ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

塞翁と馬と…そして庭があった

2005年11月26日 | 京都
どたばたとした1週間。なんと、わたくし、入社1か月にして退職することになりました。う~む。まあ、事情はいろいろあったのですが、やっぱり、女性が仕事と家庭を両立するというのは、一筋縄ではいかないものですね。私もずっと勤めてきた身なので決して甘く考えていた訳ではないのですが、会社の事情と家族の思いというのは、そう簡単には折り合いが着かなかった、というところでしょうか。まだまだ日本の社会では、「仕事を夜討ち朝駆け休日返上でとことんするか全くしないか」という、「主婦」には重い選択にならざるを得ないところがあります。まあ、せっかくの機会ではありましたが、いくつかお庭を造らせていただくこともでき、それでもいい経験になりました。また、修行に戻ってゆっくりじっくり、がんばって行くことにしようと思います。

さて、こちらはまだ引き続いているぞーえんや修行。昨日は、とっても「落葉日和」な日でした。団地内をどこまでも続く落葉、落葉、落葉。う~む。街路樹の紅葉が実に美しい。午後の日差しに染まる、真っ赤なサクラの木、それに重なるトウカエデのピンクから緑のグラデュエーション、透き通るような黄色になってきたイチョウの葉っぱ。ちょうど道はカーブを描き、その後ろには空高く隣の学校のポプラ並木。

なんて幻想的なんだ。う~ん、うっとり。こんな景色を見られるなんて、なんて贅沢な仕事なんだ。そして足下には、ひたすら降り積もる、おちば、おちば、おちば。すごいね。1週間もしない内に、新調されたばかりだった竹帚の穂先もすっかりすり減って長さは半分に。この1週間だけでも京都市内で集められた落葉は、いったいどれくらいの量になるだろう???

そんな取り留めのないもの思いと汗にひたりながら、ひたすら落葉を掃き集めていると。「ええね、これ。どこで手に入るん?」と覗き込む顔。「え?」と振り返ると、元気のよい笑顔を浮かべたおばあさん。「100円ショップで売ってるかな?」「えっ?」「これこれ。」ああ、フゴ(剪定屑入れ)のこと。ビニール素材でできた、1辺が50~80Bくらいの折り畳み式の大きな袋です。「ああ、これはホームセンターならあるかも知れませんね。結構いい値段しますよ。」「そうか。布団入れにええなあ思てん。洗えそうやし。」なるほどなあ。そして、おばあさんは帚の先に眼を向けた。

「もったいないねえ。」「?」「おちばさ。」「はあ。」「これな、ええ色やん?」「はい。」「お茶にすると、ええでえ。サクラの葉っぱはええお茶になる。匂いもええしな。」「ほお~!」「昔はな、私もよう拾てこやって乾かして、ようお茶作ってん。」なんと。こんなにあるんだから、これはすごいことになりそうね。ここのはちょっとゴミが混じっちゃってるから残念だけど。なんと風流な。

「やあ、歳とってくるとな、いろんなことを考えるようにせんとあかんねん。ほうきもな、あんた、こうして掃いたら、早う掃けるでえ。」と、私からほうきを受け取るや、寝かせて腰を落して落葉を拭うように掃く。(実は、私も前にいっぺんそんな風にやっていたことがあったのだけれど、腰が痛くなったのでやらなくなっていた、とは言わず、)「おお、はやいですねえ!」と答えると。「そやろう!これな、私、若い時東本願寺で働いとってん。お客さんが来やはる前にな、皆で一斉にお庭を掃除する時はこうするねんで。はやいやろ。」と満面の笑顔。そうかあ。お寺って、そうやってお掃除するんだ。あんなに広いところをいつも塵ひとつなく保っているのは大変だと思っていたので、いろいろ人の話は聴いてみるもんだなあ!と感心したのでした。

そうして、ひとしきりお話をした後、「んじゃまたな。がんばりいな。」といって、おばあさんは去って行かれました。こうして落葉を掃いているだけでも、いろんな出合いがあるなんて、京都の人って、やっぱりなんだか人懐っこいかも、と思ったのでした。

さてさて、明日は大阪で行われる園芸セミナーにいく予定。どんな出会いがありますことやら??では、おやすみなさ~い!

☆今日のちび庭気温 5~16℃ そろそろご近所にもクリスマスイルミネーションが目立ってきましたね。私も友人からカウントダウン用のクリスマスカレンダーをいただきました。もうすぐ私の誕生月!それを越せば、またすこーしずつ日が長くなってくると思うと、なんだかとっても待ち遠しい気分です。(^_^)