと見ることはなかったでしょうし。。。
そう思うと、凄く好きになる作品との出会いって、本当に奇跡ですね。
■『言の葉の庭』 予告篇
雨が好きな高校生のタカオは、雨の日は地下鉄に乗り換えず、学校には向かわない。
靴職人を目指す彼は、雨の日は、学校ではなく、公園へ行き。そこの東屋で、雨音を聞きながら、靴のデザインをスケッチして過ごすことにしています。
季節は梅雨。
ある時、タカオは、雨の日に、自分と同じように東屋のベンチに座っている年上の女性と出会います。
スーツ姿のOL風のその女性は、朝から公園で、チョコレートをオツマミにビールを飲んでいる、不思議な雰囲気。
そして、どこかで見たことのあるような気もする。
「僕たち、どこかで会いましたっけ?」
というタカオに、女性は、「いいえ」と答えるものの、ふと思い出したように、
「やっぱり私達、どこかで会ってるかもしれないね」
と言い、「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」という和歌を言い残して、立ち去っていきます。
それから、梅雨の雨がちな日が続き・・・。
雨の日の午前中は学校をサボるタカオは、必ず、公園の東屋で、その年上の女性と会うようになります。
お互いに約束したわけでもないのだけど。雨が降ると叶う逢瀬。
やがて、彼は、夜眠る前、朝起きる時、天気が雨であることを祈るようになり・・・名前も知らない、不思議な年上の女性に恋心を抱くようになるのでした。
晴れた日、学校へ行くと、自分が凄く幼い場所に居る気がして。焦り。
そうこうしている間に、梅雨は空け。
晴れた日ばかりが続き、あの公園へ行く口実を見つけられないまま、7月、8月と、時間は過ぎていきます。
あの年上の女性が属している、「社会」とか「職場」という大人の世界へ届くようになりたいという想いを募らせ、彼女に会いたいとは思うけど、その気持ちより、早く彼女に届く大人になるためにと、靴作りの勉強に励むタカオ。
そして、9月。
タカオは思わぬところで、あの女性と再会するのでした・・・・・・・。
~~~という物語なのですが。
タカオと、不思議な雰囲気を持つ年上の女性・ユキノ(彼は、ずっと、彼女の名前を知らないけど)が初めて出会った時に、ユキノが口にした和歌。
「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
その歌からも想像できるように、梅雨という季節、雨の日だけの逢瀬・・・という、「雨」がキーになっている作品なのです。なので、とにかく、雨のシーンが多いのです。
で、その雨のシーンが、それはもう、超美麗で。
雨粒のひとつひとつ、そして、水が反射する光、雨に濡れてしっとりとする緑の木々・・・とにかく、おっそろしく綺麗なんですよ。
あまりに映像が美麗で、もう、これは映像の文学だ(*><*)と思っちゃいましたですよ。
「雨」がこれでもかというくらい綺麗に描いてあって。
雨は大っ嫌いな私ですが、この映画を見て、雨って綺麗なんだなぁと、雨を好きになりそうです。
で。
そんな雨の日だけに、会える2人の男女。
片や、高校一年生の15歳。
年齢的には、青年というより、まだ少年と言っても良いのかもしれないのですが、少し複雑な家庭環境もあり、同世代の子達よりは、ずっとずっと大人びた男の子です。
そんな彼が出会った、謎の年上の女性。27歳。
一見、OL風でスーツなどきちんとした服装をしているものの。
本当にOLさんなら、当然、出勤している時間帯に、公園でチョコをツマミにビールを飲んでたり、本を読んでたり~~と、かなり謎な人なんです。
タカオと同様に、「私もサボッちゃった(^^;」と言う彼女ですが・・・・・・普通に考えて、学生の学校サボリならまだしも、会社などに勤めている社会人が、そうそう雨の日ばかりサボってて大丈夫な訳ないですし。
とにかく謎なのですよね。
そんな2人の恋の話には、なんともいえない、切なさがあります。
映画の最初は、ずっと、高校生のタカオ視点で、タカオのモノローグな訳ですが。
靴職人になりたいという将来のビジョンは持っているものの、まだまだ15歳。
自分が子供であることを痛感しながら、それでも、名前も知らない年上の女性に惹かれて行って。
早く彼女に追いつくように、その為に、靴職人になりたいって強く思いつつも、彼には、「学校」という属さなくてはいけない世界があったり。靴を作るにも、専門学校に進学するためにも、お金が必要で、バイトに明け暮れなくてはいけなかったり・・・と、彼が大人になるには、まだまだ道のりが長くて。
その中で、懸命にもがいている・・・って感じなのですよね。
そんな彼の様子は、なんというか・・・ね。
もう結構な年齢になっている私達大人からすると、「大人になりたい」ってもがいている段階で、まだまだお子様なんだよな~っていうのが解るだけに、切ない。
その一方で、27歳のユキノさん。
彼女には、色々と訳がありそう。
なぜ、平日の午前中や昼間に公園に居るのか?
