ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

2014年最終のみるみるの会レポートです。ナビは小川さんです。

2015-01-06 20:42:47 | 対話型鑑賞


みるみるの会 2014年 最終回の報告です。
ナビは小川さん。全対話を文字起こしした長編大作です。ご苦労様でした。

12月13日(土)14:00~15:00
場所:浜田こども美術館コレクション室
作品:「ミスター アンド ミセス レインボーノッポ」/靉謳
作品選定の理由:靉謳の作品は資料集にも載っていて有名です。しかし、その作品をどう見たらいいのか、何を感じればいいのか、じっくりと観た事はありませんでした。展示室に入ったとたん、パッと目に入り、対話型鑑賞をとおして、みんなで考えてみたいと思いました。
参加者:みるみる会員4名。一般3名。いつも参加してくださる常連の方3名は、この日は参加できないと前もって聞いていたので、内輪だけで練習しようと思っていたのですが、なんと、午前中に広島の美術館へ行かれ、その足で参加してくださいました!感動です!

鑑賞
鑑賞の前に、午前中に行かれた美術館の話で盛り上がり、和やかな雰囲気のまま、鑑賞会へ。常連の方々と会員のみの参加だったため、前置きは省略して、スタートしました。
ナビゲーター:小川(以下 小)
小:今日はこの作品です。まずはじっくりとみてください。(1分程度)いかがでしょう。気づかれたことですとか、思われたことですとか、お話していただきたいと思うんですけれども。
S:左側に男の人、右側に女の人のシルエットがあるなあと思いました。
小:はい。どこからその違いを見つけられましたか。
S:男性は肩幅ががっちりしてるのと、ヘアスタイル。女性は胸の部分、腰の部分であったりが女性かなと。
小:はい、形からですね。
A:キャプションを見るとノッポと書いてあるが、あんまりノッポには見えない。それと男の方が内股というかX脚で、よわよわしい感じがして、どういう2人の関係か、考えさせられるなと。
小:そうですね。ノッポと書いてあるわりには、背の高さに違いはない。そして足から女性っぽさを感じるし、2人の関係はどういう関係なんだろうと。いかがでしょうか。
B:違うところといったら、男性と女性のラインの形が違う。
小:そうですね。男性は上向き、女性は下向きのカーブのある線ですね。
H:今のラインの向きが違うことによって、男性の方は下から見上げた感じがして、女性のほうは逆に上から見下ろした感じになっているので、不自然ですよね。並んでいるのに、そこで視点の違いがあるのはどうしてかな。
小:そうですね。並んでいるのに視点の違うような感じがしますね。
U:男の人と女の人の手が、からまって、こう…
小:交差しているような?
U:それで、ラインが上向きなので、肩がこう張っているというか、虚勢をはっているように見える。
小:ラインの違いで、視点の違いだとか、胸をはっているような感じだとかもみえてきますね。いかがですか。
U:サーモグラフィー。熱の高いところが赤とかオレンジ。そういう映像を見たことがあるので、胸から上、頭の方は熱くなっている感じがします。
小:色から。上半身は熱が高くなっている感じがする。ということは下半身の方は、温度がさがっていく感じがすると思われますか?
