ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

小学校実践のアンケート結果から

2013-02-20 21:16:23 | 対話型鑑賞
校区の小学校6年生を対象に実践した様子については以前に報告しましたが、今回はその際に行ったアンケートの結果と感想文の抜粋を紹介します。

作品を見て話そう(6年生)アンケート結果(92名)

鑑賞した作品 草光信成「四人の子等」島根県立美術館蔵

授業のふりかえり 質問項目(評価は4がもっともそう思う:1がそう思わない→) 4:3:2:1
A しっかり絵を見ることができた                    65人:26人:1人:0人
B  絵を見てしっかり考えることができた               48人:40人:4人:0人
C 自分の意見を言うことができた                    22人:26人:27人:17人
D 友だちの意見をしっかり聞くことができた               60人:28人:4人:0人
E 友だちの意見を聞いて、自分の考えをより深めることができた      30人:48人:13人:1人
F このような鑑賞をまたやりたい                   54人:32人:6人:0人

鑑賞を終えての感想(抜粋)

○最初何を言えばいいかわからずにいたけど、どんな小さいことでもOKなんだとわかり発表できた。この作品を描かれた人にいったいどんな気持ちで描いたか、そしていろいろ不思議なことを聞いてみたくなりました。またやりたくなりました。
○絵について深く考えることができました。
○これから絵を見ることがあると思うけど、想像しながらみたいです。
○友達が、僕とは違う考えの人がたくさんいてびっくりしました。
○絵をみることでいろいろなことがわかるんだと思いました。絵にもいろいろな魅力があることがわかりました。
○みんなの意見が違って、自分の考えが変わったりして、よかったです。
○友達の意見を聞いていくうちに自分の意見が深まって楽しかったです。
○一つの絵でこんなにたくさんの意見が出ておどろきました。
○鑑賞をして興味を持てました。
○絵を見て、思ったこと、感じたことを発表したり、人に伝えたりすることは、おもしろいし、絵に興味を持ちました。
○人の意見を自分のと比べるのっておもしろいと思いました。
○いろんな人の意見を聞くと「なるほど。」と思うこともありました。
○自分がわからないなーと思った所もみんなが気づいていて、分かりました。
○深く考えるのがとて好きなので、とてもおもしろい授業でした。
○人によって感じ方はいろいろだなと思いました。
○始めは何をしているのか分かりませんでした。
○自分で思っていることを考えて伝えられてよかったです。
○鑑賞することで絵の中に入れた感じがしたりして、よく考えることができました。
○一つの絵でも考えることがこんなにたくさんあることが分かりました。意見を出し合い、想像するのは楽しいことだなと思いました。
○一つの絵に対してたくさん考えることができてよかった。
○1枚の絵をじっくりみた鑑賞はよかったな。
○絵をじっくりみて考えることはあまりないので貴重な鑑賞でした。見えないことも考えられたのでおもしろ
かったです。
○この機会で絵に興味が持てました。
○ふだん見ないような所でも注意してみれば、より深いことを考えることができることを知りました。
○自分の考えと友達の考えは違って、友達の考えを聞いて、とても考えが深まりました。いろいろな考えがあってとても楽しかったです。
○絵について分かったり、関心を持つことができて、勉強になりました。
○最初は何を言えばいいのだろう?と思って難しく考えすぎていたけれど、何でもいいと分かって、いっぱい手を挙げられてよかったです。
○絵を見て考えて、みんなで意見を出し合うのはすごく楽しかったです。
○1枚の絵からでもいろいろなことが考えられて、こんなに考えられるんだとびっくりしました。
○同じ1枚の絵を一人で見てひとつの考えでいるより、たくさんの人で見て意見を出し合い、自分の考えをいろいろ変えてみる方が楽しいなと感じました。「この絵を描いた人はどんな気持ちだったんだろう。」と思いました。
○みんなが違う意見を持っていることが分かりました。
○意見を出し合うのは楽しいな。
○よく見ると絵からいろいろなことが読み取れて違う意見が出ておもしろかったです。友達の考えからより考えを深めて、何かを発見する時はすごく楽しかったです。1枚の絵からこんなにたくさんのことが分かったのには驚いたし、これから、絵を見る時にいろいろな考えを持って絵を見たいと思います。
○他の人の意見を聞いて僕が気づかなかったことも分かったので、聞くことは大切だと思いました。
○ちょっとしたことでいいと言われて、発表できるようになって楽しかったです。
○今日みたいな授業をまた受け手みたいです。
○みんなと自分の意見を発表しながら考えていくと、とてもわかりやすかったし、進んでいったのでおもしろかったです。自分が考えている以上のことも友達の意見で分かるので、一人とみんなでは全然ちがうなと思いました。
○色々なことを考えないと授業に参加できないということが分かりました。
○自分なりの意見(四人の子等と言うタイトルを聞いて、乳母車の中のこどもは死んでいるのではないかと考えた)が出せてよかったです。
○なんか、見てその見たままのことを言うのがとてもおもしろかったので、家でもやろうと思います。

実践を終えて
 児童の記述の中から対話型鑑賞がねらうものに迫るものを取り上げ、一部抜粋で上に示しました。好意的な記述ばかりを取り上げたのではなく、「おもしろくなかった」「嫌だった」「もうやりたくない」という記述は一切ありませんでした。アンケートの集計結果からも明らかなように、Cの質問項目「自分の意見を言うことができた」だけが、低い結果となっています。これは、なるべく多くの児童に発言を求めたためで、挙手以外に指名もしましたが、それでも全員が発言することは不可能で、発言できなかった児童は評価の2や1を選んだためだと思います。しかし、発言はできなかったけど聞くことや考えることはできていたと感じているようです。記述の中にも多くの児童が「仲間の意見を聞きながら自分の考えを深めていくことができた。」と感じていますし、仲間の意見を聞くことで、自分との違いや仲間の意見で理解が深まったことも手応えとしてあったようです。
 また、美術科のねらう「美術を愛好する心情を育てる」ことにも効果があったと思います。児童の記述の中にも「絵に興味が持てた。」「絵について分かったり、関心を持つことができた。」等の記述からもそれが分かります。
 最後にこの日の出来事を日記に書いた児童の作文を掲載して、小学校6年生の実践報告を終わります。
「今日は、とてもいい、たくさんの意味が入った絵が見られて、その絵の事で、みんなと意見を出し合えて良かったと思いました。絵を見て思いを伝え合って考えを深めていくのは初めてではないけれど、あまりやったことがないので、今日は最初、なかなか手を挙げられませんでした。でも、みんなの意見がたくさん出てきたので私のそれに対する意見を言えるようになりました。小学校ではあまりやらない勉強を中学校に入る前に経験できてとてもよかったです。一人で絵を見ても同じ考えばかりでつまらないけれど、みんなの感じ方を知れるのはとても楽しかったです。またやりたいと思いました。」

さて、週末は浜田・益田で研修会です。月曜日には幼稚園で5回目の実践を行います。この報告もまた行いたいと思いますので、お楽しみに。
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石見美術館のみるみるとみてはなそう!!展での実践報告

2013-02-20 20:49:01 | 対話型鑑賞
石見美術館のみるみるとみてはなそう!!展での実践風景です


みるみる会員の金谷が2月16日(土)14:00~ 石見美術館で対話型鑑賞の実践を行いました。
一般参加者が30余名。浜田から中学生も参加し、昨年からの対話型鑑賞活動で最多の参加者を記録しました。
以下は、金谷のレポートです。

みるみる会員の金谷です。以前のブログで予告?されていました、2月16日益田市のグラントワにある石見美術館での「みるみるとじっくりみてみる?」の実践の様子をお伝えします。

 鑑賞した作品は、「あなたはどう見る?~よく見て話そう、美術について」の展示会場の奥にある2点の写真です。向かって右の作品は、青空をバックに水辺に並んだ男の子たち。左は4人の少年たちがジュースを片手に向かい合っているのですが、その背景では何かが炎をあげて燃えているというものです。

 この日は浜田市の2つの中学校の美術部員や一般の来館者の方と一緒に、右の作品から1点ずつ語り合い、その後2作品の共通することや相違点について語り合いました。語り合う中で、同じ作品に対して相反するとらえ方や、感じ方が出てきたのがたいへん興味深かったです。
同じ空間で同じものをみていても、感じ方はひとそれぞれ違っています。だからこそ、自分の内側にわきあがった思いを言葉にして、伝えることが大切です。また、それを聞くことによって、その人の思いや感じ方を受け取る。そのような、みる・きく・はなすのグルーブの中で、一人ひとりが「ART」を体験していくのだと思います。

 たいへんうれしいことに、この日はおよそ30人というたくさんの方が鑑賞に参加してくださいました。しかし「発言したかったけど、人が多くてちょっとできなかった」という声もお聞きしました。今後、人数によってはグループ分けをするなどの工夫をして、皆さんとより濃い鑑賞の時間を共有していきたいと思います。

 長くなってしまいましたが、最後に…私はファシリテーターをする時、めちゃめちゃ緊張します。でも、めっちゃ楽しいです!ファシリテーターに興味がある方、チャレンジしてみませんか?「ART」との新しい出会いが待っていますよ!!

 金谷のレポートにもあるように、「ARTとは、ART作品と鑑賞者の間に立ち上がる不思議な関係」と言われます。かのピカソも、作品は鑑賞者がいて初めて芸術になると言っています。芸術作品は初めから芸術作品として存在するのではなく、見る人がいて、より多くの人が観る価値を感じ続けるからこそ芸術作品になるのだと思います。
 また、この対話型鑑賞を実に様々な方たちと、それは一般成人であったり、中学生だったり、小学生、幼稚園児だったりするのですが、その年齢で思ったり、感じたりすることのできる最大を受容する懐の深さを作品は持っています。その懐の深さが作品の芸術作品としての価値なのではないかと思う今日この頃です。
 人間は、有史以前より表現することを、暮らしの営みの中で連綿と続けてきました。最初は祭祀だったかもしれません。宗教的な教えを説くためのツールだった時もあるでしょう。でも、時を越え、現在に至るまで、長い年月の中で淘汰され、残ってきたもの(作品)には、残されるに値する何かがあったのだと、この鑑賞活動を実践するにつけ、強く感じざるを得ません。残るべくして残ってきたのだと、その作品の素晴らしさに改めて頭の下がる思いがします。そしてその作品が素晴らしければ素晴らしいほど、作品の本質に、幼稚園の園児でさえも迫ることができるその凄さに、この鑑賞活動の意義深さを、実践するたびに感じている今日この頃であり、志を同じくした、会員の金谷もその魅力にはまってしまった一人でしょう・・・。

引き続き、第2弾として、小学校6年生の実践アンケートの結果をUPしたいと思います。


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