宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

衝突銀河の「これまでにないベストショット」

2014年09月07日 | 宇宙 space
重力レンズ効果を受けた
衝突銀河“H1429-0028”
約70億年前の宇宙で起こっていた銀河同士の衝突。

この衝突のようすを、
ハッブル宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡などが観測し、データを合成して作られたベストショットと呼べる画像が公開されました。

この画像では、
手前に位置する銀河による“重力レンズ効果”のおかげで、はるか遠くの衝突銀河を詳細にしているんですねー


おとめ座の方向に浮かぶ天体“H1429-0028”は、
今から約70億年前の宇宙で起きた銀河衝突の現場です。

この天体は“H-ATLAS”と呼ばれるサーベイによって発見された後、
ハッブル宇宙望遠鏡、ケックII望遠鏡、アルマ望遠鏡、
カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(JVLA)、
超大型電波干渉計(VLA)といった望遠鏡で詳細な観測が行われていました。

そして、それぞれのデータを重ね合わせることにより、
遠方の衝突銀河のもとしては、
これまでにないベストショット」が作られることになります。


“H1429-0028”と地球との間には、別の銀河があります。

なので、この銀河の巨大な質量によって、
重力がレンズのような役割を果たす“重力レンズ効果”が起きるんですねー
この“重力レンズ効果”のおかげで、
遠方にある“H1429-0028”を詳しく調べることができたという訳です。


ハッブル宇宙望遠鏡とケックII望遠鏡は、
レンズとなった手前の銀河の周りを取り巻く、光のリングの存在も明らかにしています。
重力レンズ効果を受けた
衝突銀河“H1429-0028”

また手前の銀河が、
円盤を真横から見た位置関係になっていることや、
さらに“H1429-0028”が、
1つではなく2つの銀河でだということも、
ハッブル宇宙望遠鏡とケックII望遠鏡の観測から
確かめられています。


いっぽうのアルマ望遠鏡では、
銀河内での星形成のメカニズムや、
物質の動きを調べる手立てとなる一酸化炭素を追跡することができます。


なので、その観測からは、
“H1429-0028”が銀河同士の衝突の真っ最中で、
1年に数百個もの星を生み出していることが分かることに…

からす座にある有名な衝突銀河の“アンテナ銀河”では、
1年で太陽数十個分の星が誕生していて、
それと比べると、はるかに大きな星形成率になるんですねー

また、衝突中の一方が回転している兆候も見られ、
この銀河は、衝突前に円盤銀河だということも分かってきたようです。