★ベルの徒然なるままに★

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映画『真夏の方程式』

2013年07月09日 | 映画鑑賞記
今日も、映画感想をば♪

先週の水曜日に見に行きました、『真夏の方程式』。

東野圭吾原作の、ガリレオシリーズ。

ちょうど、TVドラマ版も終わったところで、今度は、映画です(*^^*)b

映画作品としては、『容疑者Xの献身』から5年ぶり、2作目ですね。



■映画『真夏の方程式』予告編




美しい海に面した玻璃ヶ浦で計画されている、海底鉱物資源の開発。

その住民説明会に出席することになった物理学者・湯川学は、玻璃ヶ浦を訪れます。


そして、緑岩荘という旅館に宿泊するのですが、そこで、旅館を営む川畑夫婦の甥・恭平と知り合います。

夏休みを叔父の旅館で過ごしている恭平は、やたらと湯川をかまってくるものの、子供が嫌いな湯川は、迷惑そうに恭平を無視したりしてました。

そんな翌朝、堤防下の岩場で、緑岩荘に宿泊していたもう一人の客・塚原の変死体が発見されます。

一見、酔った塚原が、堤防から足を滑らした事故死に見えるのですが、不審な点が多々。

しかも、解剖の結果、塚原の死因は、転落死ではなく、一酸化炭素中毒であることが分かり、殺人事件と断定。

こうして、宿泊先で事件に遭遇してしまった湯川は、緑岩荘を経営する川畑夫婦や、夫婦の娘で環境保護活動に奔走する成実の隠された秘密を知ることになるのでした。
そして、そこには、亡くなった塚原と、意外な接点があり・・・・。

川畑一家が抱えている大きな秘密とは!!??





『容疑者Xの献身』は、先に原作を読んでいたのですが、今作は、原作は未読で、いきなり映画を見ました。

なので、予告編程度の前知識しかなく、純粋に映画の展開を楽しんで見ましたです。




今回は、美しい海に面した玻璃ヶ浦・・・という小さな港町が舞台。

海底鉱物資源開発を進めようとしている業者と、自然保護を訴える反対派の住人、また、開発によって町の経済を発展させたいと願う開発賛成派・・・など、小さな町は、開発の是非によって大きく揺れていました。

そんな町で起こる、一件の怪事件。

一見したところ、旅館に泊まっていた旅行客が、酔って足を滑らせて、堤防下の岩場に落ちた事故死に見えるのですが。
事故で片付けるには、不審な点が多々。
そして、その亡くなった被害者が元刑事ということ。

彼は、15年前の解決済み事件について、宿泊先である旅館の人達に何やら聞いていたようですし。

彼の死は、15年前の女性殺害事件に関係がある様子で、その旅館を営む一家が、色々と秘密を抱えていそう~~~という展開なのですが。

そして。

たまたま、その被害者と同じ旅館に泊まっていた湯川博士が、事件の真相を見極めちゃうのですよね。



前作『容疑者Xの献身』が、鉄壁のアリバイ崩しミステリだったのに対し、今回は、そういうアリバイとかトリックとかではなく、人間ドラマ色の強い、サスペンス作品でした。

あと、なんとな~~くですが、ラストの切なさは、松本清張の『砂の器』を思い出しちゃいましたです。




映画の冒頭で、15年前の東京で起きた、女性殺害事件が描かれているわけですが。

この事件の真犯人は、直後のシーンですぐにピンと来てしまう・・・というか、すぐに推測できると思います。

でも、この時、逮捕された犯人は、自分でも罪を認め服役し、今はもう出所している~~という過去の事件。

それなのに、なぜ、その担当刑事が殺されたのか?

そこから、旅館を営む一家の、重くて悲しい過去が明らかになっていく訳です。。。。。


が。

もう、ありとあらゆることが、やるせないというか、救いがないのですよね(;;)



過去の事件の真実を隠すために、家族一人一人がそれぞれ、つき続けた嘘。隠し続けた秘密。

それは、全て、家族や子供を守るためだったのですが、その結果、殺さなくてよい人間まで殺してしまい、しかも、何も知らない第三者を、本人の知らないところで共犯者にしてしまっていたのですよね(>_<)


・・・本当に報われない。


でも、それぞれの行動には、「愛情」があったですよね。

15年前の事件を隠ぺいしたのも、子を思う愛情ゆえ。

そして、今回、元刑事が訪ねて来たのも・・・。
決して、過去の事件を穿り返そう~とか、真犯人を暴こうとか思っていたのではなくて、事件の真相を知ったうえで、「ある人物」に対する親切心故に、やって来た。

