梟の独り言

色々考える、しかし直ぐ忘れてしまう、書き留めておくには重過ぎる、徒然に思い付きを書いて置こうとはじめる

刺青

2022-10-26 10:46:35 | 昭和の頃


堀之内に「千姫」と言うお風呂があった、
昭和50年頃、未だ「石鹸の国」と言う前のお風呂のメッカで「千姫」は大衆より5割ほど高い準高級と言う店だった、
年末の賞与が思ったより多かったので少し奢って一度は行ってみたいと思っていた高級店に行ってみる、
「千姫」は週刊誌でも知り合いの口コミでも中々評判がいい、
「行って後悔はしないぞ」とか「あの値段の価値はある」と言う話を聞いていたので同じクラスの「アラビアンナイト」と悩んだ結果「千姫」にする、
この店の泡姫(この頃こう呼んでいたか覚えていない)のフォームは緋色の腰巻と薄い白の長襦袢だった、
個室に入ってベッドに腰を下ろしていると姫がバスにお湯を張る、
紗のようにうっすらと背中に何か見える、(模様かな?)と思ったがそれにしては不思議な模様だ、
向き直りながら襦袢を脱いで「お客さん、気になったらごめんなさい」と背中を見せたら背中一杯に見事な観音様が彫られている、
「いや、気にしないよ、見事な観音様だね」と答えたが鮮やかな観音立像だった、
「これから色を入れるんだけど赤を入れると暫く店を休まなきゃならないので少したまってから」だそうだ
正確に覚えているわけではないが女性の白い肌に彫られた観音像は幾つか見た彫像や絵画のどの観音像より印象が強く未だにあの観音様が一番美しい記憶である、
緋色の腰巻に隠れていた観音様の裳裾は双丘の上に足を置いていて暫く見とれていた、
「観音様が二つあるのよ」と笑っていたが何とも罰当たりなお参りをさせてもらったわけだ、
最近は入れ墨と言うより「タトゥー」と言う事の方が多いが街で普通に見かける事が多くなった、
日本では入れ墨はアウトローの象徴だがアメリカやヨーロッパではおしゃれの一種らしいがどうもパプアニューギニアの鼻環をした裸族を思い出してしまう
昔「薔薇の入れ墨」と言う映画があったが音楽しかしらないのだが曲のイメージは今のタトゥーとは違いそうな気がする
思いついて谷崎潤一郎の「刺青」を読んだがあの中の女性が刺青を背負って生き方が変わったと言うのがあの観音像を背負った女性と重なって見えた、
彼女もあの背中を見てもらいたくてあの仕事をしていたのかもしれない


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