井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

0円・8万円・40万円 ~恐怖の報酬~

2011-12-10 00:03:26 | Weblog
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は、東京電力福島第1原発事故後に避難指示を出した区域以外(対象地域23市町村。画像で黄色の地区です。)の福島県内の被災者に対し、一人当たり一律8万円の賠償を認めるとする指針をまとめました。子供(18歳以下)と妊婦は、年末までの精神的苦痛を考慮し、賠償額を40万円としたそうです。賠償対象となる対象地域の人口は、県人口の4分の3に当たる約150万人で、賠償規模は約2160億円に上るとか。多くの地区が対象となった中通りでも南部の西白河・東白川地区や、会津地方全てが対象となっておらず、計26市町村は対象外です。

 私の住む福島市も賠償金が出る対象となっています。指針の細かい点が分かりませんが、恐らく震災の起きた3月11日午後2時46分が支払いの基準となり、この時に、この地域にいれば、支払われるのでしょうが、かなり乱暴な線引きです。まず、自主避難した人も残った人も同額という根拠が分かりません。そして、賠償金の出る・出ないが本当にオール・オア・ナッシングなのには驚きました。福島県の県中と県南の境目が鏡石町と矢吹町です。隣の町なのに、8万円が出るところと、8万円が出ないところに分かれる訳で、これは福島県を分断しようとしているとしか考えられません。同様に、「18歳以下」という基準も波紋を呼びそうです。3月11日に18歳以下なら40万円が払われ、3月10日が19歳の誕生日だとしたら8万円といきなり減額されるのですから、「年齢計算ニ関スル法律(誕生日前日の終了時[午後12時]に1歳加齢する)」と実際の年を取る感覚(誕生日が来て年齢が1つ増える)の関係も含めて論議となりそうです。要は、ステップが余りにも少なすぎます。実態に応じてもっと細かいステップを作るべきです。福島県全域で風評被害等もあったし、福島中央テレビから流れる第1原発1号機水素爆発の映像に凍り付いたはずです。県南や会津地方を対象外とせず、金額は減らされても県内全域に支払われるべきです。

 我々が恐れているのは、福島県の精神的な分断です。原発事故で一番深刻な問題だと思っています。原発爆発直後、避難した人と留まった人に分かれました。事故後には各自治体が放射線の専門家やアドバイザーを呼んで、住民向けに説明会・講演会をしましたが、これが「大丈夫派」と「避難せよ派」に完全に分かれていました。そして、今回の「がっちり買いまショウ」で夢路いとし・喜味こいしが叫ぶ「10万円、7万円、5万円、運命の分かれ道!」みたいな賠償金の差にそれを感じます。

 私としては、こんなはした金をもらうよりは福島県を完全に除染(←全く進まない除染については改めて書きます。)して、将来への不安を払拭して欲しいです。そして、今回、「賠償金を支払ったから、もう終わり!」とならないことを願うばかりです。

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2 コメント

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おはようございます (石亮史朗)
2011-12-16 09:16:24
金銭で全て解決しようとする姿勢が垣間見えます(それは違うと思いたいが)。金額の低さも含めて、対象となる地域が余りにも狭いことが気になります。
他に出来ることや、やらなければならないことがあると思うのは、私だけでしょうか。
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賠償金 (井上もやし)
2011-12-16 21:04:48
 石亮史朗さん、コメントありがとうございます。

 金額に対する感情は人それぞれだと思いますが、福島県民の大半は、3月の半ばの次々に起こる原発の水素爆発を見て、自分たちの力ではどうすることもできない恐怖のどん底に突き落とされました。福島市には避難指示はありませんでしたが、今までに全く経験のないことで、遠くに避難した人、家にこもっていた人、私のようにどこへも行くことができなくて普通どおりの生活を続けた人などに分かれました。

 金は要らないから、放射能汚染のない元の環境に戻して欲しいです。
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