そして、アルコールとチョコレート以外は味が解らなくなっている・・・という味覚障害。
高校生で、社会と言うものをよく知らないタカオは、彼女の事を、働いている大人の女性・・・と思っているようですが。
こちらも、私達大人の目で見てみると、彼女の抱えている問題って、なんとなくわかってきますよね。
学校みたいに、仕事が再々サボれる訳ではないし。
でも、スーツ姿だし。
・・・そう、彼女は、ある事情から職場に行けなくなってしまった人だったのですよね。
いつも、職場に向かおうと、スーツを着て、駅に行く。
でも、どうしても怖くて行けなくて。味覚障害になったのも、その所為。
そして、公園のベンチで過ごしている。
タカオは雨の日に会える・・・って思っていたけど、実は、彼女は晴れの日も、毎日毎日、あの場所にいる訳で。
なので、ユキノ視点のモノローグになると、タカオ視点とは全然違う、一気に「大人の世界」を私は感じました。
タカオの感じているもの、抱えているものより、ユキノが抱えている問題の方がずっと深刻で。
そこには、やっぱり、12歳の年の差を感じずにはいられないですし。
そして、行けなくなった仕事を、きちんと辞める手続きなどの相談で、何やら、同僚の元恋人らしき男性と電話しているシーンもあり。
彼女には、タカオの知らない部分がたくさんあるのですよね。
やっぱり、ユキノは、タカオよりずっと年上で大人なんだよなぁ~と思うと。
なんだか、切ないような、もどかしいような・・・そんな思いに駆られました。
でもでも。
早く大人になりたいタカオと。
大人として歩くことが出来なくなってしまったユキノ。
孤独な2人が、雨の日の公園で心を通わしていく過程が、凄く良いのですよね~。
歳の差故に、属している世界が全然違う・・・とは言いましたが。
見ている世界は同じなのかもしれないなぁと。
で!!
ネタバレになるので言えませんが(>_<)!!
物語後半、この2人が、思わぬところで再会するのですよねっ。
これは、私、全然予測してなくって。すっごくビックリしましたです。
でも、もしかして、気を付けて見ていれば、色々とヒントはあった気がする。
ユキノが元恋人の同僚に、
「別れてからも色々お世話になってごめんね」
みたいに言ってた、あの男性とか!!
よく注意して見てたら・・・・・・・・・・・・某所で出ているではないですか!!??
「どこかで会ってるかもしれないね」
と言ったユキノの言葉。
万葉集の和歌。
結構、ヒントは散りばめてあったのかもしれないけど、全然気が付かなかったわ~。
ホント、吃驚しました。
そして。
ユキノが職場に行けなくなった理由。
これも、いかにも、現代ならでは~の出来事で。。。。
哀しくなりました。ユキノ、可哀想過ぎる。。。。。
そりゃ、職場いけなくなるよね、心を病んじゃうよね。
・・・なんていうか、昨今の世相でもよく、集団バッシング的なニュースはよく目にしますが。
そういうのって、何も、広い世間一般だけでなくて、例えば、学校の子供たち同士での行き過ぎたイジメとか、職場でのモラハラやパワハラとか、ごくごく私達に身近な狭い社会の中でも、限度を超えた嫌がらせって存在しているもので。
特に、最近は、そういう嫌がらせが、度を越していってる・・・っていうか、一人の人間を壊してしまいかねないほど叩き続けるというのが、風潮になってる感もありますよね。
たまたま運悪く、そのターゲットになってしまったユキノは本当に気の毒で。気の毒で。
それでも、彼女は、タカオと出会ったことで、なんとか歩けるようになっていったのではないかなぁと。それは良かったことだなぁ。
・・・と、思いました。
心を病んで、人生の歩き方を忘れてしまったユキノに、靴を作ってあげようとするタカオ。
靴がなくても歩けるようになろうと必死で頑張るユキノ。
そこには、やっぱり、大人と子供の差を感じましたが、でもでも、心の在る場所は同じだったのかもしれないですよね。
あの雨の日の公園で、同じものを見て、同じものを感じていたのだろうなぁと。
ラスト、ユキノがタカオを追いかけて、裸足で家を飛び出していくシーンがとても印象的でした。
今まで、あまり自分の事を曝け出さなかった彼女が、裸足で外に出て、そして、自分の思ったことをそのまま口にして号泣したところで、ああ、彼女はもう歩けるようになったのかもしれないな、ひとつ壁を越えたのかも、と感じました。
結局、彼女は、靴がなくても歩けるようになったのかもしれないけど、でも、そこには、タカオとの出会いがあったからで。
