宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

1200光年彼方の星で起こった、天体衝突によるチリの増加

2014年09月08日 | 宇宙 space
赤外線天文衛星“スピッツァー”の観測で、
星の周囲のダストが、爆発的に増加するようすがとらえられました。
今回の観測データから推察される、小惑星の衝突のイメージ図。
直径100~1000キロの小惑星が、
さらに大きな小惑星に秒速15~18キロで衝突して、砕け散ったと計算されている。

2つの岩石天体の大規模衝突が原因とみられていて、
地球のような岩石惑星が作られる途上での、
重要な過程をリアルタイムに観測した初めての例になるんですねー

恒星“ID 8”は、
ほ座の散開星団“NGC 2547”(左下付近)に
属する比較的軽く暗い星。
“スピッツァー”がとらえたのは、
ほ座の方向約1200光年彼方にある
若い恒星“ID 8”。

この恒星の周囲にあるダストの量を、
2012年5月から調べていました。

そして、この恒星が昼間の空にあった、
2012年8月~2013年1月に観測を中断し、2013年1月に観測を再開したところ、
ダストの量が中断前と比べて劇的に増加していたんですねー



この突然のダストの増加は、
2つの巨大な小惑星が衝突したためだと考えられています。

観測により、
衝突によって細かな砂粒くらいの粒子が雲を作り、
その後、粒子同士が衝突を繰り返して、さらに細かくなり、
ゆっくりと恒星から離れていったようすも分かってきました。
ダストが放射する赤外線の強度。
ダスト急増以降の周期的な増減は、
ダストの雲の公転により、地球から見える部分が変化するので、
長期的な減少は、ダストが衝突を繰り返してさらに細かくなり、
恒星から離れていくためと考えられている。


これまでの観測でも、
小規模の衝突によるとみられる、ダストの増減は観測されていたのですが、
大衝突の前後で観測データが得られたのは、今回が初めてのことになります。

地球のような岩石惑星は、
若い恒星(地球にとっての太陽)を周回するケイ素などのダストが、
衝突や合体を繰り返しながら成長し、約1億年かけて作られるようです。

今回の結果は、私たちの住んでいる地球のような岩石惑星が、
作られる過程で起こる劇的な現象を、初めてリアルタイムに観測したものになります。

“ID 8”のダスト量を今後も継続して観測し、
この星や他の星で、こうした大規模な衝突が起こる頻度を探るそうですよ。