けれども、秘密を抱えている側は、秘密がばれては困ると思って、元刑事を殺害。


うん。

昔を懐かしんで訪ねて来ただけの元駐在さんを、隠している過去を知られたくないからと殺す『砂の器』っぽいなぁと思いましたです。

もうね・・・真相が全てわかったとき、とんでもないくらいのやるせなさに、号泣ですよ~。



所で。

今回の湯川博士、なんだか、いつにもましてカッコイイ!!と思ったのは私だけかしら??

事件現場となった旅館に湯川博士も泊まっていたわけなのですが、その旅館には、小学生の恭平という男の子も遊びに来ていたのですよね。

で、子供が大嫌いな彼ですが、嫌いと言いつつも、今回はやたらと、その恭平と一緒に行動する事が多いのです。

旅館の親戚の子である恭平に手伝って貰って、現場を調べるところは、冒険ごっこみたいですし、はたまた、理科が嫌いと言う恭平の為に、ペットボトルロケットを飛ばす実験をしてあげたり。

まあ、子供相手でも、容赦なく厳しいことを言うんだけど・・・でも、温かみがあって、なんだか、親子みたいで。

微笑ましかったです。

でもでも。

この心温まる微笑ましい、小さな相棒とのエピソードですが。

全て、真相を知ってしまってから思い返してみると、猛烈に切ない。やるせない。

きっと、湯川は、かなり早い段階から、真実を知ってて・・・それゆえに、色々と恭平をかまってあげていたのかなぁ、彼がこの先、考えたり学んだり出来る力を付けさせてあげたのかなぁ~という気がしました。

っていうか、恭平・・・このひと夏で、目に見えて大人になりましたよね。
いや、ならざるを得なかった。

最初に登場した時は、電車内でのマナーも全然なってない、生意気なガキンチョ・・・っていう印象が濃かったのですが。

あの事件に遭遇し、そこに隠された、とんでもない事実を知り。。。。

もう、子供ではいられなくなってしまったんだろうなぁと思うと、本当に悲しいです。

まだ、あんなに小さいのに。

この先、あの真相を抱えたまま、どうやって生きていくんだろう。

前みたいな、生意気なガキって思われるくらいの子供らしい笑顔はもう見れないんだろうなぁって思うともう。。。。

終盤、恭平が泣きながら湯川を探して走り回ってるシーンには、本当に泣けましたです。

そして。

ラストのラスト。

東京へと帰っていく恭平を駅で待っていた湯川。

あのシーンは、号泣ものですし、そして、湯川のカッコよさも凄いです!

変に優しく慰めるわけでもなく、ただ淡々と言葉を紡ぐ湯川ですが。
その言葉に秘められたものは、熱かったです。


今回の事件に関して、何も知らなくて、能天気そうにしている恭平パパと、深刻な物思いに耽っている幼い恭平。
そんな親子の電車の中でのシーンも印象的で。

本当に、恭平の将来を思うと・・・何とも言えない気持ちになりました。




それにしても。

原作を未読だからでしょうか? 色々と謎に思った点も多々でした。

というのも。

今回の一連の悲劇は、15年前の女性殺害事件がきっかけなわけですが。

その動機がイマイチ分からん。

なぜ、あの人は、あの女性をわざわざ殺したのか。

いや、例えば、何か酷い事を言われて、カッとなって、で、手元にあったナイフで刺しちゃった~、とか、揉み合ってて殺しちゃった~とかいうのなら解るのですが。

一旦は家を出て行った女性を、わざわざ追いかけていって、それで、刺殺しているのですよね。

それって、相当な怨恨がないと出来ないような気もするのですが・・・。

映画のシーンだけでは、そこまでする程でもなかったような見えたのですが。

ここら辺りは、原作小説を読むと、もっと深く描かれているのかもしれませんね。
読んでみます。

でも、やっぱり、15年前の殺人も、「家族を壊されたくなかった」からでしょうし。

やっぱり、今回は、全部が全部、「家族を思う故」での犯行なのですよね。

それなのに、誰一人、救われてる人が居ないなんて(>_<)


・・・・・・鑑賞後は結構、鬱になりましたA^^;;


でもでも、絡み合った人間模様の、面白いサスペンス作品でした。