それでも、その後、二人の居場所は交差することは無かったけど。
でも、いつか、また再会できればいいなぁ~と、二人の再会と幸せを願わずにはいられないラストでした。
そうそう。
ラストのゲリラ豪雨の公園のシーンも、凄く印象に残りました。
豪雨の様子が、凄くリアルで。
叩きつけるような、滝のような雨、それゆえに、雨飛沫で煙る世界。
雷。突風。
横な降りの雨。
それまでが、ザーザーとかシトシトな雨の描写だったので、その豪雨の激しさが、一段と際立ってて。
もしかしたら、これは、押し込めた二人の感情なのかなぁとも思ったり。
また、ユキノが体験した嫌な過去を洗い流しているようでもあり。
そして、雨が上がり、薄日が差し始めた時に、新しい時間が生まれたんだろうなぁって思いました。
本当に、「雨」がキーなのですよね。
50分くらいしかない短い作品なのですが、凄く綺麗で、きゅんきゅんとなる恋の物語です。
万葉集の歌がモチーフなのも良かったです。
物語の後半で、タカオがユキノに、返し歌を言う。
「雷神の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」
に、ジーンと来ちゃいましたです。
万葉の時代には、恋を「孤悲」と書き、「一人で悲しく相手を思う」ことだったらしいですが。
まさに、そんな切ない物語です。
う~ん(*><*)
本当に、凄く素敵な作品で・・・私のボキャが貧困な所為で、上手くこの感動を表現できないのが悔しいほどです。
とにかく、全力でお勧めしたい、美しい作品です。
昨日の日記にも書きましたが(^^)b
先週の水曜日に映画館でも見て、そして、その週末にはBlu-rayも買っちゃった、映画『言の葉の庭』。
実は、私、この監督の前作が、世間では高評価だったにも関わらず、わたし的にはイマヒトツで。
それで、この映画も、見ようかどうしようか迷ってた挙句に、公開が終わった・・・と思ったら、1週間くらいして、また、上映再開してて~~というご縁で劇場で鑑賞したわけです。
本当に映画館で見て良かったです。
もう、物凄くハマっちゃったのです(≧▽≦)!!!
いやはや、もし、映画館で再上映してなかったら、きっと見ることはなかったでしょうし。。。
そう思うと、凄く好きになる作品との出会いって、本当に奇跡ですね。
■『言の葉の庭』 予告篇
雨が好きな高校生のタカオは、雨の日は地下鉄に乗り換えず、学校には向かわない。
靴職人を目指す彼は、雨の日は、学校ではなく、公園へ行き。そこの東屋で、雨音を聞きながら、靴のデザインをスケッチして過ごすことにしています。
季節は梅雨。
ある時、タカオは、雨の日に、自分と同じように東屋のベンチに座っている年上の女性と出会います。
スーツ姿のOL風のその女性は、朝から公園で、チョコレートをオツマミにビールを飲んでいる、不思議な雰囲気。
そして、どこかで見たことのあるような気もする。
「僕たち、どこかで会いましたっけ?」
というタカオに、女性は、「いいえ」と答えるものの、ふと思い出したように、
「やっぱり私達、どこかで会ってるかもしれないね」
と言い、「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」という和歌を言い残して、立ち去っていきます。
それから、梅雨の雨がちな日が続き・・・。
雨の日の午前中は学校をサボるタカオは、必ず、公園の東屋で、その年上の女性と会うようになります。
お互いに約束したわけでもないのだけど。雨が降ると叶う逢瀬。
やがて、彼は、夜眠る前、朝起きる時、天気が雨であることを祈るようになり・・・名前も知らない、不思議な年上の女性に恋心を抱くようになるのでした。
晴れた日、学校へ行くと、自分が凄く幼い場所に居る気がして。焦り。
そうこうしている間に、梅雨は空け。
晴れた日ばかりが続き、あの公園へ行く口実を見つけられないまま、7月、8月と、時間は過ぎていきます。
あの年上の女性が属している、「社会」とか「職場」という大人の世界へ届くようになりたいという想いを募らせ、彼女に会いたいとは思うけど、その気持ちより、早く彼女に届く大人になるためにと、靴作りの勉強に励むタカオ。
そして、9月。
タカオは思わぬところで、あの女性と再会するのでした・・・・・・・。
~~~という物語なのですが。
タカオと、不思議な雰囲気を持つ年上の女性・ユキノ(彼は、ずっと、彼女の名前を知らないけど)が初めて出会った時に、ユキノが口にした和歌。
