6月にあまりブログを更新できなかった関係でネタだけはたまっている。と、いう訳で前回に引き続き先月の話題。
先月末日、房総の山と自然を歩く会『Bosso Club』のメンバー3人で『高宕山・お茶立場コース』を登ってきた。今まで高宕山はさまざまなコースから登りこれで4回目となるが、これまではいずれも君津市側から登っていたのが今回初めて富津市側から登ることになった。そしてロングコース、ガイドブックにも健脚向きのマークが付いている。さらにコース上には源頼朝伝説が伝わる。伝説によると頼朝率いる東方遠征軍が休憩のためお茶を立てたという窪地が残っていると言う。それで『お茶立場』というのだそうだ。うーん、古のロマンを感じる土地。登る前から興味津々である。
K氏の車で現地に到着するが登山口がなかなか見つからない。あまり登られてないコースのようだ。途中、車道を若いニホンザルが横切った。このあたり野生のサルの生息地として天然記念物に指定されている。ようやく溜池に隣接した小さな登山口を発見し、3人で登り始めた。道がところどころ荒れていて普段人が入山していないことが想像できる。例によって低山の夏鳥であるキビタキやヤブサメの囀りがあちこちから聞こえてくる。一汗かいたところで大きな分岐に出る。さらに進むと北側が開けて見晴らしが良くなり、目指す高宕山の頂上や崖に作られた観音堂が見えてくる。このあたりから同じく夏鳥のオオルリの、のどかで美しい声が聞こえて来た。コースが長いので途中の広場で大休止。各自昼食をとった。
昼食後、単調な登りを繰り返し、さらに進むとポッカリと『白い崖のテラス』と呼ばれる大岩の上に出た。ここまでは、順調だった。この先がまた荒れたコースとなる。尾根上の道から足元に注意しつつグングン高度を下げていくと沢の窪地に出た。このあたりが例の『お茶立場』付近のはずである。さて、ここからの取り付きを見失ってしまう。地元山岳会の取り付けた、たよりのテーピングによるマークもなくなっていた。M氏を残し、僕とK氏で左右に分かれて沢からの出口を探すが途中から道が途絶えていてギブアップ。M氏の待つ場所まで戻ると斜面をに登っていたK氏も戻って来ていて3人でしばし途方にくれていた。すると突然、”フィフィフィフィフィフィフィ…”と美しい声が周囲から聞こえて来た。「カジカガエルだ!以前、丹沢の渓流で聞いたことがある」よく見ると足元でもピョンピョン飛び跳ねていた。とても、標高300m前後の山の沢とは思えない。深山幽谷の響である。しばらくの間、あーでもないこーでもないと意見を言い合っていたが、ここで決断。「元来たコースを引き返そう、またいつか季節を変えてリベンジしよう」Bosso Club設立以来、13回目にして初の記念すべきエスケープとなった。
がっくりと肩を落としつつ急斜面を登り始めると足元に大きなニホンマムシを見つけた。「くわばら、くわばら…」ロングコースを引き返しながら改めて低山の難しさを噛み締めたのだった。本日の教訓。「ルートを見失ったら、思い切ってエスケープする勇気を持つ」 画像はトップがお茶立場付近と思われるカジカガエルの生息する沢。コース途中から見た高宕山方面風景、登山道でみつけたキノコの1種。