U:そこまでは思わないけれども、くつ下のようなものはいているような。
小:この部分は生身の体ではなくて、衣服を身に着けていると。
U:そのピンクの部分は靴下のように見えますね。
小:なるほど。この部分は生身ではなくて、靴下のような感じ。色の違いのことを言っていただきました。
B:こういう絵は2.3枚見ると、分かるかもしれんね。一枚だと、何を描いているのかわからんところがあるね。
S:私もよくわからない作品だなと思うんですが、でも、男と女が描かれている、腕がからみあっているので、つながりとか。さっき温度の話が出ていたけど、私も下半身は冷たい感じがするなと思ったけど、地の部分は逆の配色になっている。人物と背景の配色の天地が逆なことにどういう意味があるんだろう。
小:はい。人物と背景の配色が逆になっていますね。どういう意味があるかなと言われましたが、どう思われますか?みなさん。なぜ、人物と背景の配色が(違うのでしょう。)
A:別に、人間でもなんでもいいんじゃないですかね。虹色で遊びたいというか。抽象的なもので遊ぶよりは、具体的なものを全部虹色にしたらおもしろいんじゃないかとか、そういうところからの発想だと思う。
小:作者の遊び心のような。
A:うん。人間でも大根でもなんでもいいんだと思う。虹色にしてみたらおもしろいんじゃないかというところの発想だと思う。
小:人間でも大根でもなんでもいいんじゃないかという意見なんですけども、でも、これは、男の人、女の人というふうに形から分かりますよね。これが、男と女であることによって感じることがあるのではないかと思うのですが。
A:仮の姿で人間の姿を借りているだけであって、形というものの意味をなくしている作品であって、色彩だけを見たほうがいい気がしますね。人間であることはテーマでもなんでもない。
小:色彩だけを見た場合に、どんな感じがされますか。
A:虹色だな。
小:温度の変化、温かさを感じるという意見もありましたけれども。色彩の感じは強烈というか珍しい感じがしますよね。この色彩がもっているメッセージはどういうふうに思われます?この虹色は作者があえてしていると思うのですが、この色彩がもっているメッセージは。
B:仏経画は赤と緑。男と女がいて、という情緒的なことは置いといて、色で見せる絵ですよね。赤と緑の色彩に黄色、オレンジ…線の直線、曲線の違いはあるが、ただそれだけではおもしろくないから、人物を置いたというだけでね。
小:そうするとやはり、色彩に重点を置いた絵だと。
B:そうだね。これ白黒だとあんまりおもしろくないもんね。
小:この色彩から、みなさんはどんなことを感じられますか。色に重点があるんじゃないかというご意見ですけれども。
C:大体これは男性がいばってるね。
小:(笑)はい。男性がいばっている。
C:女性の肩が後ろにあって、男性が前に出ている。俺についてこいみたいな感じで、男尊女卑じゃないけれども、描いた人は男意識が強い人が描いてるね。
小:この男性の肩がぐっと前に出ているので、
C:せっかくの女性のボディーが隠れていて、胸が押さえつけられている。圧迫されている。で、足はしとやかにそろえていて、男性はクッと開いている。典型的な男のスタイルかな。描いた人は古い人が描いてるわ。
小:男性とはこうあるべきだという。
A:そういう話でいくと、西洋の男の人は女の人を前に歩かせる。日本は、男の人が前へ行く。レストランへ入った時も女の人を座らせて、男はこっちに座って守る。そういうふうに言われていたんだけれども、それは間違いで…
小:そうなんですね。
A:女を後ろに歩かせると、いつ逃げられるかわからん。
小:あ、なるほど。
A:日本人は女の人を信頼してるから後ろを歩かせるけれども、西洋人は、いつ逃げられるかわからんから、前を歩かせる。ガードしてるようにみえるけれども、逃げられるのを阻止してる。
小:あ~(笑)なるほど。そういう解釈もできるんですね。
A:いや、解釈じゃなくて、それが正しいの。女の人に優しいふりをしてますけど、にげられんように阻止をしとる。
C:それは昔の話。20年経って行ってみたら、もう様変わり。アメリカの人はいつも女性を先。エレベーターに乗る時も帽子をとってどうぞ。日本人のうちの母さんは、遠慮がちだから、いやいや男の人先どうぞ、って。だけど、それじゃあ、みんなが乗れないから、先乗れって。
小:20年前は。
