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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

20年で4.37光年先の星系を探査するスターショット計画って何?

2016年05月02日 | 宇宙 space
地球に最も近い恒星系のアルファ・ケンタウリ。
この星系を目指す、野心的な最新の宇宙計画が発表されたんですねー

発表したのは、
ロシア富豪のベンチャー投資家ユーリ・ミルナー氏と、
英宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士。

この冒険的な研究計画に取り組んでいる科学者チームは“ブレークスルー・スターショット”といい、
チームの陣頭指揮を執っているのがミルナー氏とホーキング博士というわけです。

計画で製作されるのは超小型で超軽量の宇宙船“ナノクラフト”の船団。

計画の目的は、携帯電話ほどの大きさの、光を推進力とするミニ宇宙船の船団を、
地球から4.37光年(約41兆キロ)の距離にあるアルファ・ケンタウリに送り込むこと。

この宇宙船に搭載されるのが“スターチップ”と名付けられたもので、
組み込まれているのはカメラ、推進システム、ナビゲーション、通信機器。

宇宙空間に放出された宇宙船は、化学燃料を燃やすのではなく、
レーザー推進によって4.37光年彼方のアルファ・ケンタウリを目指すことになります。

この距離は現在最速の宇宙船でも3万年かかると考えられているのですが、
チームでは、打ち上げから約20年で星系に到達できると推算しているんですねー
アルファ・ケンタウリは、南半球からよく見える青みがかった明るい星。
地球から4.37光年のところにある。


高速の約20%

恒星から恒星までの距離は非常に長いので、
恒星間航行を実現するには、
どのような形でも光速の数分の1程度まで宇宙船を加速する必要があります。

プロジェクトチームが考えているのは、
光速の約20%に相当する秒速6万キロの猛スピードで宇宙空間を進む、
超軽量の無人宇宙探査機の投入。

そして、このプロジェクトを進める上で必要になるものがあります。

それは、宇宙船に取り付ける1辺が1メートルほどの極薄の帆と、
巨大なレーザーアレイ(大出力のまとまったレーザー光を放射する装置)です。

地上から、この帆に向かってレーザーを照射することにより、
特定の恒星に向けてミニ探査機の船団を光速の20%まで加速させ、
星間空間の帆船を実現するんですねー

似たようなものに、太陽から放出される光子を受けて穏やかに加速していく、
ソーラーセイル(太陽帆)があります。

スターショット計画では、
太陽ではなく、地上に建設したレーザーアレイからレーザーを照射して、
強力に推進することになります。

これまでの研究で分かってきたのは、
レーザアレイは約100ギガワットの出力が必要だということ。

これはスペースシャトルを1機打ち上げるのに必要なエネルギーと、
ほぼ同じだそうです。

光速の20%と言えば途方もない速さですが、
それでもアフファ・ケンタウリに到着するには約20年かかります。

宇宙船はアルファ・ケンタウリの横を、
猛スピードで通過しながらスナップ写真を撮影し地球に送信。

ただ写真のデータを光速より速く送ることはできないので、
私たちが目にするまでに4年以上かかることになります。

でも、この技術をもっと身近な宇宙探査に役立てることが出来れば…

たとえば、NASAの探査機“ニューホライズンズ”が10年かけて到達した冥王星だと、
光速の20%で飛行する宇宙船なら1~3日で行けることになるんですねー

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