介護保険制度が始まった時から、福祉用具のレンタルを行ってきました。爺の肩書(同じくWatakeiの社員5名も)は福祉用具専門相談員である。
このところ、なぜか担当者会議が多い。「なぜか」というのもおかしな話だ。レンタルして下さる方が多くなったからだ。貸出件数40ほどで、半年から2年(平均1年)に一回の担当者会議だから、月2回強が平均である。今月は6~7件になる。そんな中でも、ケアマネージャーさんによっては、一度も開かない方もある。担当者会議を開催していても、福祉用具専門相談員はいなくてもいいと御声も掛からないのだろうか?・・・ それとも本当に全く開催していないのか・・・
そんな具合で、ケアマネさんによって、我々福祉用具専門相談員に対する態度は千差万別である。福祉用具の専門家として、相談して下さるケアマネさんもいれば、単なる福祉用具の運搬業者ぐらいにしかみて戴けない方まで、いろいろです。また、ケアマネさんの性格にもよるのでしょうが、会議も30分未満で終える方や、ほとんど1時間は優にかかる方など、会議にも進行役のケアマネさんの性格が反映される。
昨日の担当者会議でのできごとです。
いままで、名古屋市に住んでいた方です。それまでも介護保険を利用されていたと聞き及んでました。一人暮らしでかつ、距離があるということで、息子さんの住む近くの高専賃に引っ越して来られたました。そんな、経緯であったから当然担当者会議を経験されているものと思って、会議は進行しました。
形式的とはいえ、会議が一通り進み、そろそろ終わるかと思われた頃、突然、ご家族(今回は40歳ぐらいのご子息)様からの質問が浴びせられました。「なぜ、担当者会議を今するの?名古屋では一度も行われなかった。福祉用具(今回はベッド)の業者まで来る必要があるのか?また、会議自体必要のない会議では?また、何を決めるのか?このケアプランはどこから出たのか?承知できなければ、どうなるのか?前回のプランとどこが違っているのか対比できて分り易い表にしてくれetc」
怒ったように言われ、少しばかり面食らった。
結局、担当者会議がなぜ必要か、どういった時に開催されるのか、基本中の基本から説明し、問題点を一つずつ解決しながら会議は再開された。
具体的なケアプラン・・・歩行訓練の話にようやく入ったところで、「訓練に危険はないのか」と質問があった。 「車イスは、歩行器ではないから、体重バランスによっては転倒の危険はあります。できたら歩行器を使用して戴きたい」と申し上げましたが「生活支援に対する金銭的負担は増えても、福祉用具での負担は増やしたくない」ということでした。福祉用具より、日々の世話を優先しているご家族は意外と多い。また、ケアマネさんも、福祉用具の利用料金の少ないケアプランを作成することが「腕の良いケアマネ」と考える方が、多いのも事実である。
ご家族様やケアマネさんを批判するするつもりは毛頭ない。
制度の不備が問題なのだ。そもそも、介護認定を受ける時に、介護保険の趣旨システムなどを役場の担当者から、はっきり知らされることがない。サービスを提供する側も、利用する側も勝手に解釈しているところがあり、それが「思いの違い」を引き起こしていると思われる。
自分の車いすを使うのに、はばかることはない。だが、何か事故があった時には施設(高専賃)にお金を払っているからには、施設に問題があるのではと言わんばかりの態度に、何かがおかしいと思わざるを得ない。何のためのケアマネさんか、何のためのプランか、それらの基本的な部分が理解できない事が、あの質問に繋がっていったのだろう。
ボタンの掛け違いではないが、はじめにきちんとした説明をお役所はすべきでしょう。でないと、今後も「借りてやる、保険料をはらっているのだから・・・」的利用者は増え続けるだろう。 介護保険の見直しが行われ、介護に携わる方の待遇改善が少しなされたように思われる。だが、利用枠(サービス点数)の総枠は変わらないから、さらにレンタル料金の相場は安くなっていく。福祉用具のレンタルの世界は、今日の日食のように人的サービスの陰に隠れていくようだ。
基本がしっかりしてないと何事もブレてしまう。介護保険制度が良い方向に発展することを祈りたいと思う。『仏(ほとけ)作って魂(たましい)入れず』でなく。『画龍点睛(がりょうてんせい)』となるように。