天燈茶房 TENDANCAFE

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夏休みは汽車に乗って~鉄道博物館、夏休みの思い出

2008-08-30 | 旅行
青森からは、往きに来た道程をそのまま引き返して、次の日の夜には首都圏に到達した。
今夜は都内には入らず、大宮…いや、いまは「さいたま市」というのか、とにかく大宮駅前のビジネスホテルに投宿。
駅寝やネットカフェ泊が続いていたので、ちゃんとしたベッドがありがたい。

翌朝は大宮駅からニューシャトルに乗って、一度は行ってみたいと思っていた場所へ。

鉄道博物館
一昨年に惜しまれながら閉館した東京神田の交通博物館の、鉄道に関する展示を引き継いだ話題の博物館だ。
開館当初から鉄道愛好家や家族連れのみならず幅広い層の見学客が殺到する人気ぶりだったが、この日も夏休み中の週末とあって大混雑。入場30分待ち!


やっと館内に入れて、まず見に行ったのがこれ!
初代ブルートレイン20系客車、ナハネフ22。
20系は僕が初めて乗った寝台車でもあるので、愛着がある。優雅な曲線で構成された、どこか愛嬌もある顔を見ていると、初めてブルートレインで旅した小学生の夏休みの思い出が甦る。
念願叶って乗り込んだ博多発東京行き寝台特急「あさかぜ82号」。
とにかく嬉しくて、車内をくまなく見て回り、門司や下関での機関車交換に興奮し、深夜に到着した広島駅で追い抜いていった「カートレイン九州」の編成に連なるA寝台車を羨望の眼差しで見送り、早朝の浜名湖の風に睡眠不足の眠気を吹き飛ばし、並走する京浜東北線103系電車に初めて見る“首都東京”を感じた…

あの日に乗った初体験のブルートレインと同じ列車名をテールサインに掲げた寝台車は、僕の旅の原点の一つ。ここで巡り会うことができた。


黒光りする重厚なモーター、切っ先鋭く輝く歯車。
「ちから」の権化のようなこのマシンを搭載するのは、国鉄最強の電気機関車。


東海道山陽本線重貨物列車用大型電気機関車、EF66。
大重量貨物列車を率いて日本の物流の大動脈を貫く使命を背負って生まれた機関車は、
最後に残されたブルートレイン「はやぶさ・富士」の牽引という重責を担い今も現役である。


「コックピット」という呼び名が似合う、緊張感漂うEF66の運転席。

博物館に収まるのはまだ早い、いつまでも本線を疾走し続けるのが似合うEF66も、既に廃車が進んでいる。
懐かしいロクロクに会いに鉄道博物館を訪れる日が来るのも、そう遠いことではない。


「日本の鉄道の象徴」とも言える、東海道山陽新幹線0系。
誰からも好かれた丸っこい顔が愛らしい、おそらく日本の鉄道で最も愛された車輌であろう0系も、今年秋に最後に残った山陽新幹線区間からの完全引退が決定している。
ところで、この鉄道博物館の0系は以前は交通博物館の外壁に設置されていたカットモデルなので、よく見ると鼻に薄っすら「交通博物館」の文字が…


一々紹介しきれないほどに、とにかくたくさんの車輌が詰め込まれた夢のおもちゃ箱のような鉄道博物館。
いつまでも見ていたかったが、生憎天候が急変し雷でニューシャトルが止まる可能性があると緊急の案内があり、後ろ髪引かれる思いで後にする。
また来たい!!

幸い、ゲリラ雷雨が襲来する直前に逃げ切って東京駅まで来ることができた。
良かった、今夜の列車に乗り遅れずに済んだ。

夏休みの旅の最後は個室寝台車。
「はやぶさ」のB寝台ソロ個室に収まって、旅を締め括ることにする。
列車の先頭に立つのは、勿論EF66。
機関車はやっぱり長大編成を率いて疾走している姿が一番よく似合う。


すっかり乗り慣れた「はやぶさ」のソロ個室で自宅のように寛いでいるうちに、熊本に到着。
かくして神田の交通博物館に始まり北海道を巡ってさいたまの鉄道博物館に辿り着いた汽車に乗る夏休みも、これで終わり。



今年の夏休みは汽車に乗っていろいろなところに行ってきました。
いろいろなことをして、いろいろなものを見てきました。
皆さんも素晴らしい夏休みを過ごされましたか?

天燈茶房亭主 mitsuto1976 拝

夏休みは汽車に乗って~北の秘境駅、終着駅と鉛色の海

2008-08-30 | 旅行
東室蘭駅はいつの間にか駅舎がモダンなデザインの新築に建て替わっていたが、待合室の中にあった畳敷きの「仮眠スペース」はなくなっていた。
駅近くの交番で夜勤のお巡りさんに教えて貰ったインターネットカフェでシャワーを浴びてフラットブースで横になり仮眠。すっかりネットカフェの住人になってしまったような気分。

翌朝、小糠雨降る東室蘭から始発鈍行列車で出発。
遠路遥々大阪からやって来た寝台特急「トワイライトエクスプレス」とすれ違ったりしながらずっと噴火湾沿いに走り、長万部の手前でトンネルを抜けたところにある小さな駅に到着する。
山と海と線路しかない場所に何故か忽然とあるこの駅が、“秘境駅”として名高い小幌駅。




周辺に建物も何もなく、何より駅に通じる道すら見当たらない、まるで白昼夢のようなこの駅、たまに釣り人が訪れる位しか利用者がいないのだが、その余りの“秘境”ぶりに鉄道愛好家の間では大変に有名である。
この列車からも数人の「その筋のモノ」と思われる乗客が下車していった。
僕もいつかは降りてみたい、こんな場所で日がな一日過ごしてみたいものだ。

来る時は居眠りしていて見られなかった海と大沼公園の眺めを堪能し、特例で青春18きっぷでも特急列車に乗れるが該当する列車本数が極端に少ない青函トンネルを難儀して乗り越え、北海道に別れを告げる。

このまま南下して東京を目指しても、東北地区は普通列車の運行本数の少なさと乗り継ぎし難さで余り距離が稼げないので、のんびり寄り道しながら行くことにする。
青函トンネルを擁する津軽海峡線から分岐するローカル線、津軽線に乗り換え、終着駅の三厩まで行ってみることにする。何も用はないのだけれど。


いかにも終着駅らしい雰囲気の漂う三厩駅。
この付近の地下には青函トンネルが貫通しているらしいのだが、当然ながら地上からはそんな気配は全く感じることが出来ない。




駅前の一本道を暫く歩くと、海に出た。
鉛色の、冬のような寂しい海。
東北の夏は、すでに終わろうとしているかのようだった。

(つづく)