「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
その歌からも想像できるように、梅雨という季節、雨の日だけの逢瀬・・・という、「雨」がキーになっている作品なのです。なので、とにかく、雨のシーンが多いのです。
で、その雨のシーンが、それはもう、超美麗で。
雨粒のひとつひとつ、そして、水が反射する光、雨に濡れてしっとりとする緑の木々・・・とにかく、おっそろしく綺麗なんですよ。
あまりに映像が美麗で、もう、これは映像の文学だ(*><*)と思っちゃいましたですよ。
「雨」がこれでもかというくらい綺麗に描いてあって。
雨は大っ嫌いな私ですが、この映画を見て、雨って綺麗なんだなぁと、雨を好きになりそうです。
で。
そんな雨の日だけに、会える2人の男女。
片や、高校一年生の15歳。
年齢的には、青年というより、まだ少年と言っても良いのかもしれないのですが、少し複雑な家庭環境もあり、同世代の子達よりは、ずっとずっと大人びた男の子です。
そんな彼が出会った、謎の年上の女性。27歳。
一見、OL風でスーツなどきちんとした服装をしているものの。
本当にOLさんなら、当然、出勤している時間帯に、公園でチョコをツマミにビールを飲んでたり、本を読んでたり~~と、かなり謎な人なんです。
タカオと同様に、「私もサボッちゃった(^^;」と言う彼女ですが・・・・・・普通に考えて、学生の学校サボリならまだしも、会社などに勤めている社会人が、そうそう雨の日ばかりサボってて大丈夫な訳ないですし。
とにかく謎なのですよね。
そんな2人の恋の話には、なんともいえない、切なさがあります。
映画の最初は、ずっと、高校生のタカオ視点で、タカオのモノローグな訳ですが。
靴職人になりたいという将来のビジョンは持っているものの、まだまだ15歳。
自分が子供であることを痛感しながら、それでも、名前も知らない年上の女性に惹かれて行って。
早く彼女に追いつくように、その為に、靴職人になりたいって強く思いつつも、彼には、「学校」という属さなくてはいけない世界があったり。靴を作るにも、専門学校に進学するためにも、お金が必要で、バイトに明け暮れなくてはいけなかったり・・・と、彼が大人になるには、まだまだ道のりが長くて。
その中で、懸命にもがいている・・・って感じなのですよね。
そんな彼の様子は、なんというか・・・ね。
もう結構な年齢になっている私達大人からすると、「大人になりたい」ってもがいている段階で、まだまだお子様なんだよな~っていうのが解るだけに、切ない。
その一方で、27歳のユキノさん。
彼女には、色々と訳がありそう。
なぜ、平日の午前中や昼間に公園に居るのか?
そして、アルコールとチョコレート以外は味が解らなくなっている・・・という味覚障害。
高校生で、社会と言うものをよく知らないタカオは、彼女の事を、働いている大人の女性・・・と思っているようですが。
こちらも、私達大人の目で見てみると、彼女の抱えている問題って、なんとなくわかってきますよね。
学校みたいに、仕事が再々サボれる訳ではないし。
でも、スーツ姿だし。
・・・そう、彼女は、ある事情から職場に行けなくなってしまった人だったのですよね。
いつも、職場に向かおうと、スーツを着て、駅に行く。
でも、どうしても怖くて行けなくて。味覚障害になったのも、その所為。
そして、公園のベンチで過ごしている。
タカオは雨の日に会える・・・って思っていたけど、実は、彼女は晴れの日も、毎日毎日、あの場所にいる訳で。
なので、ユキノ視点のモノローグになると、タカオ視点とは全然違う、一気に「大人の世界」を私は感じました。
タカオの感じているもの、抱えているものより、ユキノが抱えている問題の方がずっと深刻で。
そこには、やっぱり、12歳の年の差を感じずにはいられないですし。
そして、行けなくなった仕事を、きちんと辞める手続きなどの相談で、何やら、同僚の元恋人らしき男性と電話しているシーンもあり。
彼女には、タカオの知らない部分がたくさんあるのですよね。
やっぱり、ユキノは、タカオよりずっと年上で大人なんだよなぁ~と思うと。
なんだか、切ないような、もどかしいような・・・そんな思いに駆られました。
でもでも。
早く大人になりたいタカオと。
大人として歩くことが出来なくなってしまったユキノ。
孤独な2人が、雨の日の公園で心を通わしていく過程が、凄く良いのですよね~。
歳の差故に、属している世界が全然違う・・・とは言いましたが。
見ている世界は同じなのかもしれないなぁと。
で!!
