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モバライダー mobarider

活動銀河M87のガンマ線フレア、電波でも増光を観測

2014年09月13日 | 宇宙 space
おとめ座の銀河M87で、
ガンマ線フレアの発生と同時に、銀河中心から強い電波が放射されるようすが観測されました。

このことは、大質量ブラックホールを中心部に持つ活動銀河での高エネルギー放射について、
詳しく知る手がかりなるようです。
銀河M87と、
その中心核から噴き出すジェット。
M87は、数千万光年彼方にある、
おとめ座銀河団の中心に位置する巨大な活動銀河で、その中心部には、強力なジェットをともなう大質量ブラックホールが存在します。

明るいジェットをともなう活動銀河中心核としては、最も近いところにあるので、
これまでに多くの観測が行われ、ガンマ線フレアの発生も知られていました。
でも、フレアの位置や現象の詳細は分かっていなかったんですねー

今回の研究では、M87の高分解能モニター観測が行われ、
日本とヨーロッパそれぞれの、遠い場所にある複数の電波望遠鏡を組み合わせたVLBIネットワークが使われています。

そして観測期間中… 特に2012年2月から3月に、
高エネルギーのガンマ線フレアが発生した際、
M87の中心部が強い電波を放つようすが検出されることになります。
2012年3月、高エネルギーガンマ線フレアの発生時に、観測されたM87の電波画像。
銀河の中心領域は明るくなった一方で、やや離れたHST-1領域では変化が見られなかった。

この電波は、高周波数(高エネルギー)ほど振れ幅が大きく、
急激にピークに到達していました。

一方で、過去のガンマ線放射の可能性が指摘されていた、
HST-1という領域では変化が見られなかったんですねー


これらのことから、M87中心部にある大質量ブラックホールの近くで、
フレアが起こったと考えられています。

また、中心の変化のようすや、周波数ごとの時間差さどから、
ジェットの見かけの速度が秒速約6万キロ未満と算出されました。

過去のもっと明るいガンマ線フレアでの速度は、
これよりも速かったので、ガンマ線の強度とジェットの速度に、
相関関係がある可能性も考えらるようです。