akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

『三池~終わらない炭坑の物語』バリアフリー上映

2012-11-05 | バリアフリー映画、福祉
ポレポレ東中野で上映中の『三池~終わらない炭鉱の物語』、今日15:10のバリアフリー版上映を観てきました。
私が副音声に初めて携わらせて頂いた作品で、熊谷博子監督にも大変ご苦労をおかけした記憶があります。

一時代を支えた石炭というエネルギーとそこに従事した人々の闘争、苦悩の歴史がインタビュー証言でつぶさに描かれたドキュメンタリーです。
炭鉱に生きた人々のたくましい仕事ぶりと生活、コミュニティー、最盛期の捕虜強制労働の歴史、石炭から石油への転換期に起きた大規模な労働争議、そして炭鉱爆発事故…

それはとても痛ましく、愛おしい人々の姿です。特に、ともに炭鉱で汗を流し働いてきた人々が、生活を守るために団結し戦ったはずの労働争議の中で、生活のために分裂し、激しく対立しあうようになっていく―、その閉塞感は、自分がその場所に身を置いたことを考えると本当に息苦しいものです。
挙げ句炭鉱事故で何十年も一酸化炭素中毒の後遺症に苦しみ続けた家族の言葉は、本当に重いものでした。

石炭から石油、石油から原子力、そして今、原子力から自然エネルギーへ、新たなエネルギーの転換期が来ています。より安全でクリーンで効率のいいエネルギーへ。この流れは当然で、止めることはできません。
政策を打ち出し開発、遂行していく側も、そこに従事する側も、地球規模での環境配慮と時間軸を持たなければいけないと改めて思いました。
今だけを考えて対処していると、大きな負債と問題を次の世代と地球に残すことになりますし、自らの首を絞めることになります。

世界は動いていて、その時その場所で必要な仕事も変わっていきます。それぞれの生活があるからといっても、時代の流れは大きなものです。それが人類にとって正しい方向なら、自分がそこに添って変わらなければならないし、人類にとって誤った方向なら、自分は少数派でも流れを変えるために闘うべきなのだと思います。

流行や利便性に乗って、伝統的な良いもの、文化、そこに息づく知恵や心などを棄ててしまうのは愚かなことです。
時代の先を読み、時代の先を作っていく、古くても大事な価値あるものは守り継いでいく。これからの子どもたちには、世界中の人々がアイデンティティを生かしながら共存共営できる、モノより心の豊かな時代を作っていくための教育が必要だと改めて感じました。


また、昨日は、先日まで福島の原発の現場で派遣で働いていた方が来て、昨日付で突然解雇された話をしていました。30代の彼は、「原発には反対だったが、生活のことを考えると食べて働ける現場があることがありがたい。数年後被爆していたとしても、それまでは食いつなげるのだからこの職場にいたい」と考えていたそうです。
しかし、下請けの人材派遣会社と元請けの会社との契約切れで、同僚たちも皆突然解雇されました。都内の元いたアパートを引き払った矢先のことでした。組合を通じて、元請け会社に直接雇用を求めているが、とりあってもらえず…

次世代のエネルギーに転換した後も、原発の施設や放射性廃棄物の処理問題はずっと残ります。福島の原発事故の処理もまだまだです。この危険な現場に身を投じ従事する人々の生活こそ守られてしかるべきと思います。

久しぶりに見ましたが、いろいろなことを考えさせられました。
『三池~終わらない炭坑の物語』は、ポレポレ東中野で9日まで、その後横浜ジャック&ベティで上映されます。
7日(水)15:10の回がバリアフリー上映です。自分でいうのもなんですが、監督がディレクションして下さったこともあり、聞きやすい副音声になっています。声はちょっと若いですけどね。それもまあ、地のナレーションと区別しやすくていいのかもしれません。
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