長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

104.月に想う・その二 十五夜の月

2013-09-21 22:34:53 | 日記・日常

19日。十五夜で満月の日である。しかも好天に恵まれた。ここまで条件が重なることはない。これはじっくり観察し、撮影しようと日が暮れるのを待った。

ベランダに三脚を取り付けた野鳥観察用の高倍率望遠鏡をセットした。雲一つない星空。空気ももう秋の気配がして心地がよい。住宅地の屋根の上に月がくっきりと輝いている。望遠鏡にデジタルカメラをセットし、倍率や露出を変えて夢中で撮影した。例年、十五夜の日の夜というのは、なかなか晴天に恵まれない。それから十五夜の日にちょうど満月があたるのは今後は9年後になるのだという。東京オリンピックも終了しているなぁ。まぁ、写った画像はただ、まん丸な月なんだけど…いや、この日に観察できたことに意義がある。光学機器も進歩したので表面のクレーターの質感までよく撮影することができた。

ここで『月の歌人』と呼ばれた鎌倉時代の名僧、明恵上人・みょうえしょうにん(1173年~1232年)の歌を二首ご紹介しよう。

山のはにわれもいりなむ月もいれ よなよなごとにまた友とせむ

くまもなくすめるこころのかかやけば わがひかりとや月をもふらむ

京都、高山寺の山中でひたすら座禅を組み修行を続けた明恵上人が山川草木や月と一体となった境地に詠んだ名句である。2022年の十五夜の満月の日。憶えていたら必ず夜空を見上げることにしよう。9年後も、どうかこの日のように好天に恵まれますように。トップ画像は地上用望遠鏡で撮影した十五夜の満月。