井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

DVD「アララトの聖母」

2008-05-19 19:58:08 | Weblog
「フェリシア」鑑賞以来、気になっていたアトム・エゴヤン監督の「アララトの聖母」をYahoo!オークションで1,300円で手に入れました。しかも、未開封新品です。

「フェリシア」でエゴヤン監督の時空を自由に泳ぐようなストーリー展開に驚きました。ミシェル・ゴンドリー監督とも違った自由奔放なワープ感がたまりません。「アララトの聖母」も非常にエゴヤン監督らしい個性的な組み立てがなされていました。

 ストーリーを一口で紹介するのは無理なので、GAGAのオフィシャル・サイトの「ストーリー」から引用します。(ストーリーが複雑すぎて、下の引用もうまく伝えているとは言えません。)

 ***** 引用ここから *****

 カナダに住む18歳の少年ラフィと美術史家の母アニは、アルメニアの画家アーシル・ゴーキーの絵画「芸術家と母親」をモチーフにした、聖なる山アララトの麓で1915年に起きたアルメニア人大虐殺を描いた映画に参加することになった。
ゴーキーは、虐殺で母を亡くしたあと、アメリカに移住し、一生その苦しみから逃れられず若くして亡くなっている。

 その彼の少年時代の逃避行の記録をたどった大作だ。母なる国が永遠に失われたことを物語るように、キャンバスから削り取られた母の手。ラフィは、アルメニアの自由を求めて射殺された父の死の疑問を持ち、真実を求めて、アララトに旅立つ。そして自分のルーツを知った彼が母のために持ち帰ったものとはいったい?また絵に隠された真実とは?

***** 引用ここまで *****

 アルメニア人大虐殺の映画化を軸に話が進みますが、多くの人物が並行して登場してそれぞれの立場で物語を展開をしていくので、前半部は登場人物の関係を考えるのにちょっと苦労します。後半部は徐々に各人物の性格や関係性が分かってきますのでいろいろなことが見えてきます。また、劇中劇でもあるので、あれ?! 今のって映画のセット? それとも1915年のアルメニア? と不思議な感覚に浸れます。この映画の最も大きなテーマは、アルメニア人大虐殺の全世界への周知でしょう。戦中・戦後のトルコの微妙な立場からあまり追及されてこなかったこの事件を21世紀初頭に記録として残したかったようです。


 ☆ 総合得点  90点

地上5センチの恋心

2008-05-19 16:41:09 | Weblog
 先週土曜日が勤務日になったので、今日はその代休日。映画を見に行ってきました。「地上5センチの恋心」です。

 デパートの化粧品売り場で働くオデット(カトリーヌ・フロ)は、10年前に夫に死なれ、子供は生意気盛り。裕福でもないが、小さな幸せに満足げ。心を満たしてくれるのはベッドで眠る前に読む作家バルタザール(アルベール・デュポンテル)のロマンス小説。オデットが彼に出した飾り気のないファンレターが、厳しい批評にさらされている彼の元に届き…というラブコメディです。

 原題は「オデット・トールモンド」で、これは主人公の名前です。「地上5センチ」というのは恋をしているときの浮遊感から邦題を決めたのでしょう。でも、映画ではもっと高く、屋根以上の高さまで飛んでいます、シャガールの絵みたいに。普通のおばさんであるオデットがバルタザールに憧れ、そして、彼と出会ってからは彼を励ます立場になり、最後はよきパートナーとなるとのおとぎ話ですが、オデットが輝きを増していく姿に圧倒されます。主役のフロが実にうまく女性の輝き、可愛らしさを表現していました。ゲラゲラ笑う場面は少ないですが、心が温かくなる映画でした。

 ☆ 総合得点 83点