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モバライダー mobarider

とても効率の良い加熱機構が、衛星イオの周囲で働いている?

2016年05月24日 | 木星の探査
木星の衛星イオの大気から、宇宙空間に放出されてプラズマ状態になったガスを、
惑星分光観測衛星“ひさき”が観測したんですねー

とくにイオの周りで、プラズマが非常に高温になっていることが分かったので、
プラズマ加熱のメカニズムを解明する手がかりになるかもしれません。


プラズマトーラスの観測

惑星や衛星の周囲では、分子や原子は電離してプラズマの状態になっています。

プラズマの温度は大気に比べてかなり高く、
宇宙空間でどのようにプラズマが加熱されているのかについて、
そのメカニズムは良く分かっていません。

今回プラズマが観測された木星の衛星イオは、
太陽系で最も活発な火山活動をもつ天体で、
大気は二酸化硫黄を主成分とする火山性ガスで出来ています。

このガスが宇宙空間へ流出して、
イオの公転軌道に沿ってドーナツ状に分布した濃いプラズマ“プラズマトーラス”を形成しています。

このトーラスを、高温電子がイオンに衝突して発光する極端紫外線で観測すると、
電子の加熱機構を研究することができるんですねー
イオの周辺で発生するプラズマ加熱のイメージ図。
黄色い線はイオを貫く木星の磁力線を表す。

今回研究グループは、
惑星分光衛星“ひさき”を用いてプラズマトーラスの硫化物イオンの発光を観測し、
極端紫外線がイオの下流で強くなることを明らかにしています。

トーラスは、木星の周りを木星の自転に伴って約10時間周期で回転。

でも、イオンの発光の強さはイオの周囲で急上昇していて、
プラズマの流れが、公転周期が約42時間のイオを通過した際に、
高温電子が発生していることを示していました。

その後、高温電子は、
周りのイオンに衝突して極端紫外線を放射しエネルギーを失っていくため、
発光強度はイオから下流側に離れるにつれて下がっています。

木星、イオ、イオのプラズマトーラスを北から見たイメージ図(左)。
青はプラズマ、オレンジは高温電子が存在する場所。
プラズマトーラスの硫化物イオン(S2-)の発光強度の分布(右)。
イオの場所で強度が急上昇し、ゆるやかに減少していく。

これまで電子化熱は10日程度かけて、ゆっくり起こると考えられてきました。

でも“ひさき”の観測結果は、
10時間以内の短時間で高温電子が発生することを示すことに…

イオの周囲では、
非常に効率の良い加熱機構が働いていることが明らかになったんですねー

電離した直後のイオンから発生する電場・磁場の波のエネルギーが、
電子を加熱する。 っというのが加熱機構の候補として考えられているようです。


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