ネタバレになるので言えませんが(>_<)!!
物語後半、この2人が、思わぬところで再会するのですよねっ。
これは、私、全然予測してなくって。すっごくビックリしましたです。
でも、もしかして、気を付けて見ていれば、色々とヒントはあった気がする。
ユキノが元恋人の同僚に、
「別れてからも色々お世話になってごめんね」
みたいに言ってた、あの男性とか!!
よく注意して見てたら・・・・・・・・・・・・某所で出ているではないですか!!??
「どこかで会ってるかもしれないね」
と言ったユキノの言葉。
万葉集の和歌。
結構、ヒントは散りばめてあったのかもしれないけど、全然気が付かなかったわ~。
ホント、吃驚しました。
そして。
ユキノが職場に行けなくなった理由。
これも、いかにも、現代ならでは~の出来事で。。。。
哀しくなりました。ユキノ、可哀想過ぎる。。。。。
そりゃ、職場いけなくなるよね、心を病んじゃうよね。
・・・なんていうか、昨今の世相でもよく、集団バッシング的なニュースはよく目にしますが。
そういうのって、何も、広い世間一般だけでなくて、例えば、学校の子供たち同士での行き過ぎたイジメとか、職場でのモラハラやパワハラとか、ごくごく私達に身近な狭い社会の中でも、限度を超えた嫌がらせって存在しているもので。
特に、最近は、そういう嫌がらせが、度を越していってる・・・っていうか、一人の人間を壊してしまいかねないほど叩き続けるというのが、風潮になってる感もありますよね。
たまたま運悪く、そのターゲットになってしまったユキノは本当に気の毒で。気の毒で。
それでも、彼女は、タカオと出会ったことで、なんとか歩けるようになっていったのではないかなぁと。それは良かったことだなぁ。
・・・と、思いました。
心を病んで、人生の歩き方を忘れてしまったユキノに、靴を作ってあげようとするタカオ。
靴がなくても歩けるようになろうと必死で頑張るユキノ。
そこには、やっぱり、大人と子供の差を感じましたが、でもでも、心の在る場所は同じだったのかもしれないですよね。
あの雨の日の公園で、同じものを見て、同じものを感じていたのだろうなぁと。
ラスト、ユキノがタカオを追いかけて、裸足で家を飛び出していくシーンがとても印象的でした。
今まで、あまり自分の事を曝け出さなかった彼女が、裸足で外に出て、そして、自分の思ったことをそのまま口にして号泣したところで、ああ、彼女はもう歩けるようになったのかもしれないな、ひとつ壁を越えたのかも、と感じました。
結局、彼女は、靴がなくても歩けるようになったのかもしれないけど、でも、そこには、タカオとの出会いがあったからで。
それでも、その後、二人の居場所は交差することは無かったけど。
でも、いつか、また再会できればいいなぁ~と、二人の再会と幸せを願わずにはいられないラストでした。
そうそう。
ラストのゲリラ豪雨の公園のシーンも、凄く印象に残りました。
豪雨の様子が、凄くリアルで。
叩きつけるような、滝のような雨、それゆえに、雨飛沫で煙る世界。
雷。突風。
横な降りの雨。
それまでが、ザーザーとかシトシトな雨の描写だったので、その豪雨の激しさが、一段と際立ってて。
もしかしたら、これは、押し込めた二人の感情なのかなぁとも思ったり。
また、ユキノが体験した嫌な過去を洗い流しているようでもあり。
そして、雨が上がり、薄日が差し始めた時に、新しい時間が生まれたんだろうなぁって思いました。
本当に、「雨」がキーなのですよね。
50分くらいしかない短い作品なのですが、凄く綺麗で、きゅんきゅんとなる恋の物語です。
万葉集の歌がモチーフなのも良かったです。
物語の後半で、タカオがユキノに、返し歌を言う。
「雷神の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」
に、ジーンと来ちゃいましたです。
万葉の時代には、恋を「孤悲」と書き、「一人で悲しく相手を思う」ことだったらしいですが。
まさに、そんな切ない物語です。
う~ん(*><*)
本当に、凄く素敵な作品で・・・私のボキャが貧困な所為で、上手くこの感動を表現できないのが悔しいほどです。
とにかく、全力でお勧めしたい、美しい作品です。