昨日は私の住む出雲市からJR山陰線に乗って、西の端にある益田市まで「みるみるの会」の活動に出かけました。益田市にある島根県立石見美術館で開催されているコレクション展で「みるみるとみてみる」の企画に協力するためです。
島根県は日本地図でご覧になっていただければよくわかりますが、東西にとても長い県です。出雲市から益田市まででも152キロもあるのです。快速に乗り2時間ちょっとの旅の間の楽しみは日本海の光景です。昨日は風がとても強く、日本海は荒れ狂っていました。その海の様子が少しでも伝わればいいなと思って、携帯のカメラでその光景を撮影してみましたが、やはり、目の当たりにするリアルさに勝てるものはないですね。でも、少しくらいは伝わるかもしれないので、画像もUPしておきます。
石見美術館のコレクション展会場での対話型鑑賞は一般の成人(会員の知人や美術館ボランティア、出版社の方、取材の方)など10名あまりの参加者で行われました。みるみるの会員でもある廣田学芸員が収蔵の作品を、ある意図をもって展示している(シークエンスといいますが)作品を前に、上坂会員のファシリテート(会の進行役をこう呼びます)で行われました。
私たちが日常接している中学生とは違って、一般成人の方の発言は専門的なものも多く、表現方法や構図、色遣いの意味などを語られることもしばしばで、ファシリテートする側の人間の力量が問われます。中学生のみえているものを中心に語ることに慣れている私たち教育現場の会員は美術館で一般の方と対話型鑑賞を行うと、パラフレーズ(発言者の語ることを要約し、次の発言につなげること)をいかに行うかが絶えず試されることになります。
昨日も作品制作を行っている方々の参加でしたので、先にも書いたように、表現様式だったり構図だったりという、中学生ではめったに発言のない内容に触れる会話が多かったので、ファシリテートはかなり大変だったと思います。4作品で50分の鑑賞を終え、会員で反省会(ファシリテートの振り返り)を行いましたが、まだまだ研鑽を積んでいくことが求められるということになりました。
対話型鑑賞では「何を言ってもよい」「正解はない」とよく言われます。本当にその通りですが、大事なことは、「何を言ってもいいですよ。」「正解はありませんよ。」とアナウンスすることではなく、「何を言ってもいいのだ。」「間違いってことはないんだ。」という安心感を参加者に感じてもらえる安心感をファシリテーターが作り出すことではないかと私は思っています。「何を言ってもいい。」という安心感を(対話型鑑賞をしている)場に提供する役目をファシリテーターは負っていると思います。受容する態度と言うのか、そういう懐の広さがあると、参観者は安心して語れるのではないかと思っています。
その時に欠かせないのが「うなずき」ではないでしょうか。語る人の語る言葉のひとつひとつを「うなずき」ながら聞く。もちろんそれが儀礼的では意味がありません。語ることの意味をしっかり受け止め、理解しようと心がければ、おのずとうなずきが生まれるのではないでしょうか?「傾聴する」ことが大切だと思います。すべてはそこから始まると思います。
まだまだ、十分なファシリテートができるわけではないので、これからも会員とともにさらに研鑽を詰んでいこうと思います。
さて、夕方5時のJRに乗り、出雲に着いたのは7時半。なんと、出雲は白銀の世界に変わっていました。今日も雪が降り続いています。こんな寒い日には表には出ず、生徒たちと対話した雪舟の「慧可断ぴ図」のワークシート(生徒たちの書いた)を読み返し、評価をつけたいと思います。面白い記述がありましたら、また、お知らせできればと思います。
大寒の一日を、芸術作品の前で、他の鑑賞者の皆さんとすごすできるなんてぜいたくな日だったなあと思いました。
たくさんの方の鑑賞眼をつなぎ合わせて、鑑賞していくと本当に目の前の作品が、生き生きとしてくる時があります。今回も、最初に鑑賞した、岸田劉生の女のデッサンやM氏の自画像、それらと共に中央に並べられた視線を横にやり煙草を吹かす女性。それぞれが人間味を帯びてくるかんじがしました。自分の中での3人が、どんな環境にいるどれくらいの年齢なのか、はたまた今そこで何を感じて何を見つめているのか・・・豊かな世界が目の前に広がっていくのを感じました。
そんな時は、とてもしあわせで他の方の話しも聴けて良かった・・・なんて思いながら帰ります。
以前鑑賞した作品を何度味わっても、新しい発見があり、楽しかったです。
次回は、2月2日〈土)14:00より、同じく石見美術館「グラントワ」の「コレクション室」で。どんな話が聴けるのか楽しみです。
その前に,自分の実践の文字起こしを・・・。
〈 音声認識ソフトの使い勝手の良いソフトをご存じの方、おしえてください~。苦笑)やっぱり人間の耳が一番確かだとか。
人ってすてき!!!
これまでと違って、絵を描く人の視点の意見がたくさんあって、面白かったです。
次回は中学生の参加もあるとか。
年齢、経験、バラバラでも、同じ作品について語り合うことで、自分にはない絵の見方を知ることができるのは新鮮で快感です。そこが対話型鑑賞の魅力です。
2月2日も楽しみです!