C:それが、今は帽子は取らない。男がさっと先乗る。女性を乗せる気は毛頭ない。
小:今は。
C:歩道を歩く時でも、絶対女の人を車道側に歩かせなかった。
A:あの、絵の話と全然関係ない。
小:(笑)そうですね、話がだんだんそれてきました。
C:やっぱりね、男の方が前へ出てると、古い人間かなとね。女性が従ってるんだなと思うね。
H:今のお話聞いて、初めて気がついたんですけど、カメラのアングルなんかでも、立派にみせようと思ったら下から存在感が増すと聞いたことがあるので、そういうことも関係して、見上げたような角度にして、女性を上からみて、そういう力関係を、カーブで表現してるんじゃないかなと。
小:この2人がどういう関係なのかということが前にでていたんですけれども、そこにも通じてくる話ですよね。
足元みるとよわよわしいというか、女性らしい感じがするという意見も先ほどありましたけれども、どうでしょうか、その辺は。男性の方が強いというのと。
A:上向きに波があって、男性の方を力強く見せてるというのだとすると、股間ももっと太く上向きにすると思うんですよね。
小:う~ん。
A:なんか情けないじゃないですか。
小:一貫性がないというか。
A:いや、だから人間じゃないんですよ。人間をかいてるわけじゃないんですよ。そういうことはどうでもいいんですよ。
小:なるほど。はい。
B:2人の話きいとってね。なんかこの絵失敗している。ここの部分ははっきりしている。どこからどこでつながるか分からんという方が深みがある。この部分はそうだけど、このところはこっちが前に出てはっきりしとる。この辺が失敗してると思う。
小:2人が混ざり合っているようにみえるんだけど、ここの部分は離れているというか。
B:この肩の部分が不自然なんですよね。私は人の失敗を見つけるのが好きなんです。
小:今お話を聞いていると、いばっているようでいばってなくて、混ざり合っているようで混ざり合ってなくて、なんか、一貫性がない、力強そうでそうでもない。
A:肩のところの形って、人間の形として見た場合、前に出てるけど、男がいばって前に出てるというよりは、女がつっついて前に出させている感じなんですよ。バランス的に。
小:バランス。
A:なんかせっついているような。女の人の方がよほどしっかりしているような。人間のイメージとしてとらええるなら。
小:そう思われるのはどうしてですか。この内股っぽい足、股間も、肩幅も。肩幅というか、この肩の様子も。
B:例えばね、この絵の中に情緒的なことは捨てるべき絵だと思うんですよ。
小:肩のところが混ざり合っていないということで、男性と女性の関係性を見る人は感じるし、絵的に、色と形の関係性だけでいくんなら、ここは中途半端だと。
B:男と女の違いはあるけど、ただそれだけというかね。近代絵画というのはそうでしょ。
A:今、近代絵画といわれましたけど、この絵は多分1960年代の現代美術の中で生まれてきた作品だとおもいますけど、その頃というのは、古典的な物語性とか、そういう要素を全部捨てて、純粋に美術として見せる傾向があったので、言われたように、対象物としてまあ、確かにありますけど、情緒的な話をしても、まああんまり意味がない。絵画としての、色の役割を考えさせてくれる作品なんだろうと思いますので。
H:そういう見方もあると思うんですけど、それなら別に形がなくてもかまわないと思うんです。形のない作品もある中で、なぜ形を描いたのか。靉謳さんは浮世絵の春画なんかもたくさん手がけているんだけども、そういう感じで、男女のつながりとか、セクシャリティなんかもテーマに入っているんじゃないかと思うんですよ。
この作品をみると、背景とこのモチーフと、どっちも同じ色面を使っているところが中心にありますよね。その色相環の中でもっとも明度が高いものをなぜ真ん中に置くのか。しかも男女の生殖器があるところを一番目立つ黄色をもってきて、背景も同じ黄色をもってきて混ぜ合わせているのには、やっぱり何か意味があるんじゃないかなあと思います。
小:先ほどから、物語性は排しているという意見もあるんですけど、でもこの人物の形と背景の色、なぜそう組み合わせたのかということを考えていくということもこの絵の一つの見方なのかなあと思います。
B:これは色の物語なんですよね。色で感じるのが新しい絵画なんですよね。
小:じゃあもう色に注目して考えた時に、この色からどのようなことを受け取られますか?
C:はい。人生。若い情熱に燃えている時は、この辺がカッカしている。だんだん年をとってくると、だんだん色も冷めてくる。私なんかはもうこの辺。
小:(笑)なるほど。この色の配色は人生であると。
C:そう。若くて情熱があるときはこの辺は熱いけれども、年をとって情熱が冷めてくると、私なんかはこの膝の下あたりなんじゃないかと。で、最後の方にまた明るくなるのは、ろうそくみたいに、人生の最後にポッと命を燃やして明るくなるのはその足の先だろうと。
小:なるほど。そういう見方も。
A:これはキャプション見んでも、虹の色をイメージさせとるということはわかるんですが、赤のところまではきれいなグラデーションになっているんだけど、その紫のところは、グラデーションになってないというか。色としてはちょっと違和感を感じますね。
小:パッと見は虹をイメージさせるんだけども、よく見るとグラデーションになってないですよね。
A:こんなきつい色に虹なんかないんで、強いて言えば、虹かな。
U:色相環の色の順番でみていったんですけども、私もこの真ん中の、画用紙がつながっているところが黄色なのはどうしてかなと。足の先でもいいし、頭のてっぺんでもよかったかもしれないけども、地と図の色の組み合わせを試してみたかったのかなと、色の組み合わせのおもしろさもこの人は感じているんだろうなと思ったんですけども。男の人の方は、レインボーノッポという名前のとおり上に伸びていく気配を感じて、女性の方は髪の毛の分け目の方から太陽の熱というか光というかそういうものが感じられるので、男性は上、女性は下にふりそそぐという流れを感じさせる。足の指も男性は上、女性は下に下に伸びていくという上下の動きも、もしかしたら作者は意識したのかも。
小:一枚の絵の中で、同じ色の変化だけども、こういう動きも感じられる。循環でもないですけども、上に伸びるのと、下に下りるのと。
B:男と女のことでいうと…(レコーダーで聞き取れず)
小:ここはきれいな赤だけれども、ここは違和感があると先ほどからおっしゃっていますけれども…
S:いろいろ聞いてて、シルエットがたしかに特徴的なものは描かれてないが、具体的に何かを表現するんじゃなくて、男性の性の象徴的な捉えや女性の性の象徴として描かれていて、相反するもの同士のつながりが、象徴的に表現されているんじゃないかと思いました。
小:なるほど。
B:風景などだと、何が描かれているかははっきりするが、男女のとらえは人によって違うのではないか。
小:みなさんのお話をまとめてみると、男性と女性の象徴を表しているんじゃないかということですかね。記号化された形というか。それを、こういう配色で表現することで、作者は何を表現したかったと思いますか。さきほどから、色のメッセージ、色を見ていくべきだという意見は出ているんですけども、この色からどんなことを感じられるでしょうか。「人生」という意見も出ていましたが。
A:人間の形はただその姿を借りているだけだと思うが、ただの長方形が二つ並んでいてもいいと思うが、それだったらこんなに話にならない。話題性がない。見て迷わせるようなところを狙っているんじゃないか。色だけじゃなくて、人間の形を描くことによって、見る人に困惑を与えるようなことをしている。
小:これは一体なんだろうというような。
A:人間であることに意味はないんだけど、そういうふうに思わせるような仕掛けがしてある。
小:なるほど。
H:人間の形を描くことによって、見る人は自分が考える人を投影しやすくなる。でもそれって、人が10人いれば、10人分の捉え方がある。色も、色相環のすべての色を使うことで、どう見てもいいですよと、Aさんがおっしゃったように、どう見るかは見る人の勝手ですよと、そんなのをわざと投げかけているような、そんな気がしてきました。
小:なるほど。
B:ついでに言うと、音楽と絵画があるでしょ。音楽の人と付き合うと、絶対馬鹿にされるの、絵画は。音楽は下手ということがすぐ分かる。絵というのは、下手でもなんかいいというのがある。だから誰でも描けると言えば描ける。だから下に見られる。その代わり、一瞬見たら分かる。絵というのは。この絵は今いろんな意見が出てたでしょ。そりゃあ、まとめん方がいいわ。
小:(笑)いろんな見方がある、というところで止めといた方がいいといことですね。
A:色彩ということが出てるんだけど、レインボーと書いてあるけど、レインボーといったら光の色なんですよね。光の色は混ぜたら白になるから、この絵の上下行き着く先は白になるんじゃないかと思うんですよね。絵の具の色だとすれば、黒になっていくと思う。光の色を描いているのか、絵の具の色を描いているのか、それもちょっと分からない。
小:この作品について、いろいろな意見がでて、もうまとめない方がいい(笑)ということも言われるんですが、私がこの作品を見たときに、心引かれるものがあって、でも多分1人で見ていたらなんだろうというところで終わってしまうと思うんですけど、こうやってみなさんといろいろ語ることで、何か自分なりの見方というのができたらいいなと思ってこの作品を選びました。どうでしょう、この作品についてもっと、こういうことを思うということはありませんか。
U:ちょっと話はずれるが、靴下みたいといったところですか、そこだけ加工した感じになっているが、光の話も出たが、きれいなグラデーションになっているが、地の頭の部分にも、白を混ぜたような色がつかってあって、絵の具感がある。頭から上とその下のところにメッセージをこめているのかな。
小:先ほどから、グラデーションが不自然と言われているところですね。あえてそうすることで、何かメッセージがこめられていると。
S:この作品が伝えたいことですけど、今世の中に相反するものはたくさんあるが、男性や女性のような両極のものを融和しているんじゃないかと思う。
C:やっぱりいくつか作品を見ないと、わからんね。人物もあるかもしれんし、風景もあるかもしれない。そういうのを並べてみた時に初めてこの人のことを理解できるんじゃないかと思う。
A:現代美術の作品はバックに理論がある。だからいくつか見ないとわからない。でも、今はこの作品からということなんだろうけど。
小:そうですね、この絵から何を感じるかですけども。
C:この人は1960年生まれでしょ。私と同い年。だから何か通じてもいいようなもんだけど、私の方が遅れているんだね。だから年齢ではないんやね。しかしね、私が一番好きなのはね、ここなんですよ。(女性の腰のあたり)
小:このくびれたところ。
C:これがあるかないかで、変わるんじゃないかな。そこに隙間があるかないかで、やすらぎがある。ほっとさせるものがある。我々も、絵の中にほっとするもの、安らぎのような瞬間がないと、べたっとしちゃうといい絵じゃないないと思うね。私の好みだけど、この隙間がしめてるような気がする。
A:今日、初めていいこといった。
C:体全体からみたこの隙間に安らぎを感じますね。
小:なんか、尽きない絵ですね。これでわかったというふうにならない作品ですね。それは、Aさんが言われたように、作者が見る人を混乱させたり、不安にさせたりするという意図もあるかもしれません。ただ、私は、みなさんがたくさん意見をいってくださった中で、そういうふうな見方もできるんだなという自分なりの考えも持てたので、この作品を選んでよかったなと思いました。
最後に一言、おっしゃりたいという方はいらっしゃいますか。
A:この作品は何回すったんだろう。シルクスクリーンにする意味があんまりわからない。
小:この作品をたくさん作った意味ですか?
A:いや、シルクにする意味。
(ここで、技法についてあれこれ・・・)
A:やるといわれてもほしくないです。
小:(笑)Aさんは好みじゃないんですねぇ。最後に技法のことも出ましたが、本当に尽きない絵ですね。またこの後もじっくり見てみてください。今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

感想:初めてみる作品だったので、特に作戦があったわけではない。しかし、最初にもっていたナビのイメージは、積み重ねていくこと。参加者に自由に発言してもらい、その発言の中から、色なり形なりにしぼって考えていき、全体につなげるというイメージをもっていた。参加者は常連の方ばかりだったので、どんどん発言が続いた。しかし、ナビをしながら、どこに話の焦点をしぼっていくかについては、定まらなかった。道のない暗闇を手探りで歩いているような感覚だった。自分なりには、「○○について考えてみましょう」と視点をしぼってなげかけたつもりだったが、色にしぼったはずなのに、形の話が出たり、形にしぼったつもりなのに、色の話がでたりして、話が行ったり来たりしていた。鑑賞の時間が一時間に及んだのもそのせいだったと思う。参加者の発言をもとにしての提案だったが、それがその場にそぐわなかったのかもしれない。最終的には、「さまざまな見方ができる絵」というところでおさまったが、これでよかったのかな…と。もっとコントロールをすることができたのではないかと反省した。

大人の、しかも自分で作品を制作されている方々の対話は含蓄に富んでいますが、会話の流れをコントロールするのは難しいと思います。それは、今回の小川さんだけではなく、会員みんなの課題だと思います。ただ、この鑑賞法がきっと愉しいから、この方たちは毎回欠かさず参加してくださっていると思うので、それだけで十分と言えるのではないでしょうか?たくさんの意見を聴かせていただくことで、私たちの鑑賞眼をUPさせることができる機会になっていると思います。
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