ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

オンラインACOP鑑賞会参加レポートです

2020-07-12 11:21:09 | 対話型鑑賞


第6回オンラインACOP参加レポート 2020/06/28
津室 和彦

1 初めてのオンライン鑑賞会参加
 在宅勤務を強いられ,美術館は閉館という状況の中で,オンラインでの鑑賞会が行われているという情報は少しずつ入ってきていた。会議システムは様々あるが,個人として用いるにはzoomが手軽で普及している印象が以前からあった。今回,YCAM原さんの紹介により,オンラインACOPに参加させていただく機会を得た。内容は,先日(6/14)の春日さんのレポートに詳しいが,初参加のトーカーとして状況と所感を述べる。

 今回の参加者は,関東圏の美術館関係者やエデュケーター等が中心だった。自分も含め,オンライン鑑賞会初体験の人が3名であった。これまでの例会も,毎回9名程度の参加に絞られている様子。人数制限をすることについては,参加してみて得心した。リアルのギャラリートークでも,10名を超えると発言しづらくなる感覚はあるが,オンラインだとさらに抵抗感は増すと思うからである。

2 オンライン鑑賞会の強み
 オンラインの一番の強みは,場所の自由性である。ネットでつながっているので,自宅でもオフィスでもどこでも参加できる。また,地理的な移動を伴わずに済むので,私のような地方在住者でも他地域の方と交流できる。鑑賞の構成メンバーも自由性が高い。 次は,ネット会議システムの機能を生かすことができるというよさである。とくに,チャット機能は通常の対話に加えてテキスト情報を同時進行で扱えるよさを感じた。発言のタイミングを逸してしまったような時でも,チャットのタイムラインに書き込むことで,ナビや進行管理者,ほかの参加者に自分の考えを伝えることができる。そうすることで,場合によっては次のフェーズで取り上げてもらえることもある。また,取り上げている作品を収蔵する美術館のwebページURLのリンクを貼った方もいて,即座にアクセスできたという場面もあった。
 作品画像は,提供者だけでなく,各自の端末で拡大・ドラッグして見ることができ,ギャラリーで作品にぐっと近づいて見るのと同じような感覚を得られた。また,ナビのポインティングは,画面上のカーソルで行われていた。 
 
3 オンライン鑑賞会の弱点
 細かな表情や感情が伝わりにくいことである。同じ場で共有するからこその空気感や表情の動きなどは,ナビにとって重要な情報だと思うが,オンラインではどうしても把握が不十分となる。PCかタブレット1台という通常の環境では,作品画像と同時にディスプレイに参加者の顔が映し出されることになる。参加者の顔は,小さな画面で6名程度しか見られないことも多い。リアルでは,少し目を巡らせば全員の顔を見ることができるが,ネットではそうはいかない。また,挙手も,ホストにはテキストで表示されるが,画面上での挙手は見落としてしまうこともある。だから,言いそびれ,当てそびれも生じてしまう。
  
4 振り返りのフリートーク
 階層を引き上げてパラフレーズするとよいという話が,大変興味深かった。例えば人物についてであれば,“顔”“体”“描かれ方”という階層があり,より細部や具体がその下の階層としてある,ということであった。そこで,髪型やしわや視線について述べられたときは,「“顔”について~~な印象があるということですね。」というふうに,ナビは一段引き上げた階層を意識して述べると,より一般化されて鑑賞者に納得してもらえるのではないかということのようであった。
 このような階層を意識するためには,ナビは,事前に自分なりに樹形図のような形にまとめておくとよいのではないかという発言もあった。
 私は,鑑賞に用いる画像を用紙の中央に印刷し,周囲の余白に書き込むかたちで,紙上ひとりディスクリプションを行うことがある。しかし,そこにとどまらず,階層を意識して整理して作業まで行うことで,より多様な発言に対応できるようになるのではないかと,このような会話を聞いて思った。
 振り返りのフリートークでも,大変な刺激と知見を得ることができた。今後自分の準備等にぜひ生かしていきたいと考えている。
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