昨日10月25日の日経16面に「不眠で生活習慣病も」という記事があった。不眠になると、高血圧・うつ症状・肥満・糖尿病・がんなどの生活習慣病になりやすいそうだ。要約すると
①規則正しい生活を・・・特に起床時間は一定に ②昼はしっかり身体を動かし活動的に・・・よく働こう。 ③就寝前はリラックスしよう。・・・寝酒は絶対ダメ。
そして、その記事の中に「質の良い睡眠をとるには、どうしたらよいか」と続いている。 ①の規則正しい生活という意味もあって「生活のリズム」を整えよう。「毎朝同じ時刻に起き、14時間以上経ってから寝ること。 ②の昼間しっかりと働いて、「夜は6~7時間は寝ること。短時間睡眠で、質の良い睡眠をとるのは幻想であって、科学的根拠は無い。また、京都大学大学院の陳教授(9月の滋賀医大の睡眠学教育講座の第12講座”睡眠と生活習慣”を担当下さった先生でもありました)は「不眠をひとくくりに対処してはいけない」とも・・・
だが、寝具の質の問題が研究や議論の対象になっているという話は、殆ど聞いたことがない(爺だけが聞いてないのかも。睡眠環境学会では少し研究が始まっている)。
以前、親しい同業のふとん屋さんと話をした時のことだ。「医学部で睡眠の講座を持っている先生に敷きふとんを買って戴き配達することがあった。今までの敷きは要らんから処分して欲しいということだった。引き取った敷きふとんは何だと思う?」「何だろう? (健康寝具といわれるものかな・・・)」「ごく普通の羊毛の硬わた敷き、それがヘタリにへたってペッタンコ!」「・・・」「睡眠を研究する学者先生といえども、ふとんのことは意外と門外漢だよ。たぶん奥様任せなんだろうよ。」「へェ・・・」それ以上は言葉が続かなかった。
先ほどの日経の記事のように、メディア(TV・新聞)で眠りに関する話題が多くなったきたが、主テーマは健康であって、睡眠は健康にとって大事だというパターン話となる。ところが、良い睡眠のためには良い寝具が必要だ、という論調には進まない。ましてや、一人ひとりにあった敷きや枕が大切だという話にならないのが残念だと思う。
さらに、これだけ睡眠が大切だと言われているにも関わらず、学校で睡眠を含めた「生活指導」がされているという話もほとんど聞いたことがない。小学校での英語教育やマネー教育の議論がなされているが、正しい生活リズムを身につけさせる教育も必要だと思う。そして、睡眠の重要さもしっかりと教えて貰いたいものだ。大人になってから、「睡眠は大切!」と言っても後の祭りのような気もする。
そんな現状ゆえに寝具店は、快眠のための”一人ひとりに合った”具体的アドバイスをすることができてこそ、その存在価値が生まれるというものだ(爺はそう思っている)。机上の論ではなく、現場(お客様の眠り)の声に答えなければならない。
たとえば、枕。
快眠のためには枕は大切です。「寝姿勢が下図の如くなる枕の高さが良い。」と言われる。「快眠ひろば」で 1,500人も測定をしてくると、大筋では正しい理論だが、例外的な方も少なくは無い。少し肥満ぎみの方などに時々あるのが、首に「深いしわ」ができるのだ。すなわち気道が狭くなり「(ひどい)いびきの原因」となることがある。こんな方には逆に、少し顎上がりのほうが良い時もある。体重を10%減らすことによって無呼吸低換気指数(AHI)を26%改善される・・・要するに痩せれば呼吸も楽になると言うことだ。
かと言って、理想の寝姿勢を形造るために、痩せてから「枕を用意する」のでは本末転倒だ。(肥満と言う)現状の体型に合った枕が「いま」必要だと言うことだ。
理論的に良い寝姿勢が、その人によっては良い寝姿勢とは限らない
また、前述の陳教授の講義では、次のようにも勉強した。「閉塞型睡眠時無呼吸の50%には高血圧があり、40%がやがて糖尿病になり、高血圧患者の30%・糖尿病患者の23%には閉塞型無呼吸患者とされている。・・・中略・・・重症の閉塞型睡眠時無呼吸の60~70%以上はメタボリックシンドロームを合併している・・云々」と。お医者様では、不眠を訴えられた患者に睡眠薬などを処方する、さらに重症な方にはここでCPAP治療を、と言うことになる。
だが、寝具店の立場から言うならば、正しい(高さの)枕や最適な硬さの敷き(ベッド)を薦める事が大切となる。治療行為は医師の仕事。Watakeiの仕事は、最適な寝具を販売し、ぐっすり寝て戴くことである。
「快眠ひろば」で測定をすることによって得られたデータは、少しでも最適な寝具(枕と敷き)を薦めるのに助けとなる。 気軽に、測定に相談にいらっして下さい!