天燈茶房 TENDANCAFE

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どれからなりとおためしください

そこへ行かずとも、我らの想いは届く… ~HAYABUSA The Voyage Home~

2009-11-26 | 宇宙
2010年6月、オーストラリア上空で地球大気圏に突入する「はやぶさ」の回収カプセル イメージ画像提供:JAXA

イオンエンジンスラスタ中和器の劣化による電圧上昇・イオンエンジンの自動停止という危機を、まさかの2台のスラスタの組み合わせと言う驚異的なテクニックで乗り越え、
見事に幾度目かの…本当に数え切れない程の幾度目かの復活を果たした小惑星探査機「はやぶさ」

はやぶさ、復活!!(天燈茶房 TENDANCAFE 2009年11月19日)

彼は今、甦ったイオンエンジンの翼を再び力強く羽ばたかせて、火星の近くのそらを飛んでいる。
皆の待つ懐かしい故郷、地球を目指して。

彼の“瞳”である姿勢制御センサー、スタートラッカのカメラが見た火星の姿が、地球に届いた。
人類とは浅からぬ縁と因縁のある赤い星…そこは彼の姉、悲運の火星探査機「のぞみ」が永遠に眠る場所でもある。

今週のはやぶさ君

間もなく長い長い旅を終え、地球へと帰って来る「はやぶさ」。
来年6月に予定されている彼の地球帰還、オーストラリアのウーメラ砂漠に舞い降りる星の欠片を収めたカプセルと、南十字星の輝く夜空で流れ星となり明るく輝くであろう彼の最期の姿を目に焼き付けたい。
彼を出迎えたい、
そして「おかえり。ありがとう」と伝えたい…
ずっと、そう考えていた。
実際、既に現地ウーメラへの個人旅行でのアクセス方法なども具体的に検討していたのだ。

しかし、先日の「はやぶさ」復活と帰還運用の再開を伝える記者会見上にて川口淳一郎プロジェクトマネージャが「(地球への)帰還日は決まっているのか」という記者の問いかけに対して
「今のところ言わないことになっている。勘弁してください。旅行する人が大変になったりするので…」
と答えておられる事を松浦晋也さんのL/Dの記載で知った(松浦晋也のL/D はやぶさリンク:はやぶさ、帰還に向けてイオンエンジン再起動)。

このことについて、僕と同じく「はやぶさ」出迎えを考えておられた人生ご縁となりゆきでのすばるさんや文系宇宙工学研究所の金木犀さんとも意見交換をしたのだが、やはり「はやぶさファンであればこそ、自粛するべき」ということで一致した。
「はやぶさ」を愛するあまりの行動が、結果として関係各位の御迷惑を顧みない自分の想いを押し通す行為となってしまっては本末転倒。
昨日、天燈茶房にコメントを下さったaltoさんの言葉…
「豪州に行かなくとも、われわれの思いは届くと思います。」
この言葉に尽きると思います。
(altoさん、コメントありがとうございました)

という訳で、「はやぶさ」の帰還は日本で出迎えます。
僕としては、彼の旅立った内之浦宇宙空間観測所の「M台地」で、水平線の彼方にオーストラリア大陸ウーメラ砂漠に舞い降りて流れ星となる彼の最期の輝きを想いながら静かに祈りを捧げ、そして大いに祝杯を酌み交わせればいいな、と思っています。

2003年5月9日 13時29分。彼はここから旅立った。


「M台地」から望む水平線

そして…全てが終り平穏を取り戻した夏休み以降に、改めてウーメラを訪問出来ればいいなと思っています。