大社小学校5年生と対話型鑑賞で、ゴッホの「椅子」をみました。
4時間目、バインダーを首から下げた子や日に焼けて真っ黒な顔の子、みんな裸足でぞうりばきです。元気に「こんんちは。」とあいさつをしながら教室に入ってきます。
5年生だから、結構しっかりしていると感じます。どんな会話が飛び出すか、ワクワクしてきました・・・。
さて、チャイムが鳴って授業が始まりました。
スクリーンには「みる・考える・話す・聴く」が映し出されています。
みんなで作品を鑑賞すること。特別な知識がなくても鑑賞できること。でも、スポーツのようにルールがあるので、それを「守ってね。」とお願いしました。
そのお願いは、
①最初は黙って静かに、自分一人でじっくり作品を隅から隅までみること。
②みながら、いろいろなことをしっかり考えること。
③見終ったら、気付いたこと、発見したことを、手をあげて、指名されたら発表すること。
④発表している人以外の人は、発言をしっかり聴くこと。
であることを伝えました。
そして、挙手するときも「はい。」「はい。」と声を出さないで、黙って挙手することを伝えました。(これは、「はい。」「はい。」合戦になるのを避けるためで、声の大きさに圧倒されて手をあげにくくなる雰囲気を避けるためです。)
作品を映して、鑑賞のスタートです。
あくびをしながらみている子もいました。給食前だし、疲れているのかも知れません。でも、大半の子はしっかりとみていました。
「もう少し、みたい人いますか?」
挙手なし
「では、始めていいですか?」
みんなうなずく。「はい。」と言ってくれる子もいました。
「では、何からでも。気付いたことやみつけたことを、誰からでも。」
3~4人の手が挙がります。
「椅子がある。」
「どれが椅子?」
「真ん中のやつ」
「みなさんどうですか?椅子でいいですか?」
挙手を促す。全員の手が挙がる。
「はい。みんながこれは椅子だということで、いいですね。」
「他に?」
「椅子の上に、なんか、たばこの吸うやつのようなものがあって、その横に黒いところがあるから、それは、灰皿?だと思う。で、年寄りの男の人が住んでいると思う。」
「おお、いきなり、色んなことをたくさん言ってくれましたけど、なかなか、核心にふれるような発言もありましたが、後で、ひとつひとつ、確認していきたいと思います。」
「他に?」
「箱がある。で、ドアがある。」
「ドア?どこがドアですか?」
「色が変わっているところ。壁の色と違う。」
「どこが壁で、どこがドアですか?指さしてくれてもいいけど?」
「椅子の後ろのうすい緑色の所が壁で、ドアは青いところ。」
「そこがドアだと思ったのはどうして?」
「色が違うから。」
「なるほど。」
「他に、どうしてここがドアだと思ったか、言える人はいませんか?」
「ドアの横のところの下の方に、なんか、出っ張ったようなものがあって、それが、ドアにある金具だと思うから。」
「ここですね。これがあるから、こちらがドアだと思ったのね。」
「他の人も分かりますか?」
みんなうなずく。
「じゃあ、このドアは、どちらに開くと思いますか?」
「椅子の方に開くと思う。」
みんなうなずく。
「みなさん、このドアは、椅子の方に開くということでいいみたいですね。」
「他に、発見はないですか?」
「床がレンガ。」
「どうして、床がレンガだと思ったの?」
「色が、それに、コンクリートで固めてある。」
「コンクリートで固めてあるって、どういうことか説明してもらえる?」
前に出てきて、指さしながら
「この、白い筋が、レンガとレンガをコンクリートで固めてつなげたあとだと思う。」
「なるほど。みなさん、どうですか?」
みんな、うなずいている。
「椅子。椅子の上にたばこを吸うようなものがある。隣にあるのは灰皿かな。箱。ドア。床はレンガ。他に、発見はないですか?」指さしながらみつけたものを確認しながら、さらに発見を促す。
「箱の中に、何かいる。」
「何がいると思う?」
「うさぎか猫。」
「どっち?」
「う~~~ん。両方。」
「どこから、うさぎと猫だと思ったの?」
「とんがったところが耳。で、色から。」
「なるほど。他に、これは何だと思う?」
「キツネ。」
「なぜ?」
「色が黄色だから。」
※キツネは飼えないんじゃないか・・・。というつぶやきが聞こえる。
「玉ねぎだと思う。茶色な所と丸いところから。」
「この箱の中のものが何のか?みんな、自分で考えておこうね。」
「他に発見はない?」
※まだ、見つけていないものがあることを伝えることで、さらによくみることを促す。
「椅子が古い。」
「どうして?」
「前の脚の所が腐りかけている。」
「どうして腐りかけていると思ったの?」
「緑いろっぽくて、木が腐っているんじゃないかと思うから。」
「木?この椅子は木でできているの?」
※聞きかえされて、ちょっと驚いている。木じゃないのか?不安がよぎる・・・。
「あ、いや、木じゃないって言ってるわけじゃないよ。でも、どこからこの椅子が木でできていると思ったのか、知りたいので、説明してくれる?」
「あ~~~、前の脚の所とか、目みたいなものがあるから、木にもそういうのがあるから木だと思った。」
※木目を指さしながら「ここね。これが、節というか木目に見えたのね?で、木じゃないかと?みんなどう?」
みんなもうなずく。
「この椅子は、木でできてるってことだね。」
「はい。でも、上の座る所は、わらでできていると思います。筋が見えるから。」
このように、会話はほぼ途切れることなく、続きました。
そして、椅子を使っているのはどんな人なのかについても、色々なことをもとにして「年老いたおじいさん。」という意見がたくさん出されました。
また、誰と住んでいるのかについても、「ひとり。」「おばあさんとふたり暮らし。」などの意見が出ました。
ここまでで、授業時間の45分のうち40分が過ぎていました。振り返りや作品の読み取り、感想を書いて欲しいので、まだまだ話したいことがあって、手を挙げている子どもがたくさんいたのですが、その言いたいことを、ワークシートに書くように伝え、授業を終えました。
帰り際に、男の子が「すごく面白かった。またやりたい。」と言ってくれたのが、とっても嬉しかったです。ワークシートが届くのも楽しみです!!
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