地元のNHKカルチャーセンターで指導している木版画教室の年に一回のグループ展、『ユーカリ版の会展』が今月2日より地元イベント会場で始まった。今年で4回目。初心者から継続のベテラン組まで力作が44点展示されている。
講座自体は2005年開講なので、今春で10周年を迎える。これを記念して今回はそれぞれの初期作品と最新作を並べて展示している。つまりビフォー&アフターということだ。会場がどう見えるかというのは企画した僕自身、並べてみなければわからない。展示された作品を1点1点観ていくと、最新作が完成度が高かったり、あまり違いが感じられなかったり、旧作の方が魅力的だったり十人十色でなんとも言えない。共通して言えるのは初期作品というのは版画がどういうものなのか右も左も解らない状態で五里霧中で制作していて力強い。今からもう一度このテンションで作ろうと思っても同じようにはできないだろうということだ。そのことがいったいどういうことなのだろうと考えてみると、やはりそこには彫ること、摺ることに新鮮な「感動」があったのだろうと思う。初めてモノを作る「喜び」と言ってもいいかもしれない。最新作は技術的にもうまくなっていて、それぞれの個性がはっきり出てきているのだが、比較するとまとまり過ぎて見える気もする。
当然だが、言いだしっぺの僕も初期作品と最新作の木版画を合わせて出品した。みなさん現在の具象的な作風は個展などに観に来ていただいて知っているのだが、この初期作品は初めて観るということもあって、とてもおどろいていた。今とは全く異なるテーマで画風も抽象的である。東京という都市をゴースト・タウンに見立てた連作のうちの1点である。なんせ、33年も前、20代前半の作品なのだ。出品者の中で僕が一番年齢が若いのだが、初期作品と最新作の間の時間はダントツで長い。この間にもいろいろなテーマ、作風へと変化している。「作品というのは作り続けている以上、変化していかなければならないし、作家自身、変容していくものなのである…」というようなことを会場で人生の先輩でもある生徒さんたちに話した。
それから開講10周年を記念したA4サイズの共同画集(ポートフォリオ)『THE SQUAERS・2015』を僕も参加して限定出版した。今回で2冊目となる。これもポートフォリオを開いて一枚一枚手に取って見ていくと楽しい。10年は一昔、10年続けばなんとかとも言う。どこまでできるか今から想像はできないが15周年、20周年と講座とグループ展が続いて行くように、みんなで精進して行こう。
展覧会は京成電鉄ユーカリが丘駅徒歩1分、ユーカリプラザ3階イベントホールで16日(月)まで開催しています。近隣にお住いの木版画に興味のある方、ぜひこの機会にご高覧ください。画像はトップが会場風景。下が向って左からビルの入り口にセットされたポスター、額装して展示された木版画の一部、今回制作した共同画集